指原莉乃「逆転力」が面白い5・・指原の戦略論(総選挙分析ライター)
前回までの4つの記事でHKT48の支配人を兼務する指原莉乃が戦略的思考の持ち主であり、「真っ向勝負をせず」、「戦わずして済む方法」を探り、「自分の土俵で戦う状況」を作ることを行動規範としてHKT48のコンサートを成功に導いた”戦略家”であることを明らかにした。
指原莉乃「逆転力」が面白い1・・指原の戦略論 140811
指原莉乃「逆転力」が面白い2・・指原の戦略論 140819
指原莉乃「逆転力」が面白い3・・指原の戦略論 141231
指原莉乃「逆転力」が面白い4・・指原の戦略論 150101
一方で、指原はHKT48の劇場支配人という顔を持った”リーダー”でもある。今回は指原のような”戦略家”であるリーダーがいることの意義について考えてみたい。
指原は「逆転力」の中でHKT48の”リーダー”として以下のような発言をしている。
「HKT48の中では私が最年長だし、先輩だから、みんなを引っ張っていく存在にならなければいけなかった。私がしっかりしなきゃ、このグループもしっかりできないんだ、と思うようになった(P84)」
そして、”リーダー”として「後輩の悩みを聞いたり、アドバイスしたり、メンバーから大事だなと思った意見が出れば、上の人に伝えた(P88)」コンサートでは「県ごとにユニットメンバーを入れ替えたり、地元のコにはソロパートをあげ(P102)」全員にチャンスを与えるようにした。
HKT48が目指す姿として「誰が真ん中にいても戦えるのが、本当に強いグループ・・・1人でも多くスターを育てたい。増やしていきたい。・・私はHKT48のみんなで、1番になりたい(P102)」と熱い胸の思いを語っている。
指原の経歴はAKB48に入って研究生からアイドル、グループ間異動、そしてスキャンダルによりHKT48へ移籍後トップアイドルになるという叩きあげであり、かつ、本支店を兼務ではなく専任で経験している数少ないメンバーである。そのため、AKB48Gメンバーの業務、悩み、裏情報、知り合いなどメンバーに関わることに非常に精通している。
加えて、秋元康氏が作詞した膨大な数のAKB48Gの楽曲を全て聞き込みコンサートのセットリストを作ることができるAKB48G楽曲の専門家でもあり、自らがガチガチのアイドルオタクであったことからアイドル事情やコンサート現場にも非常に詳しい。
指原莉乃のプロデュース力 TIF HKT48 130803
おまけに若干22歳ながら自らの名がついた「さしこのくせに」、「指原の乱」という冠番組での経験に加えて「ミューズの鏡」、「薔薇色のプー子」での映画主演経験があり芸歴が豊富である。さらに「笑っていいとも」等の人気番組のレギュラーを通して芸能界の事情に詳しく芸能界に多くの知り合いを持っている。
指原はメンバーを指導するには全く申し分のない現場経験の持主であり、前述したとおりHKT48のリーダーとしての自覚とチームの目指すべき方向をしっかり持ち、戦略的思考ができる”戦略リーダー”である。
戦略を自ら考えることができる戦略的思考方法が身についた”戦略リーダー”が組織を動かす集団のパフォーマンスが高いことは経験的に知られている。”戦略リーダー”は創業企業に多くみられ、会社を大きく成長させたオーナー創業者はほとんどが戦略をしっかり持った”戦略リーダー”である。日本の企業で言えば最近では孫正義氏のソフトバンク、柳井正氏のユニクロ、永守重信氏の日本電産が代表例だろう。厳密な創業者ではないが7&Iの鈴木敏文氏なども”戦略リーダー”として名高い。
戦略をしっかり持った”戦略リーダー”である創業企業のオーナーは業界事情に精通した上で新しいビジネスチャンスを自ら見つけて儲かるビジネスモデルを構築する。創業時は人員も規模も小さいので創業者はほとんどの業務に目を通しているか自ら担当しているので業務に精通している。そのビジネス経験の中で直すべきところは直し、投資を拡大してビジネスを拡大していく。ビジネスが成功するのは戦略がしっかりしていることに加えて、創業者が自ら率いる組織(の成員)の強み、弱みや率いている組織の業務の細かい部分まで熟知したうえでどうやったら成功するか、失敗しないかを常日頃考えて実行しているからである。
一方で、”戦略リーダー”である創業オーナーが去った後の企業(組織)は、それぞれ機能が分化し、分業化、専門化が進行していく。組織の経営戦略は経営企画部門が、マーケティングはマーケティング戦略企画部門が、宣伝・PRは宣伝企画部門がというようにそれぞれの部門の専門家が立案するので企業のリーダーは必ずしも”戦略リーダー”ではなくとも務まる。既存企業のサラリーマントップは大部分が底辺的業務に従事するところから始まり、次第に部門トップ、担当トップという階段を時間をかけて登っていき最後に社長となるので会社全体を見回した戦略的思考で会社を考える時間と経験は創業オーナーの”戦略リーダー”に比較した場合は少なくなる。
トップが”戦略リーダー”でない場合、業界の景気が良いときは問題ないが景気が悪化した時や強力な競争者が現れ組織のビジネス環境に課題が生じたときには正念場となる。組織が新たに成長していく方策をトップ自ら考えることができずに戦略を立案する専門部門に任すしかない場合、組織の構成員はトップの限界を知ってしまいモチベーションが上がらなくなり組織パフォーマンスは低下する。
以上のように”戦略リーダー”の有無は組織パフォーマンスに多大な影響を与える。
「逆転力」を読んでいると、指原は上記のタイプ分けから見た場合、創業者ではないものの創業者に近いぐらいビジネスの現場に精通した”戦略リーダー”としての能力と経験を持っている。
なぜ、指原が月刊AKB48G新聞アワード2014のMVPを満場一致で受賞したのかということを探っていくと指原のような強力な”戦略リーダー”がいるHKT48のコンサートやメンバーの成長という組織としてのパフォーマンスが”戦略リーダー”不在の他のAKB48Gよりまさっていて、指原の”戦略リーダー”としての働きが評価されたという見方もできるのではないかと思っている。
指原莉乃 AKB新聞2014MVP受賞 感想 141226
(なお、AKB48Gの総合プロデューサーである秋元康氏は指原が率いるHKT48を”HKT王国”と呼んだが、筆者は”王”=”戦略リーダー”と考えている。)
指原莉乃 ”HKT王国”の意味141029
以上
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指原莉乃「逆転力」が面白い1・・指原の戦略論 140811
指原莉乃「逆転力」が面白い2・・指原の戦略論 140819
指原莉乃「逆転力」が面白い3・・指原の戦略論 141231
指原莉乃「逆転力」が面白い4・・指原の戦略論 150101
一方で、指原はHKT48の劇場支配人という顔を持った”リーダー”でもある。今回は指原のような”戦略家”であるリーダーがいることの意義について考えてみたい。
指原は「逆転力」の中でHKT48の”リーダー”として以下のような発言をしている。
「HKT48の中では私が最年長だし、先輩だから、みんなを引っ張っていく存在にならなければいけなかった。私がしっかりしなきゃ、このグループもしっかりできないんだ、と思うようになった(P84)」
そして、”リーダー”として「後輩の悩みを聞いたり、アドバイスしたり、メンバーから大事だなと思った意見が出れば、上の人に伝えた(P88)」コンサートでは「県ごとにユニットメンバーを入れ替えたり、地元のコにはソロパートをあげ(P102)」全員にチャンスを与えるようにした。
HKT48が目指す姿として「誰が真ん中にいても戦えるのが、本当に強いグループ・・・1人でも多くスターを育てたい。増やしていきたい。・・私はHKT48のみんなで、1番になりたい(P102)」と熱い胸の思いを語っている。
指原の経歴はAKB48に入って研究生からアイドル、グループ間異動、そしてスキャンダルによりHKT48へ移籍後トップアイドルになるという叩きあげであり、かつ、本支店を兼務ではなく専任で経験している数少ないメンバーである。そのため、AKB48Gメンバーの業務、悩み、裏情報、知り合いなどメンバーに関わることに非常に精通している。
加えて、秋元康氏が作詞した膨大な数のAKB48Gの楽曲を全て聞き込みコンサートのセットリストを作ることができるAKB48G楽曲の専門家でもあり、自らがガチガチのアイドルオタクであったことからアイドル事情やコンサート現場にも非常に詳しい。
指原莉乃のプロデュース力 TIF HKT48 130803
おまけに若干22歳ながら自らの名がついた「さしこのくせに」、「指原の乱」という冠番組での経験に加えて「ミューズの鏡」、「薔薇色のプー子」での映画主演経験があり芸歴が豊富である。さらに「笑っていいとも」等の人気番組のレギュラーを通して芸能界の事情に詳しく芸能界に多くの知り合いを持っている。
指原はメンバーを指導するには全く申し分のない現場経験の持主であり、前述したとおりHKT48のリーダーとしての自覚とチームの目指すべき方向をしっかり持ち、戦略的思考ができる”戦略リーダー”である。
戦略を自ら考えることができる戦略的思考方法が身についた”戦略リーダー”が組織を動かす集団のパフォーマンスが高いことは経験的に知られている。”戦略リーダー”は創業企業に多くみられ、会社を大きく成長させたオーナー創業者はほとんどが戦略をしっかり持った”戦略リーダー”である。日本の企業で言えば最近では孫正義氏のソフトバンク、柳井正氏のユニクロ、永守重信氏の日本電産が代表例だろう。厳密な創業者ではないが7&Iの鈴木敏文氏なども”戦略リーダー”として名高い。
戦略をしっかり持った”戦略リーダー”である創業企業のオーナーは業界事情に精通した上で新しいビジネスチャンスを自ら見つけて儲かるビジネスモデルを構築する。創業時は人員も規模も小さいので創業者はほとんどの業務に目を通しているか自ら担当しているので業務に精通している。そのビジネス経験の中で直すべきところは直し、投資を拡大してビジネスを拡大していく。ビジネスが成功するのは戦略がしっかりしていることに加えて、創業者が自ら率いる組織(の成員)の強み、弱みや率いている組織の業務の細かい部分まで熟知したうえでどうやったら成功するか、失敗しないかを常日頃考えて実行しているからである。
一方で、”戦略リーダー”である創業オーナーが去った後の企業(組織)は、それぞれ機能が分化し、分業化、専門化が進行していく。組織の経営戦略は経営企画部門が、マーケティングはマーケティング戦略企画部門が、宣伝・PRは宣伝企画部門がというようにそれぞれの部門の専門家が立案するので企業のリーダーは必ずしも”戦略リーダー”ではなくとも務まる。既存企業のサラリーマントップは大部分が底辺的業務に従事するところから始まり、次第に部門トップ、担当トップという階段を時間をかけて登っていき最後に社長となるので会社全体を見回した戦略的思考で会社を考える時間と経験は創業オーナーの”戦略リーダー”に比較した場合は少なくなる。
トップが”戦略リーダー”でない場合、業界の景気が良いときは問題ないが景気が悪化した時や強力な競争者が現れ組織のビジネス環境に課題が生じたときには正念場となる。組織が新たに成長していく方策をトップ自ら考えることができずに戦略を立案する専門部門に任すしかない場合、組織の構成員はトップの限界を知ってしまいモチベーションが上がらなくなり組織パフォーマンスは低下する。
以上のように”戦略リーダー”の有無は組織パフォーマンスに多大な影響を与える。
「逆転力」を読んでいると、指原は上記のタイプ分けから見た場合、創業者ではないものの創業者に近いぐらいビジネスの現場に精通した”戦略リーダー”としての能力と経験を持っている。
なぜ、指原が月刊AKB48G新聞アワード2014のMVPを満場一致で受賞したのかということを探っていくと指原のような強力な”戦略リーダー”がいるHKT48のコンサートやメンバーの成長という組織としてのパフォーマンスが”戦略リーダー”不在の他のAKB48Gよりまさっていて、指原の”戦略リーダー”としての働きが評価されたという見方もできるのではないかと思っている。
指原莉乃 AKB新聞2014MVP受賞 感想 141226
(なお、AKB48Gの総合プロデューサーである秋元康氏は指原が率いるHKT48を”HKT王国”と呼んだが、筆者は”王”=”戦略リーダー”と考えている。)
指原莉乃 ”HKT王国”の意味141029
以上
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