〈川俳会〉ブログ

俳句を愛する人、この指とまれ。
四季の変遷を俳句で楽しんでいます。「吟行」もしていますよ。

拾い読み備忘録(73)

2016年03月25日 21時00分06秒 | エッセイ
ハーバート・リードの場合、後世に残る偉大な業績といえば、『緑の子ども』『ワーズワース』『戦いの終り』『反対の経験』そしてあのヴォ―ヴナルグに関するエッセイであろうが、このエッセイの中で、彼は突然、これらの自伝的作品を鋼の糸によってつないでいる、ある支配的な情熱―すなわち栄光の追求―について語っている。「栄光ということばは、今では良い意味に受け取られなくなってしまった。これをふたたびもとのようにすることはむずかしいだろう。赫々たる武勲などと結びつきすぎたために、ことばそのものが毒されてしまっている。名声とか野心と混同されてしまっている。だが真の栄光とは、自己のみにかかわる、人目に立たない徳であって、孤独の中にあってはじめて達せられるものである」
「逃走の方法」グレアム・グリーン著 高見幸郎訳 早川書房 昭和60年
                                富翁
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