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「晴行雨筆」の日々から生まれるもの

高槻先生から頂いた野外研究というプレゼント 五十嵐

2015-03-07 22:19:57 | つながり
五十嵐 知行

 高校生の時に、アフリカで獣医として働きたいという夢を持ち、アメリカの大学に留学することを決めました。アメリカでは、ロッキー山脈のふもとにある大学に入学し、獣医学部入学を目指しました。何とか、獣医学部に入学することはできましたが、都会の大学に移り、今度は、アメリカの東海岸で勉強することになりました。環境の変化についていけずに、アメリカでは、獣医師になる目標を途中で断念してしまいました。帰国後、何をやりたいかを考えていた時に、アメリカで経験したロッキー山脈での野外調査の手伝いや大学での野外調査の楽しさが忘れられずに、野生動物の野外調査をやりたいと考え、高槻先生のいる野生動物学研究室を受験することに決めました。その当時は、野生動物の研究を出来ると考えただけで嬉しくなりました。高槻先生はいろいろなことを教えて下さりました。共同で野外調査をすることや関係機関から許可をもらうことなどから人とのかかわりの大切さや、野外研究からは、地味な作業が大切なことも学びました。助成金をもらい、自立して、自分で研究をやるということも学びました。いろいろな機会を与えて下さった高槻先生ですが、特に印象に残っていることがあります。
 それは、大学院入試の面接の時の、高槻先生の目の輝きでした。質問をしている時に、身を乗り出して、目がキラキラ輝いているように見えました。少し驚いてしまうほどでしたが、自分が面白いと思ったことをやったことがある人が持つような目の輝きだったのかなと今思います。大学院の研究生活では、原始林の中に身を置き、研究することができ、太古の自然や動物の息づかいを感じることができました。今、野生動物が直面している大きな問題は、もしかしたら、人間がいなかったら、引き起こされていなかったかもしれないと考えると、人間の責任を感じずにはいられません。自然保護の考えを体で学んだ大学院生活でした。現在では、野生動物とは縁のない業種で働いていますが、休みの日に地域の環境保護のボランティアグループで、川の調査のお手伝いをしたり、趣味として、野鳥観察をしたりしています。そんな細々とした野生動物との関わりを続けている生活で、大学院での野外研究は、今も輝いています。
(2001年 東京大学大学院修士課程修了)
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