絵本の時間

小学校で よみきかせをしています。
毎週月曜日の朝の読書の時間は、
読み手にとっても 心温まる時間です。

7月 14日

2008年07月14日 | 今日の本
今日も 暑い暑い
子どもたちと一緒に教室に居ると、じわぁ~っと暑さが身に沁みます。
こんなに暑いのに、床に座ってぎゅっと集まって聞いてくれて、いつもどうもありがとう。
もうすぐ夏休み。今日で1学期のよみきかせは 終了です。
2学期は、運動会も終わって、9月の下旬からの開始になります。
それまで、みんな 元気でね♪ 新しい本も読めるように、またお勉強しておきますね!


1年 1組 (T・H & A・H) 時間になる前から、きれいに座って待っていてくれました。
クラシックなお話「100まんびきのねこ」は、なかなか後ろの方まで絵が見えづらいため、今回は、ねこで埋まった道や丘を、さらりと説明したり指差ししたりしながら読んでみました。 長いお話の後は、可愛らしい「くろねこかあさん」で。「やさいのおなか」は、じっくり見て野菜当てを楽しんでくれました。廊下にも響き渡る元気な声でしたね。

   
    『100まんびきのねこ』        『くろねこかあさん』           『やさいのおなか』


1年 2組
(K・N & Y・K) 1学期にあさがおの種を撒いた1年生に、“あさがおの種とセミの種を撒いた女の子のお話です”と言って「セミのたね」を読んでみました。楽しんでくれたようです。夏休み、セミの抜け殻のブローチ、見つけてみてね。「おおきなカエル ティダリク」では、先住民族のお話ってとこが頭に残ったようで、読後に「外国の人なのに、日本語ですごいなー」って呟きがきこえました。 3冊目の「ドワーフじいさんのいえづくり」では、“でけぇ~!”と、みんなで作りあげる大きな家を 楽しんでくれました。 本当は、細かいところも見て欲しい絵本です。休み中に、ぜひ図書館で借りてみてくださいね。


   
       『セミのたね』        『おおきなカエル ティダリク』 『ドワーフじいさんのいえづくり』

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旅ねずみ

2008年07月11日 | 本の紹介

学校で読んだ本を記録していますが、合間に本の紹介もしています。
小学校高学年~大人まで読める本を中心に読んでいます。 ご参考まで。


  『旅ねずみ』 松居スーザン/作  スズキコージ/絵
        平成20年度 埼玉・夏休みすいせん図書(小学校5~6年生向け) 

「おっ!スズキコージさんじゃないですか!」と嬉しい気持ちで手にした1冊。
これは完全なる私の先入観でしかないのだが、スズキコージさんの絵はとてもとても個性的(?)なので、こうして公に「すいせん」なんてしてくれるのが嬉しくなる。 逆を言えば、公の方々が、なかなか「すいせん」なんてしてくれそうにないと思ってしまうから。

この本は、いつもの スズキコージさんの強烈な絵と、ちょっと趣が違う気がする。とはいえ、描き込まれた表紙なんて、とても美しいのも事実。

野ねずみのタルーンが、住み慣れた森を飛び出し、旅に出ると決めました。気ままに歩き、かしわの葉にのって川に流されたり、ふくろうに襲われそうになったり・・・そんな冒険物語。
高学年に推薦するには、かなり字数が少ないのですが、きらりと光る言葉に気付くと、それはそれは素敵です。 この言葉たちをふるいにかけたら、きっと、ずっと大切にしたい言葉の宝石が残るに違いありません。

野ねずみタルーンは、例えばこんな言葉を放ちます。

  「ぼくは旅にでる。がんじょうな家をたてたり、食べきれないくらい食糧
   
をあつめたり、自分をただまもるような暮らしなんて、もうやめた。生き
   るって、もっとすごいことなんだ。」

  「ぼく、どうなってもいいといったけど、それはまちがいだった。
   もっとたくさんのすてきなところや、美しいものが見たい。だいじな友だ
   ちにも、また会いたい。ぼくは、もうだいじょうぶ、元気になったよ」

  「きれいなものをひとりで見るより、だれか
   といっしょに見るほうが、ずっといいにきまっているのに!」

  「そうだ。生きてるって、それがほんとうの旅だね」


子どもだって、大人だって、みんな旅の途中だと思いたいものです。

  
 

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曲芸師ハリドン

2008年07月09日 | 本の紹介
学校で読んだ本を記録していますが、合間に本の紹介もしています。小学校高学年~大人まで読める本を中心に読んでいます。 よろしければ、ご参考までにどうぞ。


第54回 青少年読書感想文全国コンクールの 中学生課題図書。



  『曲芸師ハリドン』 ヤコブ・ヴェゲリウス/作  菱木晃子/訳

          この印象的な 表紙も、そして挿絵も、著者の手によるものです。

ハリドンは 曲芸師です。一輪車に乗り 銀色の球をいくつもいっぺんに操るのが得意です。
ハリドンは <船長>とふたりで暮らしていました。昔、<船長>が支配人を務める劇場で知り合ったのがきっかけです。
でも、そのハリドンが安心できるのは、人々から喝采を浴びる曲芸をしているときと、<船長>とふたりでいるときだけでした。
ハリドンは 知っていました。これまで悪い人間にたくさん出会って学んだこと、「他人を信用しないのが身のため」だということを。

いつもハリドンは淋しいのです。不安なのです。誰のことも信じられません、そう<船長>以外は。
ある日、家に帰ったら、<船長>がいません。
いつも必ず帰ってくるじゃないか・・・と思い込もうとすればするほど、積み重なる不安・不安・不安。
いたたまれずに<船長>を探しに出かけるハリドンに、決してラッキーとはいえないいくつかの出会いが訪れます。

たったひとつのものに委ね・頼りすぎてしまうばかりに、自分自身を自ら陥れてしまうことがあります。 これは、「人」であったり「もの」であったり「地位」であったり「財産」であったり・・・
ハリドンの場合、一見にして<船長>の存在であることはわかりますが、実はそれは、自分自身の存在価値を見出す為の手段であるようにも感じます。
もちろん、ハリドンも大切に感じるものがあればこそ、再びあたたかい家へと戻ることが出来るのですが・・。
人は誰しも果たせなかった夢を、“諦め”とは別の形で心に持ち続け、そういうものと共存することで心のバランスも保っているのかもしれません。

読みながら、ふと“中学生への課題図書”であることを思い出し、この不安が押し寄せる悲しみの中から、中学生に何を見出せと期待しているのか?かなり困難では?とも思えました。
それでも、私はこの淡々としたお話が好きです。 きっと読むたびに、新しい感じ方ができるお話なのではないかと思います。あるいは・・・悲しみや不安の経験が多いほどに、感じ入れるものなのかもしれません。


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7月 7日

2008年07月07日 | 今日の本
今日は 七夕です。
毎年、雨の七夕が多いのは、織姫様の涙・・・なのですね。 私は絵本で知りました。


1年 1組 (N・I ) ぜひこの日に!と思い選んだ「たなばた」の絵本。初山さんの絵は、幻想的でとても美しいです。 大勢を前にしたよみきかせではどうなのか?とも思いましたが、静かに楽しんでくれたと思います。 「わにわにのおふろ」は、愉快な擬音が多く、読み手としては難しさもありますが、いつも子どもたちは“怖かわいい?”わにわにを楽しんでくれます。

   
   『あかいろくんとびだす』        『たなばた』          『わにわにのおふろ』

1年 2組 (T・H)  偶然、1組さんと同じ「たなばた」の本を選んでいました。 
「こねこのレッテ」は、かわいい子猫の一日を追ったお話です。お気に入りの場所があって、そこに帰れば落ち着ける・・・安心できる結末です。 「みんなおなじ・・・」では、説明をつけつつ楽しみました。

   
       『たなばた』           『こねこのレッテ』     みんなおなじ でも みんなちがう

2年 1組 (N・K) 前回読んだ「あさえとちいさいいもうと」の続編になる「いもうとのにゅういん」を、予定通り読みました。 違う本の中で登場人物が成長するもの(「サリーのこけももつみ」と「海べのあさ」等)を紹介しようかとも思いましたが、今日は楽しい発見!をご紹介しました。みんな知ってる「はじめてのおつかい」の登場人物(「牛乳を買う女の子の家族」と「たばこを買うおじさん」)が、「いもうとのにゅういん」の病院に登場しますよ!  それから、夏休み前なので「せみのたね」を。クスクス笑っていましたが、きっと真似したい子、いると思うんですよー。

   
どうぶつにふくをきせてはいけません  『いもうとのにゅういん』        『セミのたね』

2年 2組 (K・I ) 2年生のふたクラスで同時進行した「あさえとちいさいいもうと」とのセットでのよみきかせ。 姉妹が成長したことを理解しつつ、感情移入してひとりのお留守番は「怖い~」と思ったり、「手術だなんて、大変だ~!」と心配したりして楽しんでくれました。
「よるのねこ」は、絵が美しく、リズム感があり素敵な絵本です。 メンバーの好感度“大”の絵本でした。

                 
       『よるのねこ』          『いもうとのにゅういん』

3年 1組 (Y・K) 1冊目の「みみずのかんたろう」は、どのページを開いても、絵を楽しめます。作者の田島(たま)征彦さんは、「とべバッタ」等の作者・田島(たま)征三さんと双子のご兄弟です。 迫力のある絵にも、頷ける気がしますね。 「ドワーフ・・・」は、こんな家に本当に住みたくなり、どの部屋がいいかな~?と想像が広がります。それもそのはず!元建築家の作者が描いた絵本ですもん。3冊目は、他の学年でも読んでいる「がたごとがたごと」 3年生になって、すっかり落ち着いてきた子どもたちも、こんな電車に乗ってみたいなー!って思ってくれたでしょうか?

       
    『みみずのかんたろう』  『ドワーフじいさんのいえづくり』     『がたごとがたごと』

3年 2組 (A・H) 夏休み前なので、日常生活に密着した「せみとりめいじん」を。こんな虫取り網の作り方もあるんですねー。ぜひ、真似して作ってみてね! 「きょうりゅうのかいかた」は、元気な3年生にぜひぜひ読みたかったのです。 犬や猫を飼うように、お父さんが恐竜を連れて帰ったら、どんな楽しいでしょうね?みんなも飼ってみたいかな~? 「けっして・・・」の面白さは、もっと大きい子の方がわかりやすいのかな・・・いろいろ考えつつの選書になりました。
   
   『せみとりめいじん』   『きょうりゅうのかいかた』   『けっしてそうではありません』


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兵士ピースフル

2008年07月02日 | 本の紹介

学校で読んだ本を記録していますが、合間に本の紹介もしています。小学校高学年~大人まで読める本を中心に読んでいます。 よろしければ、ご参考までにどうぞ。


第54回 青少年読書感想文全国コンクールの 高校生課題図書。


  『兵士ピースフル』 マイケル・モーパーゴ/作  佐藤見果夢/訳

背景は 第一次世界大戦。
前半は、貧しいながらも幸せに暮らす一家を描く。 家長を失ったのち、母と、知的障害を負う長兄・ジョー兄ちゃん、チャーリー、トモの4人で過ごす家族。
大きな権力に従わざるを得ない 封建的な環境ではありましたが、母の強く深い愛情と、長兄を守ろうとする家族愛・兄弟愛に溢れ、そして幼馴染の少女・モリーも含めた幸せな暮らしぶり。
母は、どんなことからも子どもたちを守り抜く強い意志を持っていたし、チャーリーは強く正しく、いつも弟のトモを守ってくれます。トモはいつもチャーリーと一緒でした。チャーリーは、兄であり友であり憧れであり、トモにはなくてはならない人生の支えでもありました。
その小さな幸せを奪い去るのは 戦争。 ほんの軽い思いつきで志願した戦争。
後半に描かれる戦場は、悲惨なものでした。空しい気持ちがなくなることはありません。兄弟には、過酷な毎日が訪れ、さらに残酷な結末まで迎えなければなりません。

引き金を引くのは人間です。そのボタンを押すのも人間、裁くのも、射抜くのも、奪うのも。

英軍では、290名を超える軍人が、仲間の兵士から受ける銃殺刑を言い渡されたそうです。その罪名は、脱走や臆病行為。 その中の2名は、見張り中に居眠りをしたという たったそれだけの理由であったことも事実です。 軍事裁判に要する時間は、ほんの20分。その僅かな時間で、人の命を奪う宣告をされたのです。
この小説には、その事実に基づいた 作者の怒りが込められています。

哀しく、やりきれない空しいままのままの読了感です。
戦争によって引き起こされる矛盾と、敵が誰なのかもわからない戦いは、無力な者を陥れます。たとえ それが正しい者でも。
本当の敵は、歴史上の敵ではなく、人間味の欠如した思想と、その愚かな行為そのものだと思わずにはいられません。

それでも  読んでよかったと思うのも、子どもたちにも読んでもらいたいと願うのも、
ピースフル兄弟の温かさが 心の底に残り続けているからだと思います。

 




 

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