きのうのワールドカップラグビー、準決勝は興奮した。
中央例会を早退して帰宅してテレビにかじりついたとき、すでにイングランドが7-0で勝っていた。
おお、おもしろいと思った。
王者相手に挑戦者が先行してこそ試合は盛り上がるのだ。王者は徐々に挽回するだろうと思って見ていたが、白いイングランドが壁のようにそそり立って跳ね返す。
あの機関車のような黒い軍団が壁を突き破れない。こんなことはもう何年も見なかったことである。
黒がマイボールにしても展開できない。展開を許さない白いディフェンスが壁のように殺到する。仮に日本がオールブラックスと対戦したとして、日本は進めないオールブラックスだと感じた。そしてイングランドがオールブラックスであると。そのようなひ弱な黒い軍団をはじめて見た。
黒い機関車が白い豪雪に立ち往生するみたいであった。そういう意味でユニフォームの白黒はまるで試合を盛り上げるための意匠のように皮肉であった。
それにしてもNHKの中継には文句がある。6時50分ころいきなり切り替えの指示が出てニュースになってしまった。
わずか数秒の切り替え指示に老人の多いこの国で何パーセントがついていけるのか。そのままラグビー中継をするのが筋であり、ニュースは別の局でやればいい。
慇懃無礼な視聴者軽視の風潮は聴取料金不払い運動に拍車をかけるだろう。
そんな、伸び伸びとした元気いっぱいのニュージーランドのラグビーが……その日は、嘘のように静かだった。
雨のせいかパスミスが多く、上手くパスが繋がらない。
コート中央付近では、ここぞという時に敵にタックルで潰され、ターンオーバーされる。
強くかかり続ける敵のプレッシャーのせいか、両サイドでは敵の裏に出すショートキックは出ても、逆サイドの端に出す大胆なロングキックが全然出ない。
端から一気に3人位で攻めようとしても、いつの間にか攻めた3人が丸々包囲されて中央との連携を絶たれる。後は潰されるか、タッチに叩き出されるのを待つのみ。自慢のオフロードパスも、固まってしまった3人で出しあっているだけなのでほぼ無意味。
「端に回せば何とかなる」「機動力の高い3人一組なら何とかなる」というニュージーランドの図式は、「目先の球を追いかけ回す事」より「要所要所でプレッシャーをかけつつも、選手が連携して防衛ラインを完璧に維持し、相手を分断する事」を徹底的に重視したイングランドの立ち回りの前に、完全に崩れたように思う。碁で言う所の「一石に負けなし」。
最終結果は、7―19。ニュージーランドが入れた1トライ1ゴール(=7点)は、ゴールライン付近でのイングランドのラインアウトのパスミス(サインミス?)による棚ボタなので、事実上の完封負けと言って良いかも知れない。イングランドが先行するのはともかく、そのトライが前半開始1分40秒の段階(ノーホイッスル)でアッという間に決まった時には「何か変だ」と思った。
個人的には、決勝戦での南アフリカとの再戦を期待していたのに……ちょっと残念である。
なおどうでも良いが、これからのニュージーランド戦では、験を担いで「これ」をやるチームが増えるかも知れない。「三方ヶ原」「魚鱗―鶴翼」で話題沸騰中、勝ったのは史実と逆だが。イングランド主将のオーウェン・ファレルの顔が印象的。
賛否両論はあるらしいが、たまにはこんなお出迎えも悪くないと思う。みんな色々と考えれば良いのに……
[話題のシーン]
https://m.youtube.com/watch?v=YOOXJ4vTeLE
[選手入場から前半終了まで]
https://m.youtube.com/watch?v=R70cZZFWibo
[キックオフからノーサイドまで]
https://m.youtube.com/watch?v=3WO6sij0b9k
……長々とすみません。