私がインターネットをしていて、いつも心を痛めていることは、
一部の(ほんの一部であると信じたいです)ネットユーザーによる、
外国、特に韓国と中国に対する誹謗中傷です。
私自身、大学時代の恩師の紹介で、その先生が主宰しておられる、
日本・韓国・中国を中心とした東アジアにおいて、
日本語や日本文学、日本文化を研究している方々の学会に、
研究者でもないのに参加させていただいている(ちゃんと毎年会費も払っています)
関係で、この手の問題には敏感に反応してしまいます。
特に最近では、街中の書店にてこういう感情をあらわにした書籍が大々的に売られていたり、
街頭で外国人の排斥を訴えるデモが行われたりと、活動の場はネットを超えて広がっています。
非常に憂慮すべき問題です。
そもそもこういう運動が広まったのは、
2002年にサッカーのワールドカップが日韓共催で行われたことがきっかけともいわれていますが、
そんなサッカー場で、先日ある問題が起きました。
3月8日Jリーグ浦和レッズ対サガン鳥栖におけるサポーターによるコンコース入場ゲートでの横断幕掲出について|URAWA RED DIAMONDS OFFICIAL WEBSITE
ことの詳細は上記リンクにて詳細に述べられていますが、
日本有数の熱狂的なサポーターをもつ、浦和レッズの本拠地・埼玉スタジアム2002の一角に、
「JAPANESE ONLY」と書かれた横断幕が掲出され、それが差別的な内容ではないかと問題になりました。
横断幕の作成者は、
「ゴール裏は自分たちのエリア。他の人たち、特に外国人が入って来るのは困る」
と供述しているということで、明らかに差別意図をもった行動であったことが分かっています。
垂れ幕作成者「外国人が入って来るのは困る」 : サッカー : スポーツ : YOMIURI ONLINE(読売新聞)
これについて、レッズ側に対応の不手際があったとか、色々といわれていますが、
私はサッカーには詳しくないので、そのあたりのことについては分かりません。
ただこれはサッカーに限った話ではなく、人が多数集まるところにこういう横断幕が平然と掲出されたこと、それ自体がそもそも問題であるべきだと考えます。
サッカー場での出来事というだけでなく、もっと一般的に、例えば街中で、
このようなメッセージが掲げられたら、今回の比ではない問題となるはずです。
当然ながら、「表現の自由」の範疇を超えています。
この事件をうけて、Jリーグでは3月23日に行われる浦和レッズと清水エスパルスの試合を、無観客試合とすることを決めました。
一部では、勝ち点を没収するとか、果ては除名か降格かともいわれていましたが、
個人的には妥当な処分だと思います。
今回の問題は、あくまでもファンが起こした問題であり、プレーしている選手には関係のないことです。
そのようなことで、自分たちの業績がマイナスの評価を受けることは、納得いかないでしょう。
無観客試合になれば、もちろんチームにとっては大きなダメージを与えますが、
お客さんがいないだけで、普通に試合は行われるわけで。
普段の練習の時と同じ雰囲気の中でやる、というだけのことで、
真剣勝負をしているか、ただの練習かの違いでしかないと思います。
次に、サポーターの立場からみればどうか。
もちろん、一部のサポーターのせいで割を食うことになる、その気持ちはよく分かります。
でもこればかりは仕方ありません。相手チームのサポーターも含めて、他山の石としなければならないと思います。
清水にだって、ブラジル人労働者などの外国人はたくさんいると思われるわけで、
その人たちがもし「JAPANESE ONLY」という表示を見たらどう思うか。
ということを想像すれば理解できるのではないかと思います。
サポーターがさいたままで来る交通費やホテル代が無駄になるのではと心配している人もいますが、
まだ1週間以上あるのだし、今からキャンセルしても問題ないと思います。
繰り返しますが、今回の問題は、くれぐれもサッカー場内だけの話で終わらせてはならないと思います。
こういう差別的な行動をしてはいけないこと(人間として当たり前のことだと思いますが)を、もっと多くの人に知ってもらい、
最終的には、このような差別的な発言・行動がこの世から根絶されることを願っています。
浦和レッズは、一応このような形で、自らの顧客に対する賠償を支払うことになりました。
これが、排外主義を唱える個人や団体に対して、今後その行動を思いとどまらせる一因となることを、期待しています。