吹き替えを観たんだが、中々面白かった。ズートピアからべらぼうな高額予算と（この作品も邦画と比べたら凄い）、説教と、複雑な話の筋と、悪人退治の件と、異種ロマンスと、ヒロインの完璧プリンセス化と、ある種の几帳面さをスコっと抜いてリラックスさせたような作品だ。動物キャラクター達や街の様子もどこか生身の人間の俗っぽさや凡庸さが残っている。寓話化やマスコットかがそこまでじゃない。予算は別としても監督のある種の真面目さがあったんだと思う。バスターとエディと手伝いのクローリーの洗車の件等、ここ好きだったけど、他にも『よせばいいのに』というのをちょいちょい入れてくる感じで、高級レストランの料理ではなく普通のダイナーの料理だった。基本的にはシンプルな話だが、最後の段に持ってゆくまで少しモタモタしているようなところはあったかな？ 洗車以外で印象的だったのは反省はしないマイクがミーナの歌には感激しているところ、良し悪しだがジョニーが父を轢いたと一瞬勘違いするところ、ロジータが自分がピタゴラスイッチと入れ替わってるのが子供に好評で夫にバレてない？ ことを素直に喜ぶところ、グンターがロジータにアッシュの元カレに対する悪口の言い方を教えてやるところ、最初に劇場に来たナナがうっかり懐かしくなるところ（チョロい）、振りほどけなかった熊、アッシュの恋が同棲からの破局なところと最後のステージに出てきた全部乗せな格好。洗車以外はどれもそんな特別な演出じゃないし、ジョニーの件は無い方が見易いくらいだが、それらが全部詰まってるのが素敵だ。レッサーパンダ５人組はまぁ、知らん。ただ続編で露悪的になり過ぎたり、何か急にステータスが欲しくなってズートピア路線に舵を切るのはやめてほしいなぁ。
