天地わたる手帖

ほがらかに、おおらかに

盛りを過ぎた蓮見吟行in手賀沼

2019-09-04 04:58:27 | 俳句


きのう常磐線・我孫子駅に9時45分に降り立つと、約束の時間は10時なのに鷹龍ヶ崎の面々が整列していた。ぼくを迎えるような風情に感激した。
鷹龍ヶ崎の総取締・宮本八奈さんのお招きによる手賀沼吟行であった。

実はここへ来る前、楽をすべく水の句をいくつか書いて来た。ところが来てみると空はどんより曇っていて雨が降り出しそう。
川の面をさざなみ一過涼新た
この句は多摩川で想を得た。手賀沼も水面は似たようなものと甘く見たが晴天を想起した句は通じない雲行き。
いつだった鷹龍ヶ崎の面々と地元の大仏を見たことがあった。このとき彼らのほとんどが下見して句をつくってあり当日熱心に言葉と格闘する姿を見なかった。どうしようもない連中だなと思った。それを俺がやっちゃだめだ。用意した句は全部捨て、重たい曇天に挑む。

表情のなき曇天や鰡跳ねる



船着き場へ行く両側の蓮の多さに驚いた。ここで

露こぼし蓮の葉ゆるるうつつかな

と書く。「うつつ」を俳句に入れるのはむつかしい。この句の成否はわからないと思っていたところ美恵子さんの1点が入り舞い上がった。

桟橋はおおむね鉄製だが継目との関係でしなう。それはおもしろかったが句にはできず、横から吹く風とそれに混じる雨滴に惹かれた。

桟橋の雨まじる風秋と思ふ

俳句に「思ふ」を入れることを禁じているなあと思い内心でにんまり。これだけ暑さが続くと「思ふ」のである。
遊覧舟は幅2m、長さ10mほどの小さな舟。1人を除く11名が乗る。「蓮見舟」というのに違和感があったがしばらく進んで蓮に遭遇したとき納得した。
船頭が艫にいてマイクでずうっと喋っている。ぼくは舳にいてよかった。船頭のおしゃべりを聴く気がない。
蓮の中へ船の舳が入ってゆくことに、舟の腹が蓮を擦ることに興奮した。



舟軋む音か破蓮押す音か
木造舟は軋む音もしただろう。硬くなった蓮の茎の音も耳に響く。

破蓮の骨突き出るや水の上

二百十日髪茫々と舟にあり

近くにいた濱田ふゆさんを見ていて、三橋鷹女の「鬼女この樹登らば鬼女となるべし夕紅葉」を想起した。




鷹龍ヶ崎の総取締・宮本八奈さん。茶目っ気がある。


帽子脱ぐ水平線の涼しさに
雨まじりの風は涼しく水平線の切れ味もよかった。八奈さんが帽子を取ったのは涼しさのためではなかろう。


 手賀大橋をくぐらず引き返す





白鳥せちさんの作ったお握り弁当と遠藤奈美子さんの作ったやきそば


朝飯は早かったので11時近くに空腹を感じ、いただいたおにぎりを食べる。次々新しい光景にカメラを向けなくちゃいけないし、句を書かなきゃいけないし、えらく忙しい。みなさんもそうしていると思ったがレストランへ着いてすぐ句会スタートと思いきや皆さんノートを広げ句をつくっているではないか。
俺が浮いているのか。この悠長さに唖然とした。皆さん舟の上で何をやっていたのか。そこで80%言葉を得て、陸にあがった30分で清記できるだろう。


舟で興奮して上陸したとき疲労が来ていた。睡眠も足りていなかった。飯を食って眠くなった。句をつくるほうはまあまあだったが選句になって集中力を欠いた。人が採った句を見てああしまった、この句はよかったと何句かに感じた。これは反省すべき点であった。

昼飯、夕飯の接待をしてくれるやら落花生、梨の土産は呉れるやら、皆さん、出費が多かったことでしょう。お世話になりました。ありがとうございました。



当地の特産の落花生「郷の香」という早生品種。お土産。





みんな気がいい俳句仲間

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