tetujin's blog

映画の「ネタバレの場合があります。健康のため、読み過ぎにご注意ください。」

小さい秋を見つけに(5)

2008-09-10 21:27:55 | プチ放浪 山道編

 
 

【撮影地】静岡県富士宮市粟倉地先(富士山)(2008.8月撮影)
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とにかく、歩くペースを落として心拍数を過度に上げないよう、ゆっくりゆっくりを合言葉にぼくらは進んだ。休憩のたびに呼吸がぜいぜい言っている彼らは、持ってきた携帯酸素を夢中で吸っている。それでも、6合目あたりまでは、長時間の休憩を必要とすることもなく、順調なペースで登り続けていた。それが、苦しくなってきたのは6合目を過ぎたあたりからだった。
先頭を行くのが懐中電灯を手にしたゴエモンこと、石井君。その後に彼の彼女。そして北尾君と彼の彼女。しんがりはぼくで、ヘッドランプで前の4人の足元を照らしてあげる。
おしゃべりを続けていた彼らが、何にも話さなくなる。一番元気だったネイルアーティストをやっているという北尾君の彼女が、ヘッドフォーンを付けていたから音楽でも聴いているのかなと思ったら、足の疲労でおしゃべりどころではないらしい。ただ、頭痛はしないというから、さほどの高山病というわけではないかもしれない。
ぼくの息が切れだしたのは、新6合目「樹海荘」を過ぎたあたりからだった。およそ2000mの八方で高度順応したつもりでいて、あまり役には立っていないようだ。
へばっている彼女たちの<心臓がバクバク言っている>状態がこの時よくわかった。ほんのちょっと歩いただけで、足が棒のように重たくなり進まなくなる。眠気覚ましのためにガムを噛んでいたのだが、それすら、呼吸の妨げになり、息が苦しくなる。
標高が高くなるにつれて大気中の酸素が段々薄くなり、体が酸欠状態になって様々な変調をきたすようになるのが高山病(高度障害)だ。
深呼吸を少し意識的に行う。高度が上がるにつれて気圧が下がり、酸素の分圧が低下することによって、体の中に取り込む酸素の量が減る。これによって高山病が起こるのだから、意識して深い呼吸をくりかえした。同行中の女性2名は、つづら折の登山道の角を曲がるたびに休憩を要求するほどヘロヘロの状態だった。
それでも、7合目の最初の山小屋「花小屋」に到着。そこには「是より吉田口七合目」という看板が立っていた。「是より」と書いて「これより」と読ます。この後もよく「是より」と書いてある看板が目立った。

そこから歩いては休みを繰り返し、1時間。鎌岩館という山小屋を通過。ほとんどの山小屋の前には、道を挟んで谷側にベンチが置かれている。そして、高度が上がるたびに、また、ご来光の時間が近づくにつれてベンチから人があふれて休憩していた。
そして、鳥居荘に到達。この鳥居荘の正式名は「本七合目鳥居荘」。ここが7合目という名前がついた最後の山小屋だ。永遠に続くと思われた7合目だが、ついに8合目が目の前に。
相変わらず登りにくい溶岩の固まったごつごつした岩稜地帯が続く。そろそろ体力の差がモロに現れ始める頃だ。
山登りでは手足の3点確保が原則。しかし、富士登山ではみんな金剛杖やらストックやらを持って登るから、手に持ったものが邪魔で、四つんばいの姿勢をとりにくい。面倒くさいから、ほとんど足だけでバランスを取って登っているのだが、ヘタをするとバランスを崩してひっくり返るかもしれない。つまりは、上から人が転がり落ちてくる可能性があるということなのだが、道が登山者で渋滞しているし、なによりも考える気力がなく、ヘロヘロになりながら前の登山者との間をあけず、そのまま登っていく。


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2 コメント

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Unknown (太陽の息子)
2008-09-11 21:30:42
今晩は久し振りに散歩に寄ってみました、(*^_^*)
Unknown (tetujin)
2008-09-12 23:24:34
太陽の息子さま。いらっしゃい。
朝晩は、めっきりと涼しくなりました。
おかげでぐっすりと眠れるようになりました^^
しばらくは、今の気候が続くとよいですね☆

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