プーチン発言の底意

ロシアのプーチン大統領は、北朝鮮の核兵器問題について、「平和的・外
交的解決以外に道はない」と述べた。この主張の論拠になっているのは、
（1）北朝鮮は何があっても核兵器の開発をやめない、
（2）アメリカが戦争を仕掛け、北朝鮮が核兵器を使えば、「世界的な破
滅と甚大な数」の人的被害に至りかねない、
ーーという２点である。この論理はそれなりに筋が通っており、ここには
注目すべき視点が見られる、と私は（きのうの）本ブログで書いたが、ど
んなに首尾一貫した主張でも、そこには目論見や思惑、底意がはたらいて
いるものだ。

プーチン発言の場合は、北朝鮮との「平和的・外交的」交渉において、ヘ
ゲモニーを握り、アメリカの国際的地位をしのぎたい、との底意が見てと
れる。

そもそもである。北朝鮮が核兵器を使えば「世界的な破滅と甚大な数」の
人的被害に至りかねない、とプーチンは主張するが、北朝鮮の核兵器開発
に対して、これまで見過ごせないほどの技術的援助を行ってきたのは、ロ
シアではなかったか。

これでは、次のようなヤクザの親分衆の言いぐさとちっとも変わらない。
「あのチンピラ、わしらで面倒をみなかったら、どうなると思いますか
い。跳ねっかえりの暴れん坊がハジキを持って街中に出たら、カタギの衆
に怪我を負わせるに決まってますぜ。だからわしらもね、そんなことがな
いよう、よく言い聞かせているんです。わしらはね、旦那、言ったら悪い
けど、社会のために組を運営してるんですよ。警察なんて役に立ちません
からね」

おいおい、ちょっと待ってくれよ、親分さん。あの跳ねっかえりのチンピ
ラに拳銃を渡したの、あんたじゃなかったの？それに、親分さん、あんた
だって、これまでにカタギの衆に銃を向けて、さんざんドンパチやってき
たんじゃなかったの？ 言っちゃ悪いけど、しょせんヤクザはヤクザなんだ
よね。

プーチン大統領の渋面を思い浮かべると、シンゾー・アベや単細胞のトラ
ンプ君が可愛く思えてしまうこの頃である。