絵本の時間

小学校で よみきかせをしています。
毎週月曜日の朝の読書の時間は、
読み手にとっても 心温まる時間です。

龍の腹

2010年10月28日 | 本の紹介
『龍の腹』(くもんの児童文学) 中川なをみ/著  林 喜美子/画

日本では 鎌倉時代。 北九州の博多の反物商人を父に持つ太郎は七歳。 二歳の頃に母を亡
くしたが、乳母や番頭たちに大切に育てられてきた。 ある時、日本の政(まつりごと)には、中国
の進んだ焼き物が必要だと考えた父の意思により、商いを閉じて、太郎と父は中国へ渡る。 
「反物より、器だ。」
中国は、宋の時代。 太郎は八つになっていた。訪ねたのは、素晴しい焼き物で有名な「龍泉」。
圧倒的な大きさで厳粛な空気を放つ登り窯は、あたかも龍のようだった。

中国でつけられた息子の名前は「希龍」。
「おまえの名前はきょうから希龍だ。おれの希(ねが)いが龍になった」


そこから始まる希龍の人生は、歴史とともに歩み、たいへん過酷なものです。 宋から元に移行す
る戦いもあります。 人の裏切りを感じることも、意のままにならない人生を送る友を受入もします。
しかしながら、出逢う人々の温かさ・強さに負けないくらいに、希龍の力強く焼き物に懸ける気持ち
が清清しく潔く、気持ちのいいものでした。 
父親の消息や、我が子のようにかわいがった由育(ゆいく)の最期など、もう少し知りたくなる程度の
語り(若干の物足りなさ)ゆえに、希龍自身がひとりで切り開く人生を中心で感じることが出来、そこ
ここに散りばめられた力強い考え方や格言のように美しく素晴しい言葉に、心の底から突き動かされ
る思いでした。  スケールが大きく、たいへん読み応えがありました。

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10月 25日

2010年10月25日 | 今日の本
1年 1組 (E・F&K・N)

 
  『かめのヘンリー』  『ぐげごさんとふへほさん』

1年 2組 (R・K&M・K)

  
しずかに!ここはどうぶつのとしょかんです     『うずまき』         『ふしぎなしろねずみ』

1年 3組 (Y・K)

  
   『あたごの浦』      『あおい玉 あかい玉 しろい玉』       『がたごとがたごと』

2年 1組 (N・S)
     
  『にじいろのさかな』       『うえへまいりまあす』       『ねずみくんのチョッキ』

2年 2組 (Y・M)

  
 『パパ、お月さまとって!』    『よかったねネッドくん』       『ぶたのたね』

 
つきよのおんがくかい  『みんながおしえてくれました』

4年 1組 (T・H)

    
    『どんぐりかいぎ』         『つきよのキャベツくん』    『ねえ おはなしして』

4年 2組 (N・I )

   
『てんぐのかくれみの』   わゴムはどのくらいのびるのかしら?          『おこる』

5年 1組 (A・H)

  
『おにのめん~落語絵本』   『だじゃれしょくぶつえん』

5年 2組 (K・F&K・I )

     
『ゴッホとひまわりの少年』  どうするどうするあなのなか    『からだのみなさん』
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わたしは、わたし

2010年10月20日 | 本の紹介
 『わたしは、わたし』 (この地球を生きる子どもたち)
                       ジャクリーン・ウッドソン/著 さくまゆみこ/訳

ある日、突然、

居場所も 友達も 過去も そして名前さえ失うとしたら・・・。


表紙の少女、名前はトスウィア。アメリカに住む、黒人の女の子。
トスウィアの父親は、警察官。地域でただ一人の黒人の警察官。家族の自慢でもあった。
ある夜、仲間の白人警察官が、罪のない黒人少年を射殺するところを、父親が目撃してしまう。
真実を語るべきか、仲間を守るか・・・  「どちらも正しくて、どちらも正しくない」選択を迫られる。
父親は、「黒人である以上、その射殺された少年が自分の娘だった可能性もあるはずだ」と思い
正義を通した。 仲間の犯罪を、法廷で証言したのだ。
ところが、事実を証言する、という当然の行為が、家族の生活をがらりと変えてしまうことになる。
証人の身の安全を確保するために、家族全員のアイデンティティを変えて、見知らぬ土地での
生活が始まる。 家族の苦悩の上の模索、自分を取り戻すという作業は、命をも脅かします。

アイデンティティ・・・。 辞書で調べると、『 自己が環境や時間の変化にかかわらず、連続する
同一のものであること。主体性。自己同一性。「―の喪失」  本人にまちがいないこと。また、
身分証明。』 とあります。
「リセットしたい」 簡単に口に出来はするけれど、それまでの自分を失くしてしまうその喪失感は
きっと私には想像できません。
あとがきで知りましたが、アメリカには裁判で重大な証言をした者が、危害を加えられたり殺され
たりしないためのシステム『証人保護プログラム』というものが、本当にあるのですね。
ただし、このシステムでも保護される者たちは、それまでの暮らしや社会的地位やアイデンティティ
を捨てて、別人として別の場所に暮らすことになるのだそうです。
正義を通した人、正しいことを発言した人がこんな目にあうなんて・・・なんだかやりきれない。
本書は、人種差別の問題だけでなく、人が「自分自身」として生きることを深く考えさせてくれます。

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Petey ~ピーティ

2010年10月13日 | 本の紹介
『ピーティ』 (鈴木出版の海外児童文学~この地球を生きる子どもたち)
                    ベン・マイケルセン/著  千葉茂樹/翻訳

とても深い内容で、途中までは感想を言葉にするなんてできないと思っていた。
難しいテーマなのに、読後に、地球に生きる子どもたちを題材にした児童文学なのだと知り、
表現や感情がストレートに感じるのは、子どもに判り易くしているからかと推し量ってみたり・・・。
それでも終盤は、本当にあたたかく優しさに包まれていて、心に沁みるお話だった。

ピーティは、脳性小児麻痺で生まれた子ども。当時はその症状が正しく理解されていなかったために
脳性麻痺の子どもは、自分の意思で表現するのが困難なために、知的障害も併せ持っていると信じ
られていた。全てを理解でき自分の意思を持っているのに、なにも考えられない人だと思われていた。
今は正しく理解されているのかと言えば、当事者やご家族にとっては、もしかしたら世間は偏見で満
ちているのかもしれないけれど。
ただ、「脳性麻痺の正しい理解がされてなかった頃の・・・」という件は、あとがきを読んで思ったこと
であり、私の実際の感想はそういうことでなはい。
ピーティのそばに、彼を理解してくれる友人がいてくれたことへの喜びと、彼の心の清らかさと、誰か
を誇らしいと感じる気持ちの美しさ、そういうものを感じることが出来て、悲しみの振り幅の分だけ、
温かさを感じたのも事実。 優しいことは強い、ということはこういうことなのだと、あらためて感じる。
そして、同じような家族を持つものとしてのトレバー少年への感謝の気持ちは、溢れてやまない。
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おれのおばさん

2010年10月12日 | 本の紹介
『おれのおばさん』 佐川 光晴/著

登場人物も、それから お話も、とてもパワフル。

東京の進学校に通う中学2年生。 平均より上の平凡な家庭で育ったつもりだったのに、その父親が
突然逮捕された。多額の借金も負わされ、母が働くために、母の姉の下へと連れてこられた。
東京から北海道へと。
その間、たったの2日。 その「母の姉」というのが、なかなかの兵で面白い。変わった経歴をもつ「お
れのおばさん」は、児童養護施設で中学生の男女と、痴呆の自分の母親の世話をしている。
悲しむ暇も与えられないような日々に翻弄されながらも、様々な人の考え方、温かな人たちとのふれ
あい、世の中のギモン・歪を感じる中学2年生の成長は、爽やかで力強い印象を残してくれる。

そここに現代的な問題を抱えているお話なのに、痛快な読後感なのは、やはり「おばさん」のパワー
によるものか?
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子どもと本に、寄り添うこと

2010年10月08日 | 本の紹介
       『トマスと図書館のおねえさん』 

  『ぼくのブック・ウーマン』

よみきかせの講習会で、ご紹介頂いた中の2冊。
ただ、本を読む大人なのではなく、子どもにとっての「本」というものを考え、子どもの将来をも考える
大人として在れているかどうか。
そのことを、きちんと自分の言葉で話すことが出来て、行動ができているかどうか。
子どもがいて、本があって、私たち読み手がいるスタンスから、もし「本」がなくなっても、その場に寄り
添っていられる恥ずかしくない大人かどうか。 

『トマスと図書館のおねえさん』 は、カリフォルニア大学学長の幼い頃の実話を描いたもの。
アメリカ中を移動しながら、農家の作業を手伝うことで生計をたてている両親のもとで育つトマス。
トマスは、学校に行くことができません。 ある町の図書館で、親切な図書館のお姉さんと出会い、
中に入ることをためらうトマスは 「中に入って お水を飲みなさい」と 、背中を押してもらうのです。

『ぼくのブック・ウーマン』 は、80年ほど前の不況下のアメリカでの話し。貧しい暮らしの中でも、その
国の政治家たちは、「子どもに本を読ませたい」 と願うことを忘れなかったのです。
(私たちの国の政治家たちは、今、こういうことを言ってくれるでしょうか? 講師の先生の言葉です。)
交通の便も悪く、学校にも行けず、本を読める環境にない子どもたちの下には、定期的に本が届けられました。 馬にまたがって、山道を進み、どんな悪天候でも本を届けてくれた女性たちは、ブック・ウーマンと呼ばれました。 実在した職業を描いたお話です。

子どもと本に寄り添うことにかかわろうと思う大人は、ぜひ手にしたい本だと思いました。
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アナザー修学旅行

2010年10月06日 | 本の紹介

『アナザー修学旅行』 有沢 佳映/著

図書館の新着図書より


中学3年生。様々な事情により、修学旅行に参加できなくなった人だけが集まった 即席のクラスメイト。
足を骨折してしまったから、前日に喧嘩で問題を起こしたから、対人関係を上手く築けないから・・・。
知ってるけれど そんなに知らない同年代たちが 同じ教室で過ごした 3日間は、少しだけ波の立った
広い広い海原であるかのよう、そんな形容がされていた。
気心の知れた者同志で同じ空間にいると、同じ形の『波』しかおこらない。例えば、長い間学校を欠席し
て、家族とだけ過ごした日々。おそらく 同じ波長の中で過ごしていると、異なった波に遭遇したとき、た
ぶん、すごく、弱い。即席のクラスメイトの中では、もちろん居心地の悪さもあるけれど、普通では考えら
れない刺激になる波が 寄せてくる。 

いろんな人がいるんだー、いろんな人が。

中学生の子どもたち、きっと楽しく感じてくれる気がする。

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10月 4日

2010年10月04日 | 今日の本

1年 1組 (Y・K)

  
  『あおい玉 あかい玉 しろい玉』     『竜のはなし』         『がたごとがたごと』

1年 2組 (K・N)

 
『トンちゃんってそういうネコ』   『スーホの白い馬』

1年 3組 (N・I )

 
 『はろるどとむらさきのくれよん  『びっくりまつぼっくり』

3年 1組 (K・F)

 
   『かぐやひめ』      『14ひきのかぼちゃ』

3年 2組 (Y・M)

  
  『パパ、お月さまとって!』     『ろくべえまってろよ』       『やさいのおなか』

5年 1組 (R・K&T・H)

  
    『ふしぎなやどや』      『ねえ おはなししてよ』            『いちにちおもちゃ』

5年 2組 (A・H)

 
『おにのめん・・落語絵本』   『だじゃれしょくぶつえん』

6年 1組 (K・I )


  『やまんばのにしき』

6年 2組 (N・S)

  
  『にじいろのさかな』      『うえへまいりまあす』        『ねずみくんのチョッキ』

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