アニメを見て、それから定期的に何度も見返すほど気に入って、つい先日コミックスの方を全巻購入したところだ。
アニメ版から入った者としての率直な意見としては、原作者の画力は業界第一線級のものとは言えないと思った。原作を極めて少数で仕上げるのに対し、アニメ版は一定の勢力を持って制作されることを考えれば、大手制作会社により完成させられたアニメ版のデザインの安定感があるのは当然のことであり、アニメ版から入った者が抱いてしまう違和感はしょうがないと思った。
だが、全巻購入を後悔しているなどということは全く無い。この投稿記事はそもそも批評を綴るために執筆されているわけではないということをここに明言しておく。ならどういったモチベーションでこの日記を書いているかといえば、「小林さんちのメイドラゴン」を生み出した原作者、そしてアニメ化に携わった関係者の方々へのリスペクトと感謝の気持ちによって、現在に至っている。
何を隠そうこの俺は、角・ヘビ目・尻尾・翼を持った女の子つまり「ドラゴン娘」というジャンルに悶死レベルの嗜好を持っている。なので小林さんちのメイドラゴンはそんな俺のストライクゾーンをど直球で攻めた最強の作品と言っても過言ではないのだ。
僭越ながらズブのど素人が死ぬほど調子こいた意見を言わせてもらえるならば、原作のカメラワークと演出に少し残念なところがある。と思ってしまうのも、やはりアニメ版の完成度の高さがあるからということになるだろう。
話が変わるが、ここ数年の流行りである「なろう系」は異世界"へ"転生した主人公が何からしらの形で無双するというパターンが多いが、メイドラゴンに関しては、異世界"から"訪れたドラゴン達が我々人間の世界で無双するという異なったパターンになっている。考えてみれば、これは古いパターンなのだと書いていて気づいた。だから面白いとかなろう系が食傷気味だとか言いたいわけでは無いが、敢えてか知らずか流行りとは逆行していても魅力を感じるのは作者の力によるものだろうと思った。
余談だが、俺はエルマ推しである。スピンオフのOL日記のほうも勿論購入済みで非常に面白かった。
西尾維新の物語シリーズを原作で読み進めていた頃はよく「どんな風に映像化されるのだろう」という妄想を日々楽しんでいた時期があって、メイドラゴンのコミックでアニメ化されていない内容を読んでいると当時と似たような期待に胸が躍る。しかし、制作スタジオは悲惨な事故に見舞われ現在制作が予定されていた作品の話どころではない状況が未だに続いている。非常に悲しいことだ。理不尽で無惨な事件に巻き込まれてしまった人達は、日本が誇る文化の最前線を走り、守り、磨いていく存在であり、それこそ国宝級の方々と言っても過言ではない。
このブログでは「創作」がどれほど尊いものかということを何度も書いてきた。それを生業とし、大げさかもしれないが使命とし、楽しんで臨んできた人達が永遠に失われてしまったことが悔しくて堪らない。この悔しさをぶつけられる何かがあればいいのに、こうして拙い文章力で綴ることしかできない。
小林さんちのメイドラゴン、アニメ版の2期の制作が決定！！という言葉を見て、素直にとても悲しい気持ちになる。メイドラゴンに限らず、これから生み出されるはずだった素晴らしいアニメの数々とそれにより満たされる時間や嫌なことを忘れられる時間や多くの喜びがプツっと嘘のように消え失せてしまったなんて未だに信じたくない事実である。
しばらくの間、キーボードを打つ手が止まっていた。やりきれない気持ちが募る。
9巻の発売、待ち遠しいです。8巻は人間とドラゴンの絆を強く感じることのできた熱い物語でとても満足しました。
おわりっ
