大阪市廃止の是非を問う住民投票(11月1日投票)をめぐり、大阪市なくすなの思いを胸に多くの市民が工夫を凝らして「反対」の声を上げています。ツイッターで公開されている全6ページのマンガ『みをつくし物語』が、読めば「都」構想の問題点がよく分かると話題を呼んでいます。(中野侃)
原作は「都」構想反対を訴える広告やチラシをツイッターで発信している40代男性、「shinoda」(@ssoshu)さん。作画はデザイナーの「タイライー」さんです。
原作を担当したshinodaさんは「いろんな問題があるものの言葉で言ってもなかなか受け取ってもらえません。ストーリーなら入りやすいと思い制作を決意しました」と語ります。
物語のテイストは時代劇です。「あうさか幕府(大阪府)」が治める地を舞台に、ある日突然、幕府が進めると言い出した「とこうさう(『都』構想)」について市民が考えるというストーリー。
「大阪市廃止を『おとりつぶし』、府税になることを『年貢を幕府に納める』みたいに、表現も時代劇風にしています」。大阪市の130年の歴史を守ろうというshinodaさんの思いが込められています。
タイトル「みをつくし」は航海の道しるべの意味を持つ大阪市の市章「澪標」から取りました。「古くから水の都と呼ばれた大阪市のシンボルマークです。大阪市が廃止されたらそれもなくなるってことに、まだほとんどの人が気づいていません」とshinodaさん。「一番納得いかないのは『都』構想のことがよく分からないまま決まってしまうことです。議論をして、自らで考えて、納得いく答えを出すきっかけにしてほしい」
マンガを読んだ人たちからは「マンガだからスッと入ってくる」「『都』構想のことイマイチ理解できてなかったけどこれは分かりやすい」「印刷していろんな人に配りたい」と反響が寄せられています。
マンガは、SNSなどで「都」構想反対の声を上げている40代女性「関西の主婦」(@kansai_no_shufu)さんがツイッターで公開しています。
阿倍野 「最大問題は住民サービス低下」
「大阪市廃止ノー、住民投票で市民の意思伝えよう」と11月1日の投票を目前に「大阪2区・市民の会」は18日、阿倍野区で市民・野党の共同街頭宣伝を行いました。平松邦夫元大阪市長、日本共産党の辰巳孝太郎前参院議員、立憲民主党の尾辻かな子衆院議員、社会民主党の長崎由美子大阪府連合代表、新社会党の早川義隆大阪府本部副委員長が参加しました。
平松氏は「賛成派は初期コストを大幅に削減したというが、特別区に新たに必要な議場も本庁舎も造らないのに241億円もかかる」と指摘しました。
辰巳氏は「最大の問題は住民サービスの低下。『改革効果額』と称しプールなど市民施設を統廃合させ、何とか黒字化させようというのが『都』構想の財政シミュレーション。大阪市を守るために、市民一人ひとりの共同が必要」と訴え。尾辻氏は「特別区の具体的な中身はあれもこれも決まっていない。わずか8回の説明会で、賛成か反対か今決めて、というのが今回の住民投票」と批判しました。社民党や新社会党からも訴えがありました。
現場・地域から「障害者福祉や介護保険など今まで市の窓口で調整していたものが、制度案では、特別区と一部事務組合とで窓口が分かれる。まさに二重行政になり現場が混乱するのは明白」(福祉保育労)、「年金が毎年のように下がる中、全国一高い介護保険料を引き下げるのが大阪市の役割。廃止は到底受け入れられない」(年金者組合)など訴えがありました。
― しんぶん赤旗より ―