YS Journal アメリカからの雑感

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中間選挙予備選の結果

2010-05-19 18:17:19 | アメリカ政治
アメリカでは、なぜかあらゆる選挙の投票日は火曜日なのであるが、昨日も今秋にある、上院議員選挙の予備選、党内で候補者を決定する選挙がいくつかの州で行われた。

注目されるのは、ペンシルベニア州の民主党とケンタッキー州の共和党の結果である。

まず、ペンシルベニア州の民主党の予備選であるが、6期30年のベテラン上院議員 Arlen Specter が落選した事だ。再選目的だけで、昨年共和党から民主党に移籍していたので、非常に皮肉な事となった。政治的立場としては、よく言えば中道、悪く言えばどっちつかずであったので、乗り換えた事については、そんなに驚かれていなかったが、「再選目的だけで移籍した」との発言を録画され、大顰蹙をかっていた。

移籍の背景には、2006年中間選挙でも民主党の大躍進、2008年のオバマ当選の流れがあり、オバマ大統領就任直後には、民主党の天下が続くとの見方が圧倒的であった。2009年の彼の移籍で、民主党は上院でのスーパーマジョリティー(60議席)を確保し、結局、健康保険改革法案の成立に大きく貢献した事になったのだが、奇妙なバイプレーヤーとして消え行く事となった。

選挙区に応援には行かなかったものの、オバマ大統領も移籍の恩返しとして(?)選挙キャンペーンのTVコマーシャルに出演したりしていたが、及ばなかった。

ケンタッキー州の共和党の方は、全くの新人である眼科医のRand Paul が、共和党の幹部(上院議員リーダーやチェイニー全副大統領)の推薦候補を破った。Rand Paul は新人といっても、2008年の共和党の大統領候補予備選に出馬した下院議員 Ron Paul の息子であるので、それなりの知名度はあった。

注目されるのは、昨年より草の根で活発な保守を信奉する活動を展開しているティーパーティーが、彼の予備選当選に影響を与えた事だ。ティーパーティーは、強いアメリカ、大きな政府に反対というのが政治的信念の自然発生的に各地に出来たグループで、政治勢力としては疑問視されていた。しかし、共和党の枠組みのなかで、保守的な勢力として一定の力を持ちつつある事を証明した形となった。

底流として、党を問わず確立された政治家に対する失望と保守化があると思う。その上、オバマ政権は、原油流失事故、アリゾナ州移民法、NYのテロ未遂、イランの核問題等への対応で、ここの所続けざまに右往左往しているので、政府に対する失望感が広がっている。

民主党の天下が続くと思われていたが、たった2年で自壊しており、一方で共和党も特に財政赤字については共犯のところもあるので、攻めるにも歯切れが悪いところも見受けられる。オバマ政権と議会を支配する民主党幹部はは、中間選挙での敗北を予測しているのか、今のうちにやりたい放題やっとこというヤケクソ戦略を展開してる節もあり、暫くは現在の混乱状態が続きそうである。

未だ半年もあり、紆余曲折もたくさんあるだろうが、現在のアメリカの政治シーンの姿が炙り出される中間選挙が待ち遠しい。