慶喜

心意気
「明日迄の命の気持ちで、人生を!」
「不老不死の気持ちで、知識の習得を!」

今日はお彼岸(朝のエッセー)

2020年09月22日 | 雑誌・書籍
🌸旧盆の出来事

9月に入ったばかりのある夕方のこと。
私の部屋の網戸に1匹の大きな蝉が止まっているのに気がついた。

あらまあ、そんなところに止まって! 
ベランダに落ちたら、利根川の花野の中にでも捨てに行こう。
何となくそう思っていた。

何度も部屋を出たり入ったりする度に、蝉のことが気になりだした。
じっと私の方を見ているような、そんな感じがするのだ。

ベッドの端に腰かけて、蝉と向かい合ってみる。
話しかけてみる。誰? まさかお父さん? 蝉が少し動いた。

子供の頃のことが思い出されてくる。
一日中、外でよく遊び本当に楽しかった。
海で大きな蛤を取ってくると頭をなでて喜んでくれた。
夏休みの自由研究「風と雲の観察」も、目を細くして褒めてくれた。
深い愛情に包まれて見守ってもらったと思う。

大人になってから、もっと話をしたり相談したりすればよかったと
後悔している。
親孝行らしいことをしないまま逝ってしまった。
涙が出てきた。カーテンを少し引いてベッドに入った。

翌朝。蝉はまだそこにいる。
カーテンの隙間から部屋の中が見えるところまで移動していた。
少なからずギョッとして私は台所へ移る。
と、居間の網戸にもう一匹蝉が止まってる。
心臓がドキドキしはじめた。

朝食の用意を終えて、蝉に近づいていくと一声鳴いて飛び去っていった。
私の部屋の蝉もいなくなっていた。

父と母と2人で会いに来てくれていたのだろうか。
しばらく動けなかった。

来年は弟もつれて、3人で来てほしいナ。

      池田美津子(81) 茨城県取手市
                   (敬称略)
⛳知識の向上目指し、記事を参考に自分のノートとしてブログに記載
⛳出典内容の共有、出典の購読、視聴に繋がればと思いブログで紹介
 ☆記事内容ご指摘あれば、訂正・削除します
⛳私の知識不足の為、記述に誤り不明点あると思います
⛳詳細は、出典記事・番組・画像で確認ください
⛳出典、『産経新聞』






今日はお彼岸(朝のエッセー)
(ネットより画像引用)

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