YS Journal アメリカからの雑感

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中国、日本を抜いて世界第2位の経済大国に

2010-08-18 04:35:56 | 経済の話題
日本のニュースでは余り話題になっていない様だが、今週の WSJ では、月曜日に一面トップ、今日は社説で "Japan as Number Three" というやや刺激的なタイトルで、中国が日本を抜いて世界第2位の経済大国になった事を大きく報道していた。(第二四半期のGDPベース)(8月17日の WSJ の社説はこちら

1990年からの GDP 成長率のグラフを眺めると、日本は0%を行ったり来たりしているに、中国は最低でも8%の成長率を20年も続けている。72の法則を使ってざっと計算しても、8X9=72なので9年で倍、18年では4倍なので、最低で8%という事は、20年で GDP が 6-7倍(ひょっとするとそれ以上)になった事になる。

先週、この GDP とは全く関係無い事で、大前研一の名著『企業参謀』大前研一著(初版1975年)を読み直していたのだが、その中に日本の成長パターンが1970年を境に高度経済成長から成熟期の低成長に入ったという推測を立ている所があった。但し、石油ショックからの立ち直りで1973以後の2年も高成長が続いたので、に本の経営者達は経済成長の大きな屈折点を見逃したのではないかと1975年の時点で推測している。驚異的なのはこの予想が今から振り返ってみるに、当たっている事だろう。

最近、日本の行く末に対しては諦観気味ではある大前研一は今でも鋭いのだが、その当時は若くてもっと冴えていた事は間違いない。

中国は日本の何十年遅れとか言われるが、ひょっとすると40年遅れという感じなのではないだろうか?現在の中国をみて、まだまだ未開の場所が多いので、高成長が暫く続くと考えられているが、過去20年の超高度経済成長はボチボチ終わりに差し掛かっているのではないだろうか?

個人的な経験に照らし合わせて日本を振り返ってみると、妙に納得出来る。私が5歳位の時に牛に鋤をつけて田んぼを耕している写真があるのだが、1970年頃の日本の田舎は、まだそんなに明治時代と基本的には変わらない風景であった。でも、既に高度経済成長は終わっていたのである。中国で盛んになってきている労働争議とかも日本のデジャヴュの様に思えてくる。

中国は人口が多い分、規模が桁違いになるのだろうが、これまでとは違う経営戦略が求められてくる時期に来ていると思われる。

WSJ の社説に戻ると、日本は20年に渡る史上初の壮大なケイジニアン理論の失敗例であり、アメリカもその轍を踏まない為に、1980年の政策(つまりレーガン路線)でやるしかないと締めくくっている。肝心の中国の話が付け足しみたいな感じなのは、"Japan as Number Three" のタイトルからして理解出来なくも無いが、まあ取り敢えずという感じであろう。