うざね博士のブログ

緑の仕事を営むかたわら、赤裸々、かつ言いたい放題のうざね博士の日記。ユニークなH・Pも開設。

さくらの移植とは・・・・・1

2010年04月15日 03時07分34秒 | ランドスケープデザイン

 ここでは、今春、さくらの移植工事をおこなったので一連のながれとして写真をUPします。さくらはソメイヨシノ(染井吉野)である。今回、さくらにとって時期もタイミングもベストであった。工事以降は、幸いにも移植直後に多かった降雨量があり、その後の活着したかどうか、成長の状況は開花の状態や展開していく枝や葉数のボリュームで判断していくことになる。枯死の判定は一般的には、今年のこの時期の梅雨明け後か、最終的には9月の長雨の時期になる。
 わたしの業務としては、他の人よりは移植工事を大径木を含めて数々経験しており、植栽工事の分野でもこの作業は場数だとの思いが強いが、特に根や枝の切り口の切戻し処理と、植え付け時の水極めを入念におこなうように注意した。
 採用した移植工法は、前工程の根回し作業なしの直接移植となる。移動距離は 2.0m の近さであり、根鉢製作にあたりコモによる根巻作業は不要であると、その場で判断した。
 工事の内容はソメイヨシノ4本、(+ヤマザクラ系3本)、この中で一番大きいのは樹高(H.m)6.9 目通り周(C.m)1.32である。
 写真の対象とするさくらは、寸法形状が 樹高(H.m)5.6 目通り周(C.m)0.83になる。

 ここでは、おおよその、時系列に沿い、工事の記録である野帳をもとに解説文を加えている。
  
 その前に、昨年の 2009年 1月 8日に讀賣新聞に報道された新たな事実をレポートします。
 さくらはソメイヨシノ(染井吉野)。この品種は従来からオオシマザクラ×エドヒガンの雑種とされてきたが、実は近年、オオシマザクラ×コマツオトメではないかとDNA解析で実証されてきている。
 従来の学説は静岡にある国立遺伝学研究所の竹中要博士が 1965年に発表したもの。その後、千葉大園芸学部の中村郁郎准教授がDNA配列の父母の配列が確実に子に伝わる部分を調べる技術を確立し、 2005年に解析結果が出た。そして、母親としてコマツオトメとのDNA配列が同じものであることがわかった。あらためて、オオシマザクラ×コマツオトメで交配した苗を上野公園に試験的に植栽した。その開花予測では数年先とつたえている。

    撮影: 4月10日午前11時
     
     
 遅くなったが、このさくらは今が満開である。あるいは花のボリュームが少なくて期待外れかもしれないが、この現象は正常な推移である。移植にあたって、枝葉を1/3から 2/5を間引き剪定する。したがって、着花量も減っている。活着させるためにはやむを得ない。
     
     

    撮影: 3月30日午後。温度が上がり水分を吸収すると、まず、花のつぼみが膨らんでくる。
     
     
 遠景に、ただいま満開中の同じ品種のさくらがみえる。新たに植え付けしたり移植した樹木はこのように、通常、成長がワンテンポおくれる。(言わば、人間に外科手術を施したも同然、これは植え傷みという生理現象である)
     

    撮影: 2月下旬
     

    撮影: 2月 5日~ 2月20日
     
     
 腐植分を含む客土を入れる。これは、実は現場発生の黒土である。雑草の埋土種子の問題は不可抗力ではあるが、この砂質粘性土、土壌の質はいい。
     
 掘取りのサイズは根鉢;H 115 、Φ 190(cm)、植穴の実測値;H 135 Φ 243(cm)。掘ってみてわかったのは上根の細い根がかなり出ていたこと。元々、さくらの特性は浅根性であるが、不自然におもい事情を調べると、一昨年の秋ごろから昨年の3月までの間に歩道の改修工事による桜の下のクルメツツジの移動に伴いさくらの根を切断したものと判明する(作業が適切である)。樹木生理的には、結果としてはちょうどいい具合に事前に根回しをしたことになる。
     
     

 樹木の移植計画・可否、効果的な樹木の除去・伐採、花壇や庭・植物のご相談に際して、連絡方法は下段のコメント(0)をクリックするか、少々面倒ですがこちらのホームページから入りお問い合わせくださいませ、ませ。
       
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