日本橋丸善で開かれた いせひでこさん作・「ルリユールおじさん」の原画展に行ってきました。
『ルリユールおじさん』 いせひでこ
水彩で描かれた原画は、どれも美しく パリの町並みも、幼い女の子の様子も
それから年老いた職人の姿も すべていとおしくさえ感じられました。
いくつかの抜粋された絵だけでなく、本中のテキストと合わせて展示され
すべてのページを お話を追いつつ見ることが出来ます。
それだけではなく、本には用いられなかったエスキスの展示もあり
この少女の母親も登場しそうだったこと、少女は病院にも行ったのね と
そんなことも感じられ、楽しいひと時でした。
おそらくおばあちゃんとお孫さんだと思うのですが、仲の良さそうなおふたり連れにも
出会いました。 おばあちゃんのテキストを読む声に 耳を傾ける幼い子。
パリでの原画展のことを綴ったストーリーから推測する伊勢さんなら、このおふたりを
きっと微笑ましく嬉しく感じてくれただろう と思えます。
パリの原画展の様子を映した写真の展示もあり、フランス版の「ルリユールおじさん」の表紙や
このお話のモデルになった “本物のルリユールおじさん”のお顔も拝見できました。
『旅する絵描き』 伊勢 英子/著
“前へ前へと歩いていけば、モチーフはいつだってむこうからやってくる”そう思っていた
(おそらく)作者である伊勢さんが、足を止め、どのようにルリユールという職人と触れ合ったのか
『ルリユールおじさん』の裏側を知ることのできる1冊です。
絵本を好きになり 絵本に想いを馳せることも心地よいのだけれど
原画を感じたり作者に近づき、作品の裏側を知ることは、一冊の植物図鑑を愛し自分自身の
将来の構築に影響を受けた絵本『ルリユールおじさん』のソフィーに通じる部分もあるようで
久々に足を運んだ原画展での よい収穫となりました。