「これで発表を終わります!ありがとうございました!」
これにてチョルとミエの発表は終わりを迎えた。
チョルに向かってサムズアップをするミエと、「あ、ハイ」と塩対応のチョル・・。
そして二人は教壇を離れた。大したことないじゃん、とミエは思う。
[序盤だけ笑われたけど無事に終わった]
その時だった。
モタッ
ズルッ
自分の足につまずき、上履きが脱げてしまったのだ。
あっ、と思ったがもう遅かった。
チョルはそれをバッチシ見てしまっていた。
その、”上げ底”が入ったシークレット上履きの秘密を。
[あ・・]
[あっ・・]
チョルはその上履きの”秘密”を目にして、その後視線をファン・ミエに寄越した。
それは一瞬のことだったのだが、ミエには永遠の長さに感じられた。
「あ・・その・・」
冷や汗なのか脂汗なのかわからない汗が、滝のように流れていく。
ミエが固まっていると、後ろから先生の声が掛かった。
「次の組!」
そうだった。
今は発表の時間の最中で、ミエたちの発表は終わったのでこのまま席へ帰らなければならない。
次の組の二人が席を立ち、こちらへ歩いてくるのが見えた。
恐怖の時間が始まった。
「ん?なんだあれは?ファン・ミエのか?」
「なになに?」「どーしたの?」
「おい!見ろよあれ!あいつ靴底にインソール仕込んでんぞ!」「マジかよ!」
ぷはははははは!
事態は急展開。絶体絶命の大ピンチ————・・!
あ・・
・・・という最悪な想像が、一瞬のうちにミエの脳裏を駆け巡った。
それを阻止すべく、ミエはすごいスピードで手を伸ばす。
ダメーーーッ!!!!
パッ パッ
するとミエの手より早く、大きな手がそれらを掴んだ。
素早くポケットに入れる。
ミエは動揺のあまり、立ち上がろうとして教壇で頭を打った。
ガタッ
突然姿が消えた二人を前にして、クラスメートたちは皆不思議そうな顔をした。
チョルとミエは、誰にも見えない所で二人でしゃがみ込む。
チョルはじっとミエの目を見てから、何も言わずに立ち上がった。
「なんだ?」「ちょっと物落としました」「早く席に戻りなさい」
「よろしくお願いします。18組です」
席に戻っても、ミエの頭の中は真っ白だった。
「では発表を始めます」
そして羞恥心とズタズタになったプライドのカケラで、ただただ頬が熱かった。
第四十五話④でした。
あらら・・ミエちゃん、これは恥ずかしい・・
けど咄嗟にみんなに見られないようにしたチョルの優しさよ!
ほんとよかったです。ミエちゃん卒業まであだ名が「インソール」になるとこだった・・・
第四十六話①に続きます!
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