映画とライフデザイン

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映画「ひき裂かれた盛装」成田三樹夫&藤村志保

2020-11-14 19:17:13 | 映画(日本 昭和35年~49年)
映画「ひき裂かれた盛装」成田三樹夫特集の名画座で見てきました

「ひき裂かれた盛装」は昭和42年(1967年)の大映映画、数ある作品の中でも藤村志保共演ということでこの作品を見た。共演にはまだ若き21歳の安田道代や悪役として小沢栄太郎、小松方正の芸達者が出演している。車は兵庫ナンバーで関西が舞台だ。40年代前半のテイストが満載でオースチンのミニが印象的である。


鉄鋼会社の土地の払い下げの入札説明会中に不動産会社が集まっている画面が映し出される。会議が終わった時、ブローカー佐倉恭(成田三樹夫)がおもむろに入ってきて鉄鋼会社の責任者のもとに来て自分たちに買わせてくれという。そして、テープレコーダーを持ち出しこれを聞いてくれと差し出す。そこではその土地が売渡に関する男女の秘めた会話が聞こえていた。責任者はあわてる。

巧みに裏取引を成功させた佐倉はテープの声のレストラン経営者秋原かおり(藤村志保)の元へ向かう。そして彼女の帰り道を追っていく。かおりは佐倉を巻いて日本開発の社長納谷(小沢栄太郎)の元へ向かう。かおりは納谷の情婦であった。
その後佐倉はかおりに呼び出される。かおりは裏社会で巧みに生きる佐倉と一儲けするために手を結ぼうと思っていたのである。

納谷社長の娘倫子(安田道代)は大手化学会社瀬戸化学の御曹司(山下旬一郎)から求婚されていた。倫子はその縁談を嫌がっていた。御曹司とのデートを早々に切り上げてしまい、偶然佐倉と知り合うことになる。やがて倫子はかおりのレストランで佐倉と再会し、ゴーゴーに行き関係がより急接近する。

その後佐倉は納谷社長が四国のある土地の公共開発用地買収に絡んでいることを知る。倫子に近づきながら開発予定地を鳴門と読み、一足先に現地で値上げを見込んで有り金をはたいて土地買収にあたるのであるが。。。

⒈藤村志保
藤村志保は前々年の「太閤記」のねね及び「三姉妹」で大河ドラマに出演したころの人気絶頂の時期である。大映では時代劇中心で和服が似合う和のテイストで人気があった。京都の街に溶け込んでいるので上方女のイメージが強い。しかし彼女はフェリス女学院高等部出身で横浜のお嬢様である。人気作詞家故安井かずみの同級生でもある。

余談になるけど、写真↓は昭和41年この映画の前年だ。昨年の日本経済新聞「私の履歴書」のコシノジュンコの回で、加賀まりこと安井かずみの3人で夜な夜な遊び回ったことが書いてあったが、安井かずみの遊び人ぶりがこの写真からもにじみ出る感じがする。


この映画でも和装が素敵だ。清楚なイメージが強いので今回の作品での男を翻弄する悪女ぶりは藤村志保にしては珍しい役柄だ。当時28歳時代劇のお姫様役からの脱却を図ろうとしている時期なのであろうか。まだ小学校の低学年だった自分は藤村志保に魅せられる何かを感じていた。生意気にもファンだった。こうやって改めてみるとその美貌に幼少時以上に引き寄せられる何かを感じる。

⒉成田三樹夫
成田三樹夫は大映の名脇役である。このブログでは市川雷蔵ある殺し屋勝新太郎座頭市地獄旅をアップしている。大映映画が倒産した後は東映のやくざ映画に出演して特に「仁義なき戦い」では実業家に転身をした松永というヤクザを演じている。 東大を中退して山形大学に行ったと言う変わった履歴を持つ成田三樹夫は、我々の世代にとっては探偵物語松田優作とともに刑事役で出たのがリアルタイムだっただけに1番印象深い。

ここではめずらしい主役である。しかも、藤村志保、安田道代と二人の美人女優からモテモテで、たまには役得もあるかといった感じかな。


⒊安田道代
今ではドスの効いた声で飲み屋のママのような役が得意である。結婚してから大楠道代と名前が変わっている。大映末期に江波杏子とともに女賭博師の映画を撮る前でセックスチェック第二の性という男と女の中性のようなスプリンターを演じる今でいうLGBTまがいの傑作を撮る前の年である。金持ちのお嬢さんで背中に傷がある影のある男成田三樹夫に抱かれる。その翌年からの大人びた活躍からすると、彼女にとっても脱却の一歩となる作品だ。

あとここで注目したいのは脚本の池田一朗である。これは後の小説家隆慶一郎である。立教大講師までやったインテリで早死が惜しまれる「吉原御免状」などの傑作を書いていた。 これはめちゃくちゃ面白い。 そういった意味で奥が深い映画だとも言える。

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