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ごみ処理施設の民間委託を打ち出した「小川地区衛生組合」の中期計画 ― 2020.11/21ニュースNo.274

2020-11-21 | 阿部議員の週刊ニュース「あたらしい滑川」 

  小川地区衛生組合は11月14日、嵐山町役場ホールで「小川地区衛生組合可燃ゴミ処理のあり方の検討状況と今後の対応」についての住民説明会を行いました。80名の定員のところ72人が参加、その内22人が滑川町からの参加者でした。説明会の内容と問題点について報告します。

老朽化のため検討してきた

  滑川町など5町村が参加する小川地区衛生組合のごみの焼却施設は小川町中爪地区にあります。焼却の方式は「ストーカー式」というごみを階段状の上で移動させながら焼却していく方式で多くの自治体が採用している方式です。処理能力は1日62㌧ですが建設から44年が経過し処理能力も低下し、年2ヶ月の停止しての修理を行うなど老朽化しています。(県内で2番目に古く、1番古いのは久喜宮代衛生組合の焼却炉で45年が経過しています)

解散に伴い再検討

 そのため、この間「埼玉中部資源循環組合」に参加して新たな焼却施設建設を進めてきました。しかし、同組合が今年の3月に解散したため、新たな方針を検討せざるを得なくなりました。

現施設の改修か民間委託か

 説明で示された方向性は2021年度から10年間について①現在の施設を改修し、継続して使用する ②民間委託に切り替える(その場合開始までの調整が必要なため2022年度から、それまでは現焼却炉を使用) の二択でした。

 選択するにあたっての検討・比較については「環境負荷・住民サービス・コスト・継続性」について比較検討するとしています。

 比較検討の結果、民間A社が最も優位とするとしたのです。

A社に民間委託か

  A社の処理方式は「乾式メタン発酵方式」と「熱分解ガス化改質方式・残渣処理分」です。「乾式メタン発酵方式」の施設については2021年の秋に稼働予定としています。国内でこの方式を採用しているのは香川県観音寺市のみです。

評価の基準と検討結果について

  「環境負荷」については民間委託A社が焼却処理に比べてい環境負荷型施設であり、発電設備を備えている。焼却灰を発生しないことから最も優れている。「住民サービス・分別方法」については現施設・民間委託B社が変更ない。A社は変更可能性あり。「コスト」ではA社が最も低い。「継続性」は現施設またはA社が10年継続して処理できるとなり、最終的に民間委託A社が最も優れているとなっています。

参加者からは疑問の声

説明を受けて、参加者からは多くの不安の声、疑問が出されました。

阿部議員の疑問

「基本計画」に基づく検討がされたのか

  小川地区衛生組合は2018年に「一般廃棄物処理基本計画」を作成しその計画に基づいて運営してきました。そこには「埼玉中部資源循環組合が2015年に発足し協議が進められている」としてそれを前提にした計画になっており「2022年度より各町村から直接資源循環センターに搬入し処理が行われる予定である。…移管するまでの間可燃ゴミ処理は安定かつ安全に処理を継続するよう維持補修を行う」としています。この「基本計画」の変更が求められているのではないか。

慎重な検討を行ったのか。

疑問点…①8月に検討会が設置されわずか1ヶ月で案が作られ3ヶ月で現在至っている。
      ②中期的な検討期間を5年~10年としていながら今回10年とした点。
      ③現在の施設を改修して継続使用する場合のコストに国からの補助3分の1を見込まなかった点。
      ④民間委託A社の「乾式メタン発酵方式」「熱分解ガス化改質方式」などについて、住民に理解がされていない。身近
        なごみの問題について住民が理解しないで進める事になる。
      ⑤A社のゴミ処理費用は10年間変化ないのか。
      ⑥民間委託の場合、途中で倒産などで契約が継続できない場合はどうするのか。
      ⑦「長期的な対応」の中に新施設建設と民間委託の可能性を述べている。自治体のゴミ処理を将来にわたって民間
        に依存していく事が本来自治体の仕事であるべき「ごみ処理」として問題があるのではないか。

慎重な検討が必要だ

  「埼玉中部資源循環組合」で各自治体は多大な損失を被った。今回の説明会で出された意見も踏まえ、慎重な検討をお願いしたい。 

 

 

農民の営みを破壊する…種苗法改定強行するな

  これまで営々と続けられてきた農家の「自家増殖」を原則禁止(育成権者による許諾制)する種苗法改定案は、今国会での成立が狙われています。安全・安心な食を求める消費者の願いにも反するものです。(しんぶん赤旗より)

「自家増殖」を禁止する

  自家増殖とは、農民が購入した種子・苗を栽培・収穫し、翌年に再び自分の農地で使用することです。現行法の21条で、種子・苗の開発者の育成権が及ばないものとして、農家に認められています。

 改定案では、この21条を削除し、一律禁止。登録品種について育成権者の許諾を義務付けます。農民は、許諾料を支払うか毎年購入することになり、負担増となるのは明らかです。

「海外流出」根拠は破綻

 農林水産省は、一律禁止の理由として、海外流出の防止を掲げていますが、破綻しています。

 日本共産党の田村貴昭議員の「海外への持ち出しを防ぐことは物理的に無理ではないか」との質問に、農水省は「完全に止めることが難しいのはおっしゃる通り」と認めました。

 種子法廃止などで公的な開発体制が弱まるなか、種子企業による農業支配が強まるおそれがあります。

例外なく認めない日本だけ

  世界的には農民に自家増殖を認めることが常識となっています。

  米国でも植物特許を取得したもの以外は自家増殖が可能。欧州でも小麦などは「自家増殖」ができます。例外なく禁止するのは日本だけです。

 国連で採択された「農民の権利宣言」(2018年)でも農民の権利と規定しています。

 「自家増殖」を通じ、農民は、気候・風土、地理的条件に応じて多様な食料を人々に供給してきました。

 種苗法改定案では、品種の多様性、栽培技術を奪い、気候変動などへの対応力を失わせかねません。安全・安心な食を求める消費者の願いにも反するものです。

 

 

ひだまり

ドイツにケーテコルビッツという女性版画・彫刻家がいました。左官の親方の父のしごと場の職人から銅版画を学び、絵画への道を歩き始め彫刻や版画を極めます。医師の夫とともに貧民街に移り住み、周りの住人や夫の患者たちに強い印象を受け、貧困や苦しみを描くようになり、やがて平和主義運動へも関与していきます

▼彼女の生きた時代はまさに世界大戦中。高い評価を受けながらも、やがて台頭してきたナチス党の政権下で芸術家としての活動を禁じられるようになってしまいます

▼最末期の作品に『種を粉にひくな』という版画があります。母親がわが子を両手で抱きかかえた画です。種もみは翌年のために残し決して粉にしてしまってはいけないという意味のこの版画。戦火の荒れ狂うナチスドイツでのもと、未来の命を奪うようなことがあってはならないとの強いメッセージが込められたものです

▼今国会で成立が狙われている「種苗法改定案」。これまで農業者や消費者の批判から通常国会で継続審議となっていたものです。自家増殖を原則禁止とし、登録品種について育成権者への許諾を義務付け、農家は許諾料の支払いか毎年の購入か、いずれもが負担増になります

▼今回の改悪と同時に『農業競争力強化支援法』が成立され、農業試験場など公的機関が持つ種苗知見を民間に提供させられることになり、一部企業が種子独占の危険性が生まれます

▼遺伝子組み換え、除草剤の残留基準の緩和などの問題もあります。食の安全は、命の安全の保証です。儲け第一の企業に私たちの命を任せるわけにはいきません。種子は、農業者が莫大なコストと時間をかけ連綿として引き継いできたものです。『種は農民の魂』、コルビッツの版画と重なるものを感じます。(N子)


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