蔵書目録

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『謡曲 盆樹記』 銭稲孫訳 (1942.5)

2020年08月26日 | 翻訳・翻案 小説、詩歌、映画

   

謠曲 盆樹記 
    錢稻孫譯

 ・正誤表

 原名「鉢木」

  時所 
   季は冬。時代は鎌倉時代。所は上野の國・佐野(第一場)と鎌倉(第二場) 

  配役
   シテツレ ‥‥‥ 常世の妻
   ワキ   ‥‥‥ 旅僧  
   シテ   ‥‥‥ 佐野の常世
   後ワキ  ‥‥‥ 最明寺入道
   ワキツレ ‥‥‥ 二階堂何某
   アヒ   ‥‥‥ 從者
   後ジテ  ‥‥‥ 佐野の常世

〔正末〕 咳 尊人有所不知 某家往時入世問事 公餘之暇 別無他好 却培養的盆樹多株 這些時 零落天涯 還栽培的甚麼盆樹呢
  因此多教贈送了人 只剰的還有這麼三株 一株梅 一株櫻 一株松 乃是某家珍秘 無如今夜 既留得尊者一宿 竟無以款客取暖 因此有意要伐將來 做個款待
〔末〕 高情盛意 其實感激不盡 這個 却千萬使不得 且留着他 有朝一日 東山再起 也做個公餘消遣之玩 多少是好
〔正末〕 罷了 此身已作古沉木 便世有花時呵 這我是 也就難於再花了
【旦謠】 空餘長物盆栽樹 若爲高僧添暖爐
【正末散謠】 纔算得 拾薪苦行遵佛法 這一片虔誠莫教孤
【旦末】 恰便今宵雪瀰漫
【正末散謠】 想雪山曾採供仙〇
【旦謠】 此當初 也沒甚差殊
【正末散謠】 我也待捨了這身軀

  シテ「某 それにがし もと世にありし時は、鉢の木に好きて數多 あまた 持ちて候へども、さんざんの體 てい に罷 まか りなりて候間、いやいや木好きも無益 むやく と存じ、皆人に參らせて候。さりながら未だ三本持ちて候。梅櫻松にて候これは某が秘藏にて候へども、今夜のおもてなしにこの鉢の木を伐り火に焚いてあて申さうずるにて候。
  ワキ「以前も申す如く、御志はうれしう候へども、自然またおこと世に出 い で給はん時の御慰みにて候ほどに、なかなか思ひもよらぬ事にて候。 
  シテ「いやとてもこの身は埋木 うもれぎ の、花咲く世に逢はんことも、今この身にては逢ひがたし。
 ツレ「唯いたづらなる鉢の木を、お僧のために焚くならば、
  シテ「これぞまことに難行の、法 のり の薪と思 おぼ しめせ。  
 ツレ「しかもこのほど雪降りて、
  シテ「仙人に仕へし雪山の薪、
 ツレ「かくこそあらめ、
  シテ「われも身を、

 ・能舞台

 昭和十七年五月十五日發行 (非賣品)
 譯者  錢稻孫
 發行者 北京近代科學圖書館



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