tetujin's blog

映画の「ネタバレの場合があります。健康のため、読み過ぎにご注意ください。」

馬の飼い方

2018-08-30 22:21:23 | 日記

馬乳を欲しかる子馬を近くの柵に入れておけば、朝、母乳を飲ませるため母馬たちが柵のそばにやってくる。だから母馬たちの管理は簡単だ。
問題は種馬(リーダー)に引き連れられた若い牡馬たち。
朝、近くの丘に登っても、見渡す範囲に馬の群れはない。どっかに行っちまってる。最近、たむろしていることが多い草地を探しに行けども、見つからないこともある。だから日によっては数時間も探し回ることも。

乗馬に使う馬を捕えるため、馬の集団を追い回して柵に連れてくるのは、そんなに大変なことじゃない。先頭馬を誘導しつつ、オートバイで追い立てれば、柵の近くまで連れてくることはできる。問題はそれからだ。

馬も、柵に入れられれば、乗馬のためにハミを咥えさせられ、鞍を背負わされるのがわかっているから、なかなか柵には入ろうとしない。ふざけて人間と追いかけっこしているのではなく、草食動物ゆえんの命をかけた逃亡を図る。
という大騒ぎを毎朝繰り返しつつ、馬は柵に入れられ、手綱と鞍を着けられて観念する。・・・今日もへたくそな騎手の相手かと。
選にもれた馬たちは、悠々とどこかに遊びに出かける。
選ばれた馬の中には、地面に寝転んで人を乗せるのを拒否する馬もいる。遊牧民たちは、こうして駄々をこねる馬や抵抗して人を蹴飛ばす馬を容赦なくひっぱたく。この調教ゆえ、人に噛みつく行儀の悪い馬も矯正されていく。

夏の草原は、ハエやアブの天国でもある。乗馬中もそうだが、昼の休憩時に、ポールに渡された綱にくくられた(綱が体よりも上にあるので吊られている)馬たちは、盛んにヘッドバンギング。そんに頭振ってたら、首が疲れちゃうだろう・・・
とか心配するが、実際に首の筋肉が疲れちゃうようだ。ときどき、隣にいる馬のお尻に頭を乗せて休んでいる。馬たちは乗馬に使われている間は、水を飲めるのは一回だけ。あとは強い日差しの中、ひたすら、人を乗せて歩かされる。
やぱ、嫌なんだろうな。


モンゴル式のBBQホルホグ

2018-08-29 23:35:40 | 日記

キャンプ・ゲルに到着して3日目、ヒツジを用意し、ぼくらにご馳走してくれることになった。遊牧民出身のガイドの一人が、ヒツジ一頭を小1時間もかからずに各部位に解体。その様子をぼくらに見せてくれる。
マグロの解体ショーと思えばどうってことないはずだが、直視するにはかなり抵抗がある。

遊牧民の子供たちは、幼いころから家畜をさばく作業を見て手伝いをする。彼らにとって、家畜をさばき、それを食べるのは、彼らの生活の基盤だ。子供たちは、こうした作業に慣れることで、家畜はペットではなく、彼らの生活に欠かせない大切な財産であり、食料であることを学び、家畜と人間の関わりを理解する。
大人たちも子供らに仕事をまかせる。ヒツジを追いかけたり、乳しぼりしたり。3、4歳にもなれば自分よりはるかに大きな馬に乗り、家畜の群れを追いかける。幼い時から大人たちの背中を見て育ち、生活に必要なことを学んでいくのだ。。

キャンプでばらしたヒツジの肉は、モンゴル式のBBQホルホグに。ミルクタンクのようなステンレス製の圧力容器で、容器の底から加熱してむし焼きにする。塩と調味料、そしてジャガイモ、ニンジンなど野菜も入れる。サッポロで食べるジンギスカンとは全く異なる味と香り。より、肉のうまみが生きてて最高だ。


馬乳酒

2018-08-28 23:24:51 | 日記

ツーリスト・キャンプ・ゲルに向かう途中、いくつかのゲルが見えた。
ガイドのペジェーが「馬乳酒を作っている所」という。
それを聞いて、モンゴルを知らないぼくは「清酒会社」を連想。
かみ合わない質問をした後で、モンゴル知らなさすぎを思い知った。生まれ育った環境が違えば、常識のありかも異なってくるから、なんでそんな質問をと驚かれることになる。
そんなんで常識がないから、ウランバートルのデパートで馬乳酒を購入しようとふと思ってしまったりもする。

春から秋にかけての日の長い時期になると、馬は繁殖期を迎える。暖かい時期に受胎して、11ヶ月後の暖かくなる時期に生まれるのが馬の繁殖サイクルだ。したがって、主に夏が母馬の授乳の時期。
馬乳が採れるのも夏の間だけのこと。
それに冬は雪で閉ざされ、エサが不足する。なので、ひと家族で飼える馬の頭数も限られる。だから企業で馬乳酒醸造などありえない話となる。

この馬乳酒は、あまり野菜を食べる習慣がない遊牧民(ノマド)達にとって、大切なビタミン源だ。彼らにとっては馬乳酒は酒ではなく、命をつなぐための尊い水なのだ。モンゴルでは赤ん坊から年寄りまで飲用する。
ノマドのゲルに行くと馬乳酒をごちそうしてくれる。正確に言うと、ガイドが前もって連絡を取り、連れて行くゲストたちによってスーテーツァイと呼ばれるモンゴル式ミルクティーか馬乳酒を用意させるのだ。馬乳酒は丼のような入れ物になみなみといれて出される。

馬乳酒の酒精濃度は1%から1.5%。馬乳に含まれる乳糖の酵母による発酵と、エタノール産生型乳酸菌に由来する。馬乳をひたすらかき混ぜて、好気性発酵を進行させるゆえ強い酸味があり、二酸化炭素による微発泡性も有する。また馬乳酒は特有の臭気もある。
大量の乳酸菌を摂取することになるため、腸内環境の改善、老廃物の排泄といった効果がある反面、苦手な人は飲みすぎると下痢をするとも。
・・・注いでいただいたお酒は飲み干す。ということで、どんぶり一杯の馬乳酒をいただいたのだが、体調には変化なし。好きだな。この酒。。


雲のゆくえ

2018-08-27 22:52:34 | 日記

司馬遼太郎氏の「草原の記」に、「乾燥した土地になぜ雲が湧き上がるのだろう」という記述があった。

答えは簡単だ。
草原の植物の葉は、太陽の熱が直接地面に届くのを妨げると同時に、地中に張り巡らせた植物の根は、降雨が地中深くに浸透するのを防ぐ。つまり、草原の地表は、草の根により貯水庫の役割を果たしている。
一方、植物の葉の表面には気孔が存在し、一対の孔辺細胞およびその周辺の細胞からなり、孔辺細胞間にできる孔の大きさを調節して開閉を行う。
この開閉は、光合成が盛んに行われる晴天の時に開いて、葉から水を蒸散させ、根から水や養分の取り込みを促進する。同時に光合成に必要な二酸化炭素を取り込み、光合成により産出される酸素を放出する。
もう一つの重要な役割は、強い日差しで上昇した葉の温度を低下させることだ。

つまり、太陽が照り付けると植物は水分を蒸散させる。それが太陽熱で温められて上昇し、上空の冷気で冷やされ、雨滴となり雲を形成する。水分は雨となり地表に降り注ぎ、そして植物により蒸散されてまた雲になる。その繰り返し。。
実際、太陽が昇る前の早朝でも、草原を歩くと夜露で足元はぐっしょり濡れる。
今年は7月に多くの雨が降ったらしい。このためモンゴルの草原は例年になく草が覆い茂ってたようだ。

昔、遊牧民が南の土地に侵入してきた漢人たちを嫌ったのは、彼らが農耕民族で、草原を耕して農作物を植えるからという。水はけをよくするために耕された土地は、すぐに水分を地中に逃してしまう。草原の砂漠化の手助けをしているに過ぎない。


星の降る夜

2018-08-26 22:04:01 | 日記

♪思ったよりも 夜露は冷たく 二人の声も ふるえていました

モンゴルの草原のもう一つの魅力は、菱空。
新月の夜には、ホウキで空をつっつけば星が落っこちてきそうなほど満天の星空。
夕方の地平線の雲が取れて、絶好の星間旅行の夜だ。
三脚をセットすれば、ワンコが臭いをかぎに行く。
「ダメ!!」
っていうと、遊んでもらえるんだと勘違いしてじゃれてくる。
・・・モンゴルだから英語も通じないし。。

♪星は 帰ろうとしてる帰れない二人を残して