絵本の時間

小学校で よみきかせをしています。
毎週月曜日の朝の読書の時間は、
読み手にとっても 心温まる時間です。

おばあちゃんはハーレーにのって

2009年04月30日 | 本の紹介
 
 『おばあちゃんはハーレーにのって』 ニーナ・ボーデン/著 こだまともこ/訳

おばあちゃん、かっこいい! そう、この表紙の通りのおばあちゃん。
残念ながら、実際にハーレーに乗ってぶいんぶいんやってるシーンは そうないのだけれど
1本ぴしっと芯の通った振る舞いは、一般的な「おばあちゃん」とは呼べない。
<一般的>なんて書いてしまったけれど、ここでも所謂<一般的ではない家族>のありようが描かれる。
家族って? 親って? 保護者って?
本当の愛のある家族って、子どもの幸せを考えるって こういうことなんだろうなぁと 漠然と思う。

両親が旅役者だったため、幼い頃から祖母に預けられたキャット。 他人からはどう見えようと
キャットは充分、望んだように幸せに暮らしている。けれど、キャットの嫌いな両親が人気のある
テレビ俳優として有名になってしまった為に、娘を引き取りたいとの申し出があり・・・。
揺れる12歳の少女の心模様。

キャットが不幸せじゃなく、おばあちゃんからも、そして両親からも 「ちゃんと愛されてる」ってことに
救われる。

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4月 27日

2009年04月27日 | 今日の本
いつもの昇降口で集合していたら、クラスの代表者がそれぞれお迎えに来てくれました。
パウチされた紙を手にしていて、そのクラスの担当の読み手の名前が書かれています。
大変驚きつつ、とても嬉しく有難い気持ちで一杯になりました。 
9人で9クラス!みんな、休めないね!! と意気込みが増した気もしています。

1年 1組
 (K・I ) 暖かい季節なので、「3じのおちゃにきてください」から。「どろだんご」では、1年生になる前の気分を、しっかりと思い出してもらいました。どろのクッキー→「いらないよ~!」といいタイミングで声が上がりました。3冊目の「ふしぎなナイフ」は、ページをめくる度に大歓声。読み手の声も聞こえないほどの盛り上がりでした。

  
  『3じのおちゃにきてください』      『どろだんご』         『ふしぎなナイフ』

1年 2組 (T・H)まずは「はらぺこあおむし」のビッグブックで楽しみました。大きな本は、中身が違うかもよ~!?と始めました。付属のあおむしが顔を出すのを、楽しんでくれた様子です。「しゅくだい」はほんわりと暖かさを、「かずの絵本」は細かくヒヨコの数を「足りない!」と数えてくれた子もいましたね~。

  
   『はらぺこあおむし』        『しゅくだい』       『かずの絵本』

2年 1組 (K・F) このクラスでも、あさたろうデビュー! 思いのほか、静かな聞き手さんたちでした。
テレビ放映の話にも触れてみましたが、早朝のためか、知らない子の方が多いようです。また、あさたろうの続きを、読んでいきますね。

  
 『ねぎぼうずのあさたろう1』   『ねぎぼうずのあさたろう2』 『きんのおの ぎんのおの』

2年 2組 (R・K) 先週のもうひとつのクラスと同じ選書です。 春らしいお話から。
「はこのなかみは」は、ほんとに興味を持って見てくれます。明日は、遠足ですしね!お弁当箱も登場しましたよ。

  
   『ぐりとぐらとくるりくら』    『もりのせんたくやさん』     『はこのなかみは』

3年 1組 (N・I ) 4月がお誕生日の主人公のお話から。365日、毎日お誕生日プレゼントを開け続け、366日目を迎えたお話です。そして2冊目はゆるーいテンションの「バスにのって」。3冊目は小さな美術館のような「まるをさがして」。ミロやカンディンスキーなど20世紀の画家たちの描いた<まる>がたくさん登場します。

    
1ねんに365のたんじょうび~      『バスにのって』         『まるをさがして』

3年 2組 (Y・K) 
 
    『桃源郷ものがたり』      『ぼうさまになったからす』
6年 1組 (K・N) 以前に読んだこともあるでしょうか?6年生に初めに聞いてもらったのは「これはのみのぴこ」。「あ~、知ってる!」の声と、途中でクスクス笑い声もありました。 100万とか50億とか、大きな数が理解できるようになった学年なので、2冊目は宇宙につながるお話を。そういえば・・・<のみ>から<宇宙>へと、ずいぶん大きさに幅があったのですね~。

 
  『これはのみの ぴこ』  シロナガスクジラより大きいものっているの?

6年 2組 (Y・M) 導入は、ジュニアエラから。オバマ大統領もご愛読だった「かいじゅうたちのいるところ」を読みました。そして、お菓子作りやお料理の好きな男の子がいたので、「ぎょうざ作ったことある?」と2冊目を読み始めてみました。3冊目は、ちょっとクイズ形式に「やさいのおなか」を。<さつまいも>の断面は難しかったけれど、なかなか楽しんでくれた様子でした。

  
 かいじゅううたちのいるところ     『ぎょうざつくったの』       『やさいのおなか』

6年 3組 (A・H) 静かな雰囲気の中始まりました。「いっぽんばしわたる」も静か~・・・だったのですが、きりんが気付かずに渡るところでクスクス聞こえ、「元気に落ちる」と笑い声が。最後のページでは誰かが「ポチャン」と言ってくれました。2冊目は、一本橋つながりの「びゅんびゅんごまがまわったら」です。登場人物と同じ名前の男の子がクラスにいます。静かに聞いてくれて、暖かい風が流れたような感じでした。

 
  『いっぽんばし わたる』    びゅんびゅんごまがまわったら

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4月 20日

2009年04月20日 | 今日の本

平成21年度のよみきかせの活動が スタートしました。
私たちも3年目を迎え、今年度からは全学年の子どもたちを対象にさせて頂きます。

読み手の心構えを再確認すべく、全体の打ち合わせも心新たに行いました。
真摯な気持ちで よいものを選び きちんと練習を重ねて臨みたいと思います。

新1年生はもちろん、他の学年でも、もう一度お約束事の再確認をしました。
 ・ 他の人のじゃまにならないように
 ・ 知ってるお話でも、先を言ってしまわないように
 ・ あとで感想は聞きません。気楽に聞いていてください。


1年 1組 (K・N) 入学したての ‘はじめまして’の1年生。まずは、コミュニケーションもとれるように「きんぎょが にげた」から。 楽しそうに「いた!いた!」と探してくれました。 そして、<低学年は変温動物が好きだよ><科学の本や写真の本も選んであげて>というお話を聞いたので、「ダンンゴムシ みつけたよ」を大型絵本で。 ちっちゃなダンゴムシが、25センチくらいになりました。

 
  『きんぎょが にげた』       『ダンゴムシ みつけたよ』

1年 2組 (A・H) こちらも ‘はじめまして’の1年生。「どうぶつ しりとりえほん」でしりとり遊び。「ら・・・ら・・・ら・・・らいおん!!」と声を合わせてしまい、「終わっちゃうじゃん!」と気付いたのはページをめくる頃でした。 「せんたくかあちゃん」では、たーくさん干された楽しい洗濯物に、目を見張っていました。

 
  『どうぶつ しりとりえほん         『せんたくかあちゃん』

2年 1組 (R・K) よみきかせ聞き手暦も2年目を迎える2年生。まずは春を感じる「ぐりとぐらとくるりくら」から。 「もりのせんたくやさん」では、みんなが仲良くなれてほっとしますね。あの石けん、すごいけど、みんなも使ってる石けんなんだって! 「はこのなかみは」は、テキストは少ないですが、丁寧に描かれた箱の中身の描写が、とても楽しい本でした。他の学年にも読みたいですね~。

  
   『ぐりとぐらとくるりくら』    『もりのせんたくやさん』     『はこのなかみは』

2年 2組 (K・F) 今年は「あさたろう」でいきます!って宣言し、三度笠まで入手した読み手です。
普段は芝居にならないように気をつけている私たちですが、この本に限っては別です。<○○調で・・・>と書かれた作者の意図に合うように、頑張ってみています。ぴゅるるるるるるるぅ~~
「きんのおの ぎんのおの」は、最近CMにも使われているから、身近に感じられたかもしれません。

  
 『ねぎぼうずのあさたろう1』   『ねぎぼうずのあさたろう2』    『きんのおの ぎんのおの』

4年 1組 (K・I ) この学年の子供たちが1年生の頃に始めたよみきかせ。まずは、復刊されたばかりの「おなかのかわ」を。もう少しいつもの元気を見せて欲しいところでしたが、静か~に聞いてくれました。
理科の時間に「春」を探したので、春にあちらこちらで見つけられる「ハートの葉っぱ」のお話を。私たちは、帰りがけに学校の敷地内で見つけましたよ~!

 
  『おなかのかわ』   『ハートのはっぱ かたばみ』

4年 2組 (T・H) 3年生の頃2クラスだったのが 3クラスに分かれただけでも落ち着きが増したようです。とても静かに聞いてくれました。1冊目では、おとなしいけれど、最後の最後にはおとなしくなんてやってられなくなっためんどりの話を。2冊目は、ラオス・モン族の刺繍で描いた「かたつむりとさる」を。「いろ いきてる」は、鮮やかに流れる絵の具と、谷川俊太郎さんの言葉の絵本です。

  
  『おとなしいめんどり』     『かたつむりとさる』       『いろ いきてる』

4年 3組 (Y・M) まずは「ジュニアエラ」を開いて前フリです♪ そこに記事があるんですよね~。オバマ大統領の愛読書は「かいじゅうたちのいるところ」だったと。「おぉ~!」と声が上がりました。 ちょっと世相に触れながら、古典的な名作も読んでみました。 「ぎょうざつくったの」は、強烈な絵で、楽しい楽しい絵本です。隅々までじっくり見たくなります。

 
 かいじゅうたちのいるところ     『ぎょうざつくったの』

5年 1組 (Y・K) この学年が3年生の頃、本の数回よみきかせをさせてもらっています。当時のことを、思い出してくれたでしょうか? 「桃源郷ものがたり」はとても美しい絵を、静かに見てくれました。2冊目も静かなお話ですが、先の読めないストーリーを、静かに聞き入ってくれたように思います。

  
    『桃源郷ものがたり』       『ぼうさまになったからす』

5年 2組 (N・I ) 来週に控えた6年生と同様に、選書に頭を悩ませた5年生です。1冊目は「メアリー・スミス」。朝、自分で起きていますか?と尋ねたら、先生が大きな声で「はいっ!」と答えてくれました。昔、イギリスにあった本当のお仕事、朝起こしてくれるお仕事のお話で、実在したメアリー・スミスのこと。2冊目の「その気になった!」は、やはり4月の「今」聞いてもらいたかったものです。自分になった気になって元気がみなぎる!!

 
  『メアリー・スミス』      『その気になった!』

 

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シロクマたちのダンス

2009年04月10日 | 本の紹介


『シロクマたちのダンス』 ウルフ・スタルク/作 菱木晃子/訳

せつないけれど ちょっとコミカルで。 だから余計に やっぱりせつなくて。

学校で叱られてばかりの問題児・ラッセ。 そのラッセを、いつも心から愛し信じているシロクマ
みたいな父さん。大好きな父さんと、大好きな母さんと迎えたクリスマス・イヴの夜、母さんの
お腹に、父さんじゃない男の子どもがいることがわかってしまう。
ラッセは、大好きな父さんと別れ、母さんと一緒に、母さんの恋人の家に引っ越すことになる。


「うんうん、わかるよ。」 と ラッセに伝えてあげたくなった。
でもきっと、ラッセは、私が彼をどう思おうと 周りが彼をどう思おうと そんなことは関係ないって
心の底で思ってる。 「ぼくは ぼくだ」 と。
少しの寄り道は 好きなものを好きだと 大切なものを大切だと 知るために、どうしても必要
な時間だったんだって、思うよ。 そういうことって 人生には よくあるもの。


スタルクの作品は 心のいろんなアンテナに 絡んでくる。 大好き。
   

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世界でたったひとりの子

2009年04月06日 | 本の紹介
  『世界でたったひとりの子』 アレックス・シアラー/作  金原瑞人/訳

医療が進歩し、人々が 永く生きられるようになった。
ほとんどの人が老化防止剤を服用するようになり、皆見かけは40歳くらいなのに、中身は100歳を
超えているという世界を描くSF小説。
子どもの存在が珍しくなり、子どもの売買や誘拐、果ては子どもを使った商売が成り立つようになる。
このお話の主人公・タリンも、そんな貴重な子どものひとり。
親ではない身元引受人のディートと一緒に、町から町を渡り歩き、午後のひと時をどこかのお金持ちと
過ごす。そこで得た収入を生活の糧としているため、タリンはディートの金のたまごでもあるのだ。

子どもは成長し、やがて大人になる。
タリンもいつまでも子どもではないが、大人になられては困るのがディート。
ディートはタリンにPPインプラント手術を受けさせようとする。
PPとはピーターパンの略で、外見だけは子どものまま成長を止めてしまうというもの。
そんな状況のタリンが 記憶の奥底の望みと感じているのが 歌のような一節。
  ~はるか遠くに緑の土地がある。いつの日か、あの場所に行こう。~

大人になってみたいと願う少年が、どうやってこの世界で生き抜くのか・・・。


「死にたいか?」と問われれば 少なくとも私は 死にたくない。
けれども、「永遠に生きたいか?」と問われるならば それも否で、とても回答困難である。
少子化と言われる昨今の近未来かというと、ここまでの状態は想像を絶するが、お金や技術の進歩
に頼りすぎた結果だとすると、薄気味悪いものを感じる。
しかし ほっと安堵を覚える結末は、児童書として安心して手にとることができると思う。

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殺人者の涙

2009年04月03日 | 本の紹介
  『殺人者の涙』 アン=ロール ボンドゥ/著  伏見 操/訳

チリ最南端の 風が吹きすさぶ荒野に ひとりの男がやってくる。
知性のかけらもなく、乱暴で凶暴で、取り返しのつかないいくつもの罪を犯した男は
ここでもまた、一軒家に住む貧しい夫妻を いとも簡単に殺してしまう。ポケットのナイフで。
なぜなら、男がそこに 留まるために。
だが 夫妻の子どもは殺さなかった。 そこから 男と少年の 不思議な共同生活が始まる。

淡々としているけれど とても丁寧な訳に、どんどん引き込まれるのがわかります。
読みながら 乱暴な素手で心を鷲掴みにされるような痛さと 反対に「愛」「信頼」という美しさ
をも感じることができたのかもしれません。
なんというのか・・・。 この本を児童書の枠に入れていいのかと考えてみたり、それだからこ
そ「児童書」なのかと思ってみたり。

「愛」にはいろんな形や色があり、故に残酷とも思える場面があること。
そして 人の一生の中で 「受容」や「変化」は 新しい自分をもたらすこともあること・・・。 
簡単な言葉で「面白かった!」という感想は持てないのですが、一言で言うなら「良い作品に
出会えて感謝」。 そんな読了感です。


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チェンジ!

2009年04月01日 | 本の紹介
  『チェンジ!』 アレックス・シアラー/作  奥野節子・佐々木ひとみ/訳

またまたシアラー作品です。

この作品は 「ミッシング」がそうであったような 霧の向こうを見定めようとするようなものではなく
サブタイトル「ぼくたちのとりかえっこ大作戦」のまんま!・・・楽しいお話でした。

誰からもあまり必要とされていない(と思っている)ビルが、ふとした事で世界で一番有名な子供・
ベニーのそっくりさんになってしまう。 
ベニーの父は世界中で有名なサッカー選手、そして母は有名なグループの歌手・・・とくれば
誰のことをモデルにしているかは・・・わかりますよね?
ベニーのそっくりさんになってしまったビルは、たちまち人気者になり、学校中で一番美しい
女の子と並んで歩けるようにもなる。いわば、手のひらを返したように周囲の対応が変化する。
ちょっといい気分だし、本物のベニーの生活を味わってみたいと、憧れは湧き出てくる。
あるきっかけでベニーと知り合ったビル。二人のそっくりな少年は、ちょっとした好奇心から、
入れ替わってみることにした。それが「とりかえっこ大作戦」!!

子供だけじゃなく、大人だって誰かをうらやんでみたり、憧れてみたりはするもの。
でも、本当に大事なものって何かな?
他人にない自分だけのもの。ほっとする結末は、正しい心の置き場を示してくれているようです。

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この世でいちばん大事な「カネ」の話

2009年04月01日 | 本の紹介
  『この世でいちばん大事な「カネ」の話』 西原理恵子/著

ちょっと引いてしまうタイトル。 でも、内心、結構そそられるタイトルでもあります。

以前「いのちの食べかた」を読んだが 同じ「よりみちパン!セ」のシリーズ。
YA(ヤングアダルト)向けだけれど、YA世代だけに読ませるのはもったいない。
知ってるつもりで知らないこと。知ってるつもりになって口では語れないこと、
そんなものを 突きつけられる感じです。 すごい。ほんと、「よりみちパン!セ」面白い。

この本は、お金の大切さを説き、故にお金を大事に使いましょうと言っているのではない。
生き抜くために「お金」はバロメーターになっているけれど、これは著者・西原さんの生きた道。
俗っぽいお話と侮るなかれ。
タフに生き抜くこと、自分と世の中の関わり、そして世界の子供たちのこと・・・。

グイッと迫るものがあります。
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