はしごで観て来ました。それが可能な上映時間の設営にしてくれてたので、助かりました。
一言ずつで感想を述べるとハンター×ハンターは「ご愛嬌」ベルセルクは「さすが」。
ハンター×ハンターはまずクラピカ追憶編をわたくしはジャンプで読んでたので(連載が始まったと思ったら劇場版宣伝のための読切だったんですね)そのプロローグ部分がだるかったのと、「緋色の幻影」と謳ってるなら、クラピカに焦点を絞って欲しかったのが、キルアがえらく情けない紹介のされ方で中途半端に出番張ってたのに、軽く失望です。
キルアもクラピカもクールさが魅力なんだから、そこンところは落とさずにシェイプアップして欲しかったなあと思います。
特にクラピカの目が緋色に変わる場面は、もっとクラピカの表情のアップを多用して、その緋色の神秘性を表現して欲しかったと思いましたね。
(萩尾さんの「スター・レッド」で1色刷りのザラ紙なのに、セイの見事な赤眼を表現していたシーンが突然思い浮かんだりしました。)
ご愛嬌という言葉が浮かんだのは、この映画の観客は恐らくはマンガをある程度読んでいて、ハンター×ハンターのファンという人が多いのじゃないかと思いますが、そうした場合、それぞれご贔屓のキャラクターというのがあるはずで、今回の劇場版のために登場した初お目見えのキャラは別として、恐らく最も人気の高い“蜘蛛”のメンバーを総動員してきたというのが、要因でしょうね。完成度ではなく、サービス精神に対して許すというかね。
ただ、どうしてセル画というのは原画の微妙な表情を崩してしまうのかいつも残念に思ってますが、ヒソカに関しては気にならなかったですね、声がらしくて、かっこ良かったですし、もともと表情のないイルミについてはその懸念はないし、戦闘シーンの動きのスピード、その際の身体のゆがみのディフォルメがやはりかっこ良かった。
ゴンは今回はいまひとつ主人公としての押し出し不足という印象がありますが、素直な目線で読みを間違えない「賢さ」を発揮していて、安心の正統派ヒーロー、応援したくなります。
それから、ゴンとキルアが移動手段として使ってた飛行船がおとぎ話っぽい雰囲気を持っていて、お子様向けサービスショットかいと思わず頭ん中で突っ込み入れたりした場面もあったんですが、つまるところは文字通りお子様向けで大人が鑑賞するのにはやはり物足りなかったというところです。
その点、ベルセルクはどアップのキスシーンやらSEXシーンがしっかりと描かれてますから、はっきりと大人向けです。
前回は序章ということで、期待感はあっても充分な満足は得られなかったのですが、今回はダークファンタジーの名作と呼ばれるその壮大で幻想的な世界が、画面いっぱい迫力満点に描かれており、絵面的にも魅力的なキャラクターやその衣装デザイン、説得力をもつ異世界の光景が重厚感を持って迫ってきてうっとりしてしまいます。
シュールだけれど、そのシュールさがリアルなんですね。
頻繁に出てくる「雲を浮かべた空」の画面が不必要に長く映されていないかと感じる場面もあるのですが、緩急のリズムの調整役を担ってるんですかね、すぐ引き込まれて行きます。
テーマは普遍で、おのずといろいろ考えさせられます。
ただ、ガッツのような生き方は自分には不可能なのですが、知らぬ間に自分を重ねている自分がいます。
アニメの技術的なものは分からないんですが、そしてある種の人たちからは非難されるかもしれませんが、血しぶきの飛び散るシーンなど、私は残酷というよりもその画面に舞う血色のはね具合に完璧なデザイン性を感じてしまって、どうやって絵コンテにしてるんだろうと思うんですね。
表現したい世界があるとき、下らない思惑でもって、主張を捻じ曲げたり、不都合なものを隠して本来の全体像を損なうようなことがあってはならないとも思います。
何といっても、スケールのでかさが気持ちいいですね。
まあ、今日は贅沢な鑑賞させてもらいました。しょもない感想で恐縮ですが、わたくしはまだ余韻を楽しんでます。
皆様もよい夢を。お休みなさい。