goo blog サービス終了のお知らせ 

羊日記

大石次郎のさすらい雑記 #このブログはコメントできません

俺物語!! 2

2015-07-23 23:05:15 | 日記
大和がどっさり作ってきていたミルフィーユを取り出し、まりやを驚かせた。食べ始めると、ミルフィーユは美味しかったが、焼いた生地の欠片が顔に付いていると互いに取り合う猛男と大和の仲睦まじさに、まりやは弱ってしまった。猛男と大和は気付かないが砂川だけはまりやの様子に気付いていた。
雨雲が立ち込める中、学祭の後、弱ったまりやは早々に「あたし、街ぶらぶらしてくから、ここで」と離脱し、少し歩くと砂川も離脱していった。二人きりになった猛男と大和はやや手間取りつつ、手を繋いで歩きだした。木立の傍を歩いていると、松ぼっくりがたくさん落ちていた。「松ぼっくりって、男の子の木と女の子の木があるんじゃなかったっけ? アレ、銀杏だっけ?」大和は笑った。「うち、猛男君といるとどうでもいいこといつまでも話しちゃう」「そうかぁ」大和とは横断歩道の所で別れた。(何がある訳でもないのに、好きだと思う。この気持ちはどこから来るんだろうな)猛男は大和に手を振った。
「ねぇ、人間として好きってさ、それってどおいう感じなの?」後日、学校の廊下でゴミ箱をひっくり返したまりやを手伝いながら、砂川は切り込んでみた。狼狽えるまりや。「砂川だって剛田のこと好きだよね?」「西城さんのは、俺とは違うと思うんだけど?」「そーだったらなんなの?!」まりやはぶっちゃけた。「言わないでよ絶対、もし言ったら」「言ったら?」「言ったら絶対、超酷いことするから!!」砂川の尋問に、まりやはもう半泣きだった。
授業で壁新聞を作ることになった。外では雨が振りだしていた。めんどうがるアフロ。まりやは猛男や砂川と同じ班だった。ちょっとしたことにも猛男にときめいてしまうまりやだったが、砂川にマークされていて気まずい。作業にペンが足りなくなると、まりやが買い出しを名乗り出た。「じゃあ、師匠にも行ってもらえば?」
     3に続く

俺物語!! 3

2015-07-23 23:05:06 | 日記
他の女子が何気に言ってきた。「おう、いいぞ。砂、付き合えよ」まりやは猛男と行けると、一瞬喜んだが、砂川も来る流れにガックリした。
放課後、傘を差してペンを買える店を目指す3人。まりやは砂川付きでもやはり楽しい様子。「なんか西城元気だなぁ」「え、そう? 普通だし」ここで、大和から会おうとメールが来た。猛男のケータイのストラップが目につくまりや。猛男はペン購入を優先した。店でまりやはしゃぎ、必要のない物まで猛男と一緒になって注目し、買い物を楽しんだ。「残念だったね、デートだったのに」「いや、この後会うから大丈夫だ」雨の帰り道、猛男が答えるとまりやは猛男を見詰めた。
雨の降り続く翌朝、猛男は下駄箱で会ったまりやに昨日あの後で会った大和から預かった小売の焼き菓子を渡した。「この間、楽しかったそうだ。また話したいと言っていた」「ああ、うん」「またな!」猛男は先に教室へ向かった。そこへヌッと砂川が遅れて現れ、無言でまりやを見てきた。「どおせ私はずるいよ! 二人を騙して、自分でもわかってるよ」もらった焼き菓子の袋をバリッと握り締めるまりや。「そんなに責めることないじゃん?! 本当のこと言わないとダメなの!!」「そうじゃなくて、西城さん辛いでしょ? 西城さん大丈夫かな、と思っただけ」砂川も教室へ向かった。もらった菓子と、密かに猛男とお揃い熊印のミニタオルを見比べるまりや。
放課後、電気を点けていない雨雲で暗い教室で、猛男は何か用事で遅れている砂川を待っていた。雲が早く流れ、雨が止みかけて? いた。ストラップ付きのケータイを取り出し、大和との待ち受けを見ている猛男。教室にまりやが入って来た。「やっぱ無いわぁ」「なんでだぁ?」今は、まりやに馴れたので前回のように急に避けるようなことはしない猛男。「だってさぁ、それって師匠の彼女が、
     4に続く

俺物語!! 4

2015-07-23 23:04:56 | 日記
師匠には彼女がいるって気付かせる為のアピールじゃん? 学校違うし」まりやは猛男に歩み寄った。「心配することねーのになぁ、俺はモテねぇから」まりやは大きく息を吸い込んだ。「師匠、好き」猛男が顔を上げると同時に、雨雲が切れて夕日が教室に差し込んできて、周囲が全部オレンジになった。まりやも、猛男も。「おう!」(人間としてだな)まりやも猛男に今は馴れたので、勘違いにすぐ気付いた。「そうじゃなくて、男として好きなの!! 師匠の彼女になりたい!」猛男は固まって、まりやを見た。大和の笑顔が浮かぶ。猛男は立ち上がり、頭を下げた。「西城、すまん!」「予想してたし、だよね、彼女いるもんね」取り繕うまりや。「そうじゃないんだ。大和が好きなんだ」まりやは少し猛男を見てから微笑んだ。「ごめんね、ずっと嘘ついてて、ずるくてごめんね」「ずるくなんかねぇ!! 謝ることはねぇぞ」まりやは涙をなんとか堪えた。「うん、人間として好きってのも本当だよ、師匠」まりやは堪えたまま教室を出て行った。
代わりに公園のベンチで大泣きした。フラっと現れた砂川がティッシュを箱で渡すと、「砂川って、スマート過ぎて腹立つ」と言いつつティッシュを大量に使ってまりやは号泣した。スマート過ぎる砂川はもう一箱ティッシュを用意していた。
告白された後、考えた猛男は走っていた。これまでの大和との思い出が頭の中を巡る、出会い、さりげない仕草まで全て、『行けそうならなんでもいいんだろ?』と砂川に言われたそれまでの恋と違った。(生まれて初めて心が苦しくなった)大和の学校まで来た! 校門で大和が駆け寄って来ると、(愛してる!)猛男はまりやに告白され、断ったことを告げた。「俺は大和が好きだから! 俺には大和だけだ!! だから大丈夫だ、もう心配するな」「うん」「一緒に帰ろう」猛男は大和と川の傍の道を帰った。
     5に続く

俺物語!! 5

2015-07-23 23:04:43 | 日記
大和は歩きながら泣いたが、落ち着くと、まりやのことを語りだした。「友達になれなくても、ウチ、西城さん好きだよ」猛男は大和と手を繋いで歩いて行った。
翌日、「師匠、お早う!」まりやは元気に声を掛けてきた。「西城?!」猛男は驚いた。笑うまりや。「師匠とかおかしいけど、呼んでたらクセになっちゃって、これからも師匠って呼んでいいかな?」「おう!」笑顔で先に走って教室に向かうまりや。「西城! ありがとう!!」振り返らずまりあは走って行った。階段の所まで来ると砂川がいた。「西城さんと他人になるの寂しいって、昨日寝ないで悩んでたから」まりあは踊り場で砂川を振り返り、また笑った。
・・・イノセンス過ぎる人の周囲の人々は大変だな。アフロや短髪達くらいの距離がちょうどいいんだろなぁ。