えー、昔からこの、お医者様というものは長袖の商売なんということを言いますが、まあこの、人の命をあずかるというたいへんむずかしいご商売でございますが、えー、尤も今ではいいあんばいであやしい先生なんというのはなくなりましたが、以前は「でも医者」といいまして、別にやることもないから医者でもやってみようかなどという、ふらふらと医者になったりなんかして、こういう医者にかかったら患者がかわいそう。『あの人ものぅ、医者にかからなきゃ助かったが、惜しいことをした』なんてね。まったくどうも、危ない先生があったもので。
『こんにちは、あっ、先生、あのぅすいませんがね、手が空いた時でいいんだけどもねぇ、ちょいと診てやってもらえるかね』
『ほぅ、よろしい、診てしんぜるが、あー、容態はどういう具合か、熱はないのか』
『え?熱が、えぇ、熱なんざありませんで、人間じゃねえんで、うちの竹へねぇ、どうもこのごろ花が咲いてしょうがねーんで、竹は花の咲くときに枯れるなんてことを聞いたんで、先生にいっぺん診ていただいたほうがいいという…』
『おい、何を戸惑いをして来るんだ、竹は植木屋に頼みなさい。私は医者だ』
『こちらは藪医者とうかがって参りましたが…』
下手な先生を藪医者という昔から悪口をいいますが、中にはたけのこ医者、『あの先生か、あぁ危ない、よしたほうがいい。たけのこだから』。きいてみたら、まだ藪にならないそうで、追々これから藪へ近づいていこうという、…。
onodekita先生そっくりではありませんか。