うまがスラムダンクの続き

うまがスラムダンクを勝手にアレンジ。
スラムダンクの続きを書かせていただいています。

#376 【最強大学】

2010-10-23 | #12 大学 新人戦編
コートサイドでは、今はまだかと白金学院、慶徳義塾の選手たちが、出番を待っている。

第1試合の興奮も後押しをし、両校、最高のモチベーションを維持していた。




白金学院サイド。


牧を先頭に、両サイドに土屋と神が並んでいる。

後ろに荻野と村松。


第1試合を無言で観戦している。

時折、うなずき、笑顔を見せ、選手たちから固さは感じられない。





『ピィーーーー!!』


名稜がタイムアウトを取った。




牧は、コートから反対のコートサイドに眼を移す。


藤真と眼があった。


お互いに、表情一つ変えず、見つめ合う。



(牧!今日こそ、俺たちが勝たせてもらう!)


(勝負だ、藤真。)



両者の眼は、気合と感情がむき出しであった。


牧が、ふと視線をずらすと同じように、諸星と眼が合った。



(今回も勝たせてもらうぜ!)にや。


(諸星め。)にこ。


牧は微笑み返す。



そして、感じるもう一つの強い視線。



「赤木。」


牧は、思わずその名を口にした。




赤木は思い出していた。


観客席から牧のプレーを眺めていた高校1年生のときを。


3年生になり、頼もしい仲間とともに、海南に初めて勝負を挑んだIHのことを。


惜敗したあの日を。



(牧・・・。今度こそ勝つのは俺だ。)にっ。



赤木のその表情は、実に誇らしいものだった。




「そう簡単にいかないぞ。」

牧はつぶやいた。

「ホンマ、牧は好かれておるな。あんなに睨まれて。」

土屋は冗談半分に笑う。

「大学という舞台に変えても、何も変わりませんね。」にこ。

「あぁ。飽きさせないやつらだ。」




『ガシ。』

赤木が、藤真の肩に手をかけた。


「考え事か?」

「あぁ、少しな。」

「藤真らしくねぇな。」

と諸星。


「大丈夫。勝つのは俺たちだ。」


「ふっ。」

藤真は少し笑った。


「何がおかしい?」

「白金を倒した後、牧にどんな言葉をかけようか考えていただけだ。」

「おぉ、それなら俺も考えるぜ!」

「諸星。それは、藤真に任せておけばいい。貴様は、どうすれば神を抑えられるか、しっかり考えろ。」

「ったく。」


「牧は頼んだぞ。」

「あぁ、任せておけ。」


赤木は藤真の想いを、藤真は赤木の想いを汲み取った。




コート上。


残り時間からすると、ラストプレーになると思われる。


ボールは、深津がキープしている。


小関の攻めるようなディフェンス。

試合終了間際であっても、その足は止まることを知らない。


最後のプレーと判断した市原は、深津に詰め寄った。




「囲んだーーー!!」

「ダブルチームだーー!!」

「あれは深津でもきついぞーー!!」




『ダム!』


『キュッキュ!』


『キュ!!』



だが、深津に焦りの表情はない。

むしろ、この機会を狙っていたかのように、澄ました顔で、小関と市原の間のわずかなスペースにパスを放つ。



『ダン!!』



「!!」


「なにっ!」




「巧い!!」

「さすが深津!!」




ボールを受け取ったのは徳永。

ここまで、23得点、5アシスト、8リバウンド、2ブロック、2スティールとマルチな活躍を見せている。



『キュ!!』


「!!」

「やべ!!」



深津は、パスと同時に、小関と市原の間を駆け抜けた。



『パシ!』


ボールは、深津へリターンパス。

名稜大ばりの鮮やかなパス&ラン。


ゴール下では、28得点、14リバウンドの河田がスペースを作り出す。


同じく、10得点、8リバウンドの辻は、瀧川を抑え込んでいる。


この試合、6本の3Pを決めている牧瀬には、SF鴨川がディナイディフェンスをしていた。



フリーの深津。


『キュ!』


3Pラインを過ぎたところで、冷静にジャンプシュートを放つ。


ボールは、高い孤を描き、リングに吸い込まれた。



『パサ。』




「これで、深津君も10得点目ね。」

と弥生。




瀧川がエンドラインからボールを投げ入れ、小関が受け取ったところで、試合終了を告げるブザーがなった。



天井を仰ぐ名稜大。



笑顔を見せる深体大。



試合中盤まで、優勢を保っていた名稜であったが、深津出場後、流れが一気に変わった。

現時点、実績、経験から、牧を抑え、世代最強のPGと称されている深津一成。

この試合、スタッツ以上に、存在感を示したことはいうまでもない。

また、出場した深体大6名の選手は、全員が2桁得点をあげた。



まさしく穴のない深体大。



各大学、関係者、観客に、優勝候補の評価を改めて、深く刻んだのであった。




深体 107
名稜 91







続く。