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三浦俊彦@goo@anthropicworld

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オトイアワセ:
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オカルト系13

2006-10-14 00:45:01 | モンスター映画
 ■アローン・イン・ザ・ダーク■ いきなり始まりまくってるんで面食らうが、冒頭バトルシーンを見るだけでちゃんとした映画だってことはわかる。妥協なし。しかし主人公は原則ただの人間だよね?強すぎ。脳天気なハイテンポでさくさく進んでクリーチャーが惜しげもなくびょんびょん飛びかかってきてバカスカ撃ちまくるだけの映画だけど、とにかくクリーチャーの平凡ながらツボ押さえた造形と動きと人間の死に方の多彩さが十分なので私ゃ好きだと言わざるをえないです、この作品。着地と同時にヒゅっと半分不透明になってたりね、ナイスなモンスターですよ。兵士の足もとバカッと穴空いたと思ったら串刺しとかね、女性兵士が廃墟の隅っこでひっそりと頭スイカ割り状態で死んでたとかね、笑っちゃいますよ(あのスイカ割り頭そっくりな投身自殺娘のかち割れ頭ドアップ本物画像、ogrishで私保存したばかりでしたわ)。しかし『バイオハザード』といい『ドゥーム』といいこれといい、ゲーム発のは必ずゾンビわらわら登場ってのが法則でしょうか? 中途半端な速度のゾンビなら要らんのですが。あとラストはさすがに雑きわまりない爆発オチ+どーしょーもない間一髪ぶりで、〈いくらなんでも感〉がたなびくが、まあいいんでないでしょうか、『バイオハザード』を小型化したようなラストシーンも、無難に思わせぶりで。私支持しますよ、こういう分わきまえたB級モンスター映画の正道は。
 ■死びとの恋わずらい■ 精神病院にスライドしちまえば首尾一貫、てこういうやり方、安易っちゃ安易なんですよ。類例が腐るほどあるしね。だけどこの映画に限っては、結構うまくいってやがったなあ。というのも、あのオチのせいで、それまでの演技や脚本やセリフのぎごちなさが全部正当化されちゃったじゃないの。とくに、おいおい高校生にもなってみんな何が辻占いだよ、しかも好きだ嫌いだって、小学生じゃないんだから……ガキンチョ世界にうんざりしたけど、なんだぁほんとに小学校低学年で繋がってたのかよ、なら納得……すんなり解決したわけだよな。あとダメドラマの見本みたいなほら、亡き父について娘が母親に「おかあさん、おとうさんて……だったんでしょ」わざわざ観賞者に背景説明する恒例の不自然セリフ満載ときたもんだけど、ああいうオチならそんな一見わざとらしい会話も大いに有りでしたよねと。ふーん。うまくやったよ。ほんとはただ演出が下手なだけだったんだろうけどさ。しかもオカルトとサイコが漫然と混ざってて、蓋を開けてみりゃただの悲惨きわまるサイコパスものかよと。けど全身タトゥーのおねーちゃんが子どもに大トラウマなすりつける景色がふるってたので許せます。いくらなんでも舌を切るなよと言いたいが。で舌切られて一日経ってんのに冷蔵庫ン中で呻いてるなよと言いたいが。結局、みどりがあんなおっかない占いつーか予言をしたのはもうはじめっから精神病院生き決定の子どもだったってことでOK? あと、みどりの家族ってのは出てきてないけどどーしてんの? ところで冷蔵庫があったあの場所って、『ゴーストシステム』のあの場所だよね。
 ■ゴーストシステム■ オカルト系というべきかどうか……科学が霊を作り出しちゃったって設定だよね。それって霊なのかね? 後ろになにげに霊体が浮かび上がってるとかね、何度かディテールでは結構ぞくっとさせる映像やってくれたんだから、脚本と演技のショボさなんとかならんかったですかね。どーでもいーけど危なげな森に入ってく前に警察呼んどけよ警察。「お願いします。私もいっしょに行かせてください!」「何が起こるかわからないぞ、それでもいいのか」……「ここで待ってるんだ。動くんじゃないぞ」……無意味に陳腐きわまりないセリフの羅列はなんとかできませんでしたか。最後近くも、システムを止めに行くっつったって、じゃあ始めっからのこのこ出てこないでまっしぐらそっち行ってよ。携帯鳴らしまくるああいうのって、全般ただ「ふーん」で終わりですから。にーちゃんがトチ狂った原因も不明だし、まあとにかく悪い意味で低予算丸出しの大根演劇でしたということで、幽霊さんたちこんなつッまんねー映画のために演技ご苦労さまでした。
 ■トワイライトシンドローム ―卒業―■ とりとめがないですなあ……、幼なじみの男の子なんぞが終盤になって急に思い出されてもちょっとねえ……。ヘタッピすぎですよ、ストーリーが。女子校生たちのやりとりがとてつもなく人為的で、最後まで改善されずで。オカルトマニアの子の喋り方に欠陥があるんで、『女陰陽師 淫魔受胎』のヒロインともしや同一人物? と確かめたら違いました。おフダを掲げて霊の暴風に対抗するってお決まりの図なんざ『トイレの花子さん』なみにタルみきってましたな。ま、腹も立たない程度の学芸会映画でしたけど。

コンタクト系12

2006-10-09 04:51:03 | モンスター映画
 ■エイリアン・シューター■ のっけから散らかってる死体たちの描写にやたらリキ入ってたような。脚切断に内臓ズルズルに。そういうのはほどほどでいいから。肝心のエイリアン早く見たいから。って死体とほぼ同時に一応出てくれちゃいたエイリアン、ただのメイクアップした吸血鬼ばっかかよ。と思ってたら、中盤からなかなかいろんなタイプのが登場してくれて、とくに地べたに潜って突っ込んでくるニョロニョロタイプは気に入りましたぞい。他の人間型と一応同格でちゃんと喋るし。後半ではチョコッとだけど『ピッチブラック』的舞台設定になってくれたしな。てことで、あそーそー独特の隠し味としてシューターチームの中に始めっからバンパイアがいるなんてなかなかナンセンス的でいいよね、と思いきやメンバー同士でいろいろ豊富な会話が興奮気味にまくしたてられて、個々人の背景説明なんぞが自然に順次済まされている模様。ま、そういうの要らんので。字幕消して観てるせいでそのへんの会話が自動的にカットされて、おかげで不条理劇風味が漂っていい感じでした。しかしま~終盤のちゃちなバトルはいただけなかったなァ。『ゴースト・オブ・マーズ』と雰囲気似てる感じで、こっちのほうが小ぢんまりだったけど、テンポや人物像の出来は勝ってるよな。日系(だろ?)の中性的なねーちゃん(薄着に(ただし胸露出シーン無し)なるまで神取忍の弟だと思ってたよ)がいい味出してましたし。安っぽい宇宙船CGが意外とツボ押さえてて快調でしたし。
 ■インパクト■ とてつもなく雑な作品、て印象。あんなでっかい海底施設(始めは模型丸出しだったけどCGにスムーズ移行でクリアね)に外から衝撃が来るたびに内部で壁だのパイプだのパネルだのがいちいち火花発するっての、ああいう表現って60年代に終わったものと思ってたよ。謎の物質も素手でさわるばかりか全部まとめて薬品に漬けたりしてるし。ふつう微量ずつ調べるもんでしょう。かと思えば殺され方ったら背中の真ん中にナイフおっ立ちだったり。入口向いて座ってるやつがどうやったらああいう殺され方になるかね。ま、そもそもがサメしか出てこない映画かなってところ冒頭いきなりエイリアン……もうけものって感じで喜んでた私だけど、ああ雑にやられたんじゃねえ。後半、延々人間どうしの銃撃戦と肉弾戦、ああいうの要らねっつのがわからんかね。ラストはコンタクトあったんだかなかったんだか、エイリアンの助け無しでは潜水艦に泳いでく御都合主義は成り立ちようがなかったろうけど、そのわりにゃエイリアンサイドの援助の描写ゼロ、ラストに宇宙人見たよ、見たよの一点張りだけってのもどうかと……。ま、しょせん雑な映画だったので。エイリアン2体の外見がかなり違ってたのがなけなしのサービスっちゃあサービスと受け取っときましょうかね。

オカルト系12

2006-09-30 16:36:57 | モンスター映画
 ■レイダース 失われたアーク■ なんだ、超常現象モノだったのか。ただのアドベンチャーかと思ってたよ。てわけで儲け物ってほくほく感あり。記憶に残ってるシーンの多さからして観たのは何度目かなはずだけど筋覚えてなかったというか、ずーっとごく普通の活劇だったんで、改めて飽きました。ほどよい退屈さというか。考古学者がスーパーヒーローなのはいいとしても、トラック爆走のとこだけかなあ、アクションがよくできてると思ったのは。ただエキストラに至るまで間一髪的スタントをようやるな~危なっしょ~と感心したけど、あの努力はもっといい映画のためにとっといたほうがいいんでないかと。ともかく活劇が大味すぎて、普通だったら殺されて当然のところを何度も生き延びちゃうし、蛇嫌いって言ってたはずがあとになると全然平気じゃんって風情でチョイ一貫性なし。カッコつけて刀振り回す相手に平然ピストル一発で終了ってクールさが売りかと思いきや、なんか暑苦しいとこもあって。暑苦しいのはあの女のほうか。勘弁してほしいよな、ハリウッド類型のヒロインってば。で、結局あれ、蓋開けたとき何が起きただ? 亡霊? 妖怪? 霊体っぽいのが骸骨になったりもしてたけど。殺人光線ほとばしりまくりだったけど。「目つぶってりゃOK」みたいなことジョーンズがヒロインに言ってたし。てことはあれってある程度予期できてた出来事? 字幕消して観てるとああいうとき困るんだよな。つうかまあ、敵がナチスである必要があったのかについても詳細が聴き取れてないんで何とも言えんが、一方的な善vs悪って構図になりきれちゃいないらしかったことはうすうすわかりました。てことは、みんな観てて楽しいの? もろハリウッド系でそれってのは。
 ■ござまれじ■ ありがちもありがち、民話奇談って言やすぐ東北地方かよ。刑事がメインの役回り務めるいきさつもいい加減ナシにしといてほしいよ。ござまれじを読み上げてるときのわーわーきゃーきゃー学芸会ったらモーうるさすぎ。前半はなかなかムードよろしかったんですがねえ、どうしてもああやって理屈で繋げようとする? 超常現象を小出しにして漫然と流しちゃうのが日本のホラー共通の欠点だってことがよくわかるな。
 ■奇談■ ぶっちゃけ退屈です、キリスト教ものって。何が何に対応していて誰がキリストに相当しどれがユダで何が知恵の実で。そんなんどーでもいいから。せっかく隠れキリシタン伝説使おうってなら、聖書の解釈なんぞあわただしくこなす路線じゃなく迫害の怨念路線でやったほうがよかったんでないかい。おたおたしまくってるだけの神父はちっとも状況に貢献してないし、阿部寛も例によりいい味出してくれてるかな~と期待したのもスカタン。このテの設定で決まり文句として「学界を追われた」ってよく言うけど、「妖怪は実在する」程度のプチトンデモ学説唱えたくらいで追放されちゃう学界ってどこにあるんですかね。そういう学界(学会?)をテーマに一本作ってくれたほうがずっと怖い映画になるんでないかと。天保年間つったっけ、百何年前から戻ってきたオネーチャンったら見かけ倒しでちっとも活躍してくんなかったし。結論、記憶喪失に村八分に近親婚フリークスに神隠しに何も知ってるばっさまに大量処刑の因縁に蘇生に復活シミュレーションに、詰め込みすぎましたな。で詰め込んだわりにはありきたりな組合せのモチーフ群に過ぎずどれもこれもスケール極小で冒険精神乏しかったし。ただほら、地獄の亡者の束でできた生命の木のCGだけは見応えあったです。勝負所はあれだけなんだから、もっと見せてほしかったよ。「すべて謎のままで変わりました」系だってヒロイン自らがラストで独白している程度のお話だったんだから、せめてビジュアルでまとめといてくんないと。あとそうね、子役はよくやりましたわ、呟き続けるところとか。
 ■惨劇館 夢子■ まず画質悪いのなんとかしろよ。(←夢子が雇った探偵さんの口ぶりで)。21世紀の映画でしょうが。科白もろくに聴き取れやしねえし。妹の顔見えてねえからだいたい誰が殺されたのかわかんなかったでしょうが、途中まで。てか説明不足気味なくらいでさくさく進んでくとこがこの映画独特の持ち味って気もしないでもなく、そこは評価できたりするんだけど、ストーリー自体が要領得ない話だったよなあ。ヒロインだからって危険なとこに一人でのこのこ出かけんでください、定型とはいえ。それはそれで尾行の警察は何やってたんですかと。途中から「おにーちゃん」に出てきてもらっても唐突すぎてなんとも思わねーっつの。オカルトとサイコが中途半端に混じって焦点ボケボケよ。バトルも一呼吸置いちゃってから始まるから間抜けもいいとこ、間の悪さをスケールで補うでもなし白けっぱなし。あとときどきチョイ出のCGオサムシはなんなのでしょうか。画質悪いもんで古本屋の中で飛び立ったシーン見逃すとこだったでしょうが。ムード悪くないんだからもちっとリアリティ持たせてよね。じゃなきゃぐっとシュールにするとかさ。予知夢が微妙に不鮮明だったり不正確だったりするあのへんのメカをもっとうまく利用できなかったものかな。
 ■案山子■ こんなんばっかかよ。ゆるゆるな話だなあ。近親相姦的モチーフをもっと出してくれてりゃ別だけど、これじゃあどうゆーリアクションほしがってのかわかんねーっつのよ。おにーちゃんも診療所に思わせぶりにうずくまってた手前、そうあっさりと我に返るなよ。案山子とほとんどつながってないじゃん。近親相姦仄めかしてるだけだから味があるんだ、なんてのは甘いよ。村からどーしても出られない、的なモチーフ強調してくれたらずっと面白くなったと思うんだけど。
 ■私の骨■ こういうの観ると、「めぼしいアイディアがないときゃホラーなんて作んなくていいのに」って思いますわ、ほんと。何が呪いなんですか? 前半がもーまだるっこしいったら、かと思うと後半、血縁がどうの言い伝えがどうのっていろいろ新たにかぶせてきてもらっても布石がしっかりしてないんで困っちゃうってば。奥さんにやたらクサいヒステリックなセリフまくしたてさせても家族ごっこの演出にゃ貢献してませんし。幻覚めいた虚無僧の描写なんぞも行き当たりばったりだし。ま、作品ってのは、作りたくなったときに限って作ってください、義務感でこなす必要ないですから。あそうだ、安楽椅子に腰掛けてたオジサンて人の科白のヘタッピぶりは尋常じゃないですが、あれ、わざと? わざと棒読みセリフする必然性もなかろうに……。

パラサイト系7

2006-09-27 02:44:39 | モンスター映画
 ■パラサイト 殺人寄生虫■ 人格変容を伴わないただの腹中生育タイプってことで、パラサイト要素はさほど効いちゃいないんだけど、襲撃逃れてああ一安心、搬送先の病院ベッドでグワワーッ、バリバリバリ、ってパラサイトならではの恐怖感が正攻法で生かされちゃぁいます。てかこの作品、十分合格点行ってますわ。狂牛病ブームに乗っかった町民間の醜い争いごとなんぞに時間かけるんじゃあるまいなと心配しかけたらさほどでもなくパラサイト定位で終始してくれたし。マ、そりゃビジュアル的にいまいち決め手の無さが物足りなくはあるものの、ポイントは押さえてて、なにしろ影の使い方が全般うまいというか、ホラーをしっかり名乗れる仕上がりになっておる。モンスターがあんなウヨウヨ大量発生しちゃっちゃあ、いくら食肉の町の利益を守れ(お約束)つっても警察はおろか軍隊が出動しないのは不自然っちゃあ不自然なんですけどね。保安官含めて個人単位で対処しちゃってるし。さっき決め手がどうって言ったのはたとえば半裸のおねーちゃんが彼氏見捨てて逃げてくのを追いすがるパラサイトをせっかくほら、地べた目線良アングルで撮っときながら追いつく前に場面切り替わりじゃんよ。ありゃないよ。ずっと後になって死体の一部だけ見せられてもねえ。でもまあ、パラサイトたちったら銃弾一発ではじけ飛ぶ脆さのかわりコウモリなのかナメクジなのかカブトガニなのかはっきりしてよ的に造形曖昧におっかないナイスぶり(なにしろ方向不定に飛ぶし!)で基本的にゃ嬉しかったですよ。主人公らの警戒をかいくぐって天井を這うシーンとか、そもそも始めの血のしずく吸ってチョイでかくなるとことか、人体内でもっかいでかくなるとことか、一つ一つの画像が丁寧に作られてましたわ。このくらいいってたら俺満足っす。ラストもお約束のチラリズムあえてやらんでそれっぽい音楽盛り上げだけで抑えたのもニクイしね。
 ■アナザヘヴン■ ああいう犯罪マニアの盗聴小僧ってほんとにいるんですか? でそれ上がりの刑事なんてのも? 終盤になって、そ、あのストーカーねーちゃんの頬っぺたにポタッと垂れたあたりから、ようやく本格モンスター映画っぽくなってくれました。けどいかんせんその時間が短し。なんでわざわざ女医さんの豪邸に行ったのかわかんないけど、あすこでの大団円でぴゅひゅっと水鉄砲になってくれたあたり、キタか~と乗り出したんだけど、モンスター姿お目見えにはほど遠し……。あそこもうちょい発展させてくれてたらなァ。なんかメロドラマに持ってかれちゃって、それならそれで説得力あればいいけど、ねーちゃんが人格変容逃れたのもなんか刑事さん二人してしみじみ同意しちゃってたように本人の人徳ってわけじゃ全然ないっぽくて、単にパラサイトのパワーが徐々に弱ってたっぽいのがあるわけでねぇ。女医の正体割れるや否やのあすこも自制できたのもそのせいって言ってたでしょ? で、未来から来ただの現在の人の心がどうだのわかんないことほざきかけてたけど、現代人の心がみんなアデナくて面白いってならただ一人マナブにこだわる必然性なかったよね? メインキャラクター作りたいからって無理してそういうクローズアップは解せんですよ。全体どーも中途半端なモンスターホラー仕立てだったな。バスタオルでばさっ、間一髪セーフはそりゃないでしょう。あそうそう、この映画に限ったこっちゃないけど、刑事コンビの紋切り型がどーショーもないレベルだし、なによりかにより死体見て一々刑事が派手にゲエゲエやるのいい加減にしといてや。たかが脳みそグツグツ煮てたくらいで何十人もまろび出て吐きまくるか? 類型表現もほどほどに。しつこかったし。

トラウマ系19

2006-09-24 14:35:27 | モンスター映画
 ■mute ミュート■ なんか……いい。一軒家もののツボにはまった傑作。ゆで卵の見せ方には唸らされるし、森の風景にもうっとり。老人の発する言葉はただ一言「マーダー」。科白のない映画って、それだけで何か芸術的になるのね。視覚に集中させてくれる。ええなあ。こういう作品って、映画という芸術ジャンルの本領を教えてくれるとこあるよね。孤児院でまとめて科白が語られるのも、説明調寸前で思いとどまってくれてほっとしたな。少女霊の造形なんかああいうの俺大大大好きでもっと見せてほしかったんだけど、『呪怨』とどっちが先ですかね。僅差でこっちが影響受けてるのかな? もちろんこっちのほうが数段上ですけどね。ただし、ラストはちょっと洒落すぎたかな。もともと始めから、毎朝道端に新聞を投げっぱなしとく新聞配達少年あたりからして、新聞受け無視することでほとんど労力の節約にもなってない距離なのでちょっとね~と。気取りすぎだよねと。つまり全体が常に謎かけのための謎かけに堕落しかけてて。そんな作りすぎムードのあげくがラストの猫殺しかい……。単に少女の命が取り憑きましたよ的な、あるいは悪魔払いが完成しましたよ式の平凡な解釈を強要しちまったあたり、謎かけ過剰戦略が裏目に出てしまいましたな。とまあ、いろいろ不満は残るにせよ、全般の雰囲気はこのテの映画ではピカ一で、傑作でないとは誰にも言わせません。あまたある疵を補って余りある、コンセプトの勝利というか堂々たる芸術です。
 ■恐怖!! 寄生虫館の三姉妹■ 「恐怖!!」の字は作品内クレジット画面には入ってなかったんで正式には「寄生虫館の三姉妹」でしょうかね。ところでこれ、いかにも貧相なマイナー臭ぷんぷんなんですが、少しは知られた作品ですか? なぜって……、お、ぉ、おもしれぇぇ~~じゃないですかぁぁ~~……~! 面白いよ、おんもしろいですってばょぉぉぅこれっ。つーかストーリー展開の先が全然読めないナンセンス含みの進行がたまらン。トラウマ系とサイコ系も入って、寄生虫標本のニュルニュル感も加わって、イカレきったやつらとイカレ尽きかけたやつが出会ったらああいうイカレ損なったナンセンスになるのよ、ってデモンストレーション。鉄パイプが変なところで対応していたり、一人だけ拒絶モードの妹がじつは警告役だったって薄オチもそこそこだし、レディ何人だっけ六七人まとまって一斉ゲロゲロゲロ原色吐瀉物たっぷり、テーブル端からドロドロ滴りシーンありときたし、えがったあぁぁ、えがった。私ぁ好きだぞうこういうの。監禁された精神科医がじわっと立ち上がっちゃったとこはなんだかね~って感じだったけど、唐突なアクションも天然ボケッてるし(平凡な側転でも真面目にやればアングル次第で口あんぐり度満点と判明!)、なによりラストだね。「ママじゃない……」で終わる。あれってば超センス良かった。ママじゃなくて何になったのかと。イカレぶり競争のノリでいつのまにか憑依逆転劇に突入してたのね。寄生虫と憑依霊がなにげに絡まって類似モチーフ相乗効果を……醸し出してると言えるような言えないような、脱臼的面白みにあふれ。良かったなあ。こんなんチープな不条理劇で喜んでるようじゃダメなのかね~と微妙に反省しつつ、でも良かったんで。
 ■うめく排水管■ これ、すっげーイイと俺は思うんだけど、ダメ? そりゃいかにも超低予算素人映画の情けな~ムードぷんぷんだし、妹のほうの演技ド下手だし(もうちょい科白指導してあげなよ……)、キッチュな映像処理で誤魔化しとる、とか怒る向きもおありでしょうし、凡庸アングラ劇には違いないって認めますが、ウム、ふざけ方が丁寧で一貫しててすげー好感持てるんですけどね、私としては。排水口とカメラのレンズを重ねたしつこい演出から始まって各シーンごとの細かい遊びが一々結構アートになってますし。排水管内部の音もぞくぞくさせるし。ラストでそれ言っちゃオシマイよ的ベタベタな科白が呟かれて「あ~今までのアートが……」と脱力させたとたんおねーちゃんぎゅーっと吸い込まれてって終わり、あのオチもなかなかじゃないの。ネ真っ暗な一途ストーカーの心理を言い当ててるっつうよりむしろ、土壇場になって言わずもがなの科白一つで駄作にさせるまい、って作品そのものの意志を見たような感じで、なかなかうまい作りになってました。おねーちゃんだけ眼球飛び出しズダズダ模様のいかにも即死モードで引き込まれてましたし。で結局、おかーさんだけはサバイバル? ぁそれから全国大変なことになってるウイルスはどうなったの? ぁそれとおとーちゃんの存在意義がいまいちでモチット「マンガ」が絡んでくるのかと思いきや立ち消えモードであれだったけど……、等々放り出しっぱなしのモチーフ惨憺たるものがあるにせよ、全体の似非アートッポさの新鮮味が勝って、私ぁこれあえて傑作と認定させていただきます! こんなんを心底傑作認定できる自分がほんと嬉しーっすよ。
 ■フライトプラン■ 面白かったんだけどさあ、のめり込んで観れたんだけどさあ、こういう過剰に無理な設定にしなきゃやっぱ面白くできないの?サスペンスものって?て感じ。たしかに、始めにタクシーに乗る俯瞰映像で、娘を「隠して」見えなくしてる映像がうまかったね。「ああ、そういえばあのシーン。やはり娘はいないのか、おっかさんの妄想だったか」てちょびっと思わされたものな。しかしだねえ。乗客や乗務員がジュリアを覚えてたらこの計画成り立たないんだし、おっかさんが目ぇ離してる隙がなきゃやっぱオジャンでしょ。搭乗記録はどうやって操作したわけ? 病院への電話はどうやって辻褄合わせたんだか。旦那を殺して棺調達して飛行機内から送金させて……ってあなたね、なんだってそんな膨大な手間かけなきゃならんのよと。爆弾の話以降は機長がおっかさんとじっくり話しゃすべてバレてるでしょうに。等々、ツッコミどころなんてもんじゃないですよ、この無理の多すぎぶりは。おっかさんのあたりかまわぬパニックは迷惑を通り越して大惨事もたらしかねないでしょうし(飛行機に詳しいんならわかってるでしょおっかさん)、機内という密室での人間消失というテーマゆえ集中凝視モードで観るには観れたはいいが終了直後ハラ立ってきたよなあ。アラブ人に荷物手伝ってもらったラストシーンで一言も謝罪の言葉がないのって何かに効かせてるつもりかい? さっぱりわかりませんなあ。後半をありきたりなアクションにしちまったのもなんかコクセプトが拡散しちゃったね。しかしまあこれ、寛容な観客にとってはとてつもなく面白い映画でありうるだろうな。現に俺でさえ面白かったとは言えるものな。話の破綻しまくりが腹立ったのもまぁ観賞中わくわくハラハラできたことの裏返しってことなわけで。
 ■シャドー・メーカーズ■ 普通に迫力のある原爆開発物語でした。これを観てグローブズ将軍の手記が読みたくなって、品切の邦訳書注文しました。原爆搭載機が飛び立ったテニアン島にまだ日本兵が潜んでいたとか、近くの島に日本軍部隊がいてウザイんでそこに落とす原爆くれと現地司令官が言った話とか、面白いトピックが満載です。映画のほうにはそういうのあんま入ってないけど。
 ■エコーズ■ 鬱陶しい夫婦喧嘩だなあ。のっけから疲れた。霊と会話する幼児という設定はありがちもいいとこだが、結局あの子、ほとんど活躍しないんだよな。霊能者のお姉さんもただ催眠術かける役ってだけだし、黒人霊能者もほとんど思わせぶりなチョイ出にとどまっちゃったし。同じモチーフの『ゴシカ』と比べると、常習的変態殺人と偶発的殺人との差がそのまま全体を支配してたかな。つまりこっちはかなりこぢんまり。歯が抜けたり爪が剥がれたりの幻覚も死体発見のとき対応シーンを「回想」させていて、なんかすっかり定石を踏まえてるじゃん、て感じ。うまく繋がればいいんでしょみたいな、観客を甘く見たとことん普通の、可もなく不可もない凡作。
 ■ディメンシャ13■ 悪女モノかな? と思ってたら早々に悪女が殺されちゃって、なんや焦点のわからん映画だったなあ。もうちょい絞ってや。
 ■プロフェシー■ 稀に見る愚作というか、要領得ないも甚だしい話だよなあ。実話だとか言ってるけどどことどことどこが実話なんだよ。ラストの橋が落ちたとこか? それとも蛾男とやらが目撃されたとかいう都市伝説部分か? 思わせぶりな特殊撮影の連発にはウンザリした。意味不明のもったいぶり、何かすごいことが進行している風のリアクション、どれもこれもダメダメ。だいたい冒頭の夫婦の気持ちわりいイチャツキからして好感持てなかったんだが、そもそも「ハッピー」てのはベタベタすることなのかよって。ホントとりとめのないゆるい繋がりで終わっちまったなあ。
 ■ガードレス 復習の女暗殺者■ えーとこれ、『寄生虫館の三姉妹』の監督なの? こりゃまたうってかわってしょぼくれたクズじゃないの。わざわざパワースーツ着るっつんでハードアクションなのかなと思ったら、ぬるいプロレスやるだけかよ。しかもごく短時間。目新しいワザは一つもナシ。見どころゼロだよう。どいつもこいつも演技も科白もヘタッピだし、好感持てる人物一人もいないし。生き返らせたテクノロジーも不明ときてるし、おでこ平手で叩いて「油断するなっつってんだろ!」はないっつってんだろもう。リキ入ってないクセしてしつこいんだよ。コメディやりたいのかアイドルモノやりたいのか、チマチマチマチマ、退屈にもほどがありますわ。キューティ鈴木なんて全然興味ないしこれ見るまで知らなかったんで、飛び入りでも楽しめる丁寧な映画創ってほしかったよ。演技も脚本も学芸会以下でしたわ。
 ■地雷撤去隊■ どーしょーもないクソ芝居マジメにやらんでください。ただ逃げればいいものを無意味に踏みとどまってコード切ろうとして無意味に死なんでください。(だいたい爆破するのが目的の地雷だぞ? アホか)。しかも二度も。いい加減にしないと怒るよ、もう。ラストの日米囚人の会話も、二人が相当いがみあってた式の布石が欠けてるもんだからジョークになってないよ。脚本家たるもの自分が書いたもの一度は読み直せ!