楽しいブログ生活

日々感じた心の軌跡と手作りの品々のコレクション

海野十三の予報省告示

2016-01-23 20:20:45 | 
今年から始めようと思ってたことのひとつが読んだ本の感想というか備忘録的なもの。
友人たちと徳島関連の文学人のまとめを趣味でやり始めて、まず海野十三から取り掛かろうと去年から何冊か読み込んでは来たんですが、表題の作品は小説というより、アイデアメモのような作品で、古典的SFテーマがズラリ羅列された感のあるちょっと変わった小品です。
仲間にあらすじをまとめたものを渡してきたので、自分が確認したい項目とあわせながら、この際少しご紹介といきます。

世界暦、人暦という大きな年代を設定して、徐々に人類がどのように発展し、世界が推移し、破滅に向かって終焉するかといういくつかのプロットの箇条書きのようなショートショートである。
人暦19463年に原子爆弾により地球はガス化してしまうという結末から告示は始まり、段々と過去に遡る形で世界の動きを予想している。
氷河期の襲来、人類の地球外移住、地球外生物との宇宙戦争、不老不死の実現、植物人間の出現、第三次世界大戦の勃発、宇宙旅行の流行、月世界探検の成功、日本の食糧問題解決、それ以前には日本は飢餓にあえぎ死者が続出という非常に現実的な、作者の生きた時代まで来て、最後はこれらの告示を見た読者の感想がいくつか紹介されて、唐突にお話が終わるという印象である。

海野は明治30年(1897年)生まれで昭和24年(1949年)に没しているが、前述の「日本は飢餓にあえぎ死者が続出」を世界暦1947年、「日本の食糧欠乏問題解決」を世界暦1949年としているのは、史実であり、それ以降の出来事が作者の予想であり、創作の世界史ということになる。
終戦が1945年だが、そのわずか10年後1955年には地球一周が半日で可能になり、宇宙旅行が始まるとある。
アメリカの航空技術を目の当たりにして、希望的観測があったのかもしれないと思うが、月も火星も制覇し、1990年には人間の寿命が無限となるとあるのは、はしょりすぎではと思っていたら、1999年、第三次世界大戦が勃発。
これ以降、転げ落ちるように人類は破滅に向かって突き進むんですね。

最初に書いたように、○○年にはこういうことが起きるといった覚書のような短い文章が、書かれているものの、それぞれの時代の出来事をひとつひとつ膨らませて独立した物語を作ることができるだろうと思われたのと、この創作世界が、あながち見当はずれでもなさそうだという感想を抱いてしまうのがなんとも切ない。

あのう、蛇足なんですが、投稿日時は現在日時にセットしてあるのに、この記事なぜか1月11日に飛んだんですね。原因はなんなんでしょう?
修正して、1月11日分は削除しますが、これも備忘録として、書いときます。
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