7時前に犬の散歩に出掛ける。
丘陵の頂越えのコースを歩く。寒風の中を歩く。唇が乾く。そこへ小さな雨粒が2,3滴落ちた。
道端にスギナが伸びている。カラスノエンドウもたくさん生えている。共にまだとても小さい。
丘陵の頂を越えた所で柴犬を連れた人と出会う。挨拶をする。
川に至る。濁った川底に緋鯉がぼんやり見える。カワセミもアオサギもいたが魚が殆ど見られなかった。しかし、いることはいるのだろう。でなければ鳥はやって来ないだろう。
川沿いに下って駅裏に至る。ここで犬は時間をかけて丁寧にいろいろなものを嗅ぐ。枯れ草、芝、草の葉、路面、ありとあらゆる物を嗅ぐ。
駅のホームでヂーゼルを待っている人たちがどうやらこちらを見ているようだ。天気が良ければ朝日を正面から浴びるので、後ろを向いているのだが、東の空は雲がいっぱいなので眩しくないし、手持無沙汰で犬を、犬と私の演劇的な行動を見ているのだろう。自由に行動しようとする犬となすがままになっているようだが、最後は犬に言うことを聞かせる人の単純な一幕ストーリーである。
市の施設の敷地を通る。門扉を開けている。かなりの長さの門扉なので頭を下げて両手で一心に押している。
8時過ぎに帰着。
昨夕の散歩について
4時半に犬の散歩に出掛ける。小倉から来た親戚がリードを持ってくれた。犬は上機嫌のようだ。お付きが3人もいるからだ。犬は多分自分がリーダーと思っているだろう。散歩に関しては。
一方、犬は行動を制約されてもすべて駄目元と捉えるようで腐ったり、へこたれたりはしない。
この散歩が今日は3回目になる。
10時前に車の12か月点検でディーラーに行ったのだが、1時間以上も待たねばならない。どう過ごそうかと考えた。古代史の本でも読むか。そうだ、犬の散歩に行こう。車である地点まで行ってそこを出発点として足を伸ばす方法の実践である。新しい散歩コースを開拓できるかもしれない。
幸い犬は喜んで躊躇することなく勢いよく飛び乗り、助手席に座った。
ディーラーで係りの人にキーを渡して散歩に出掛ける。国道を北上する。寒い。朝より寒いのではないか。ハーフコートを着用したがそれでも寒いのだ。勿論、ハンチングをかぶっている。
丘陵の頂越えのコースで頂を越えて川に至るのであるが、その命の豊かな川の河口に行ってみた。以前、左岸を歩くと途中で行き止まりになっていたので、今回は右岸を歩く。犬は新しい所が好きである。いつもより更に勢いが良い。
西風で川に波が立っている。逆流の波である。水はかなり濁っている。
海岸の風景は正面に白島、藍島である。いつも見る海の景色とわずかに違うだけだが興味深く感じられる。白波が立っている。蓋井島は見えない。村崎ノ鼻が近くにある。微妙な違いが分かるのが通なら、この海岸線を私の現実とし、私の世界としたい。
一旦、国道に戻ってから安岡海水浴場に行った。夏場ではないので人気はない。中学校の体育の授業でここで水泳をしたことがある。小学校だったのだろうか。兎に角、この風景を見たに違いないが全然思い出せない。ただ、海水パンツが緩んでいてちょっと恥ずかしかったことは覚えている。
そろそろ引き返そう。再び国道に出る。スーパーやドラッグストアや公民館が海岸と背中合わせなのに驚いた。
途中、小雪が舞った。やはり、朝より気温が下がっているのではないだろうか。初雪である。平年よりかなり早いようだ。
犬は小用は足したが糞はしなかった。ビニール袋を2,3枚入れた手提げ袋を準備はしていたが。予備に左のポケットに1枚。しないのも道理、朝の散歩で2回したのだった。
約1時間でディーラーに戻る。整備は終わったようだがクリーニングの最中ということで少し待つ。受付嬢がかわいいと頭をさすってくれた。とても気持ち良いと言う。そうなのだ。自分が良くなければ相手は好みとはならないのだ。コーヒーも御馳走になった。寒風の中の1時間の散歩の後でホッとした。特に寒さが募る時季、おもてなしは心に素直にしみこんでいく。また、帰りには来年のカレンダーを呉れた。良くしてくれた。
しばらくしてメカニックの人が点検の明細を持って来た。円環服の作業着が気に入らないのか犬は吠えた。この犬は作業着が気に入らないようだ。何か悪い体験でもしたのか。でも、尻尾は振っていたし、すぐに仲良しになった。
吠えたらいけんよ。みんなびっくりするからと諭すように言う。犬はお座りをして聞いていた。客も業務の人も声はかけなかったが、和んで犬を見てくれた。
新品のようになったハリアに私は犬と一緒に乗り込んだ。
約20分かけて約10kmのドライブ。犬は確かにこの体験を覚えていると思った。辛抱したら良いことが待っていると信じているようだ。犬は助手席に座っている。もしもの場合、フロアの方がより安全だろうに。窓を少し開ける。犬が安心するからと聞いたので。外の音、においが遮断されている空間は耳、鼻をふさがれたようなものなので、目だけで物事を確認することになり、犬としては不安になるのだろう。視力だけで長時間頑張れるのは人間位であろう。
積りはしないだろうがかなり雪が降って来た。
夕方の散歩に戻ると、公園で柴犬を連れた人と出会う。頭から尻尾までさすってくれた。
リードを持ってくれた親戚は、暑くなったと言う。こちらは散歩の最後は流石に暖かくなったが、最初はずっと寒かった。
暖かくなったのは、兎に角、普通の歩き方ではないからだ。どんな歩き方かというと、何もそんなにツンツン怒らなくてもいいのではないかと思うほどさっさと、取り付く島もなくそそくさと、聞く耳なしという感じで一方的に駆けるような歩き方なのだ。
5時前に帰着。