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暗黒政治に文化人学者が一斉蜂起 「安倍おろし」の大合唱

2017-05-30 15:12:13 | Weblog
(2017年5月29日 日刊ゲンダイ)

 安倍首相の通算在職日数が、28日で1981日となり、小泉純一郎
を抜いて、戦後3位に躍り出た。来年の総裁選で3選すれば、歴代
最長も視野に入ってくる。1強独裁を謳歌する安倍政権だが、「千
丈の堤も蟻の穴より崩れる」だ。森友学園、加計学園の問題で、お
ぞましい権力の私物化を目の当たりにし、世論の怒りが急速に広
がりつつある。

 日本経済新聞電子版の「クイックVote」では、第322回「加計学
園問題、説明に納得できますか」が投票中だが、内閣支持率がな
んと27.3%(28日23時時点)に急落。 前回調査から20ポイント
以上の落ち込みだ。加計学園をめぐる政府の説明には、80.9%
が「納得できない」と答えている。シグマ・キャピタルのチーフエコノ
ミスト、田代秀敏氏が言う。
    「ここまで下がるとは驚きました。森友学園問題がテーマとな
    った3月初めにも36.1%に下落しましたが、その後、北朝
    鮮がミサイルを発射するたびに、内閣支持率は回復し、4月
    末には71.1%に達しました。首相の親友に便宜が図られ
    たとされる加計学園問題では、真面目にビジネスをしている
    人ほど怒っているはずです。これまで『儲かればいい』と安
    倍内閣を支持していた人たちも、呆れて見放しにかかってい
    るのでは? 共謀罪法案の強引な進め方も支持率急落の一
    因でしょう。安倍首相にとっては大打撃で、外遊から意気揚
    々と戻ってきた途端、厳しい現実に直面しています」
 森友疑惑、加計疑惑を隠すために北朝鮮の脅威をことさら煽り、
それを共謀罪法案や改憲にまで利用しようという詐欺的手法も、も
はや国民に見透かされている。

■「歴史に対する犯罪」政権
 これだけ国民無視の好き放題を続けてきて、50%、60%という
支持率を維持していたことの方が不思議だ。何をやっても支持率
が落ちないから、傲慢そのものの政権運営を続けてきたが、さす
がにやり過ぎた。都合の悪い文書は廃棄し、あるいは怪文書扱い
するデタラメ。あるものを「ない」と言い張り、事実をねじ曲げて無
理を通し、嘘で塗り固めるペテン政治。権力の私物化は目に余る
ものがあり、堪忍袋の緒が切れた有権者の反乱が、かつてない規
模で広がり始めている。 
 27日の毎日新聞で、作家の柳田邦男氏はこう書いていた。
    〈戦後の歴代政権の中で、安倍政権ほど重要な政治案件を
    めぐって閣僚級の人物や官僚による欺瞞的な言葉の乱発や
    重要文書の内容否定、存在否定が常態化した時代はなかっ
    たのではなかろうか〉
    〈閣僚級の政治家も官僚も、説明責任を果たす言語能力に
    欠けるばかりか、核心をはぐらかし、低劣な問題発言を続発
    させる。さらに深刻なのは、政策や行政のプロセスに関する
    文書をどんどん廃棄していることだ。文書の廃棄は、後世に
    おいて政権の意思決定過程を検証するのを不可能にする。
    歴史に対する犯罪だ〉
 批判を許さず、歴史の検証をも拒否する独善。安倍政権下の日
本は暗黒政治の様相である。歴史作家の保阪正康氏も、かつて
日刊ゲンダイのインタビューでこう指摘した。
    〈太平洋戦争が始まるとき、日本は軍事独裁だった〉〈軍事
    が行政を握り、立法と司法を自分の下に置いて支配した。そ
    して戦争に突き進んだ〉〈安倍政権は行政が立法と司法を押
    しつぶそうとしている〉
    今の日本は〈戦前の独裁政治と同じになりつつある〉という
    のである。

◆権力者の我儘にひれ伏す国は早晩滅びる
 肥大化した権力が立法と司法を従え、メディアも支配下に置けば、
何が起きるか。権力者の胸三寸で政策が歪められる、捜査も報道も
歪められる。
 法政大教授の山口二郎氏は、東京新聞のコラム(28日)で〈権力
者の我儘に政治家や役人がひれ伏すような国は早晩ほろびる〉と
書いている。
    〈権力者に近しい者の犯罪はもみ消され、権力者に逆らう者
    は根拠のない攻撃を受ける〉
    〈最大部数の新聞が政府の謀略に加担し、公共放送は政府
    の言い分を最優先で伝える。傲慢な権力者は議会を軽蔑し、
    野党の質問には最初から答えない。もはや日本は、かつて
    中南米やアフリカに存在したような専制国家に成り下がった〉
    仲間内には便宜を図り、盾突く者は叩きのめす。戦前さなが
    らの謀略が横行する恐怖政治は、もはや法治国家の姿では
    ない。こんな反動政権に「共謀罪」なんてやらせては、絶対
    にダメだ。
 ここへきて、日本ペンクラブ、日本出版者協議会など多くの知識
人が一斉に共謀罪法案に反対の声を上げている。
    ・人はいずれ死ぬが、法律は死なない。子や孫の代にこの
    法律がどう使われるか(作家・浅田次郎氏)
    ・日本はいま、巨大な渦の淵にいる。渦の中には戦争のよう
    などす黒いものがある。その渦に巻き込まれるかどうかの境
    目にある(漫画家・ちばてつや氏)
    ・何もしていないのに逮捕される現場を見てきた。共謀罪がな
    くてもこんな状況なのに、共謀罪ができたら一体どうなってし
    まうのか(作家・雨宮処凛氏)
    ・この法律は精神の危機につながる(精神科医の香山リカ氏)
 日弁連も「監視社会化を招き、市民の人権や自由を広く侵害する
おそれが強い本法案の制定に強く反対する」との声明を発表してい
る。

■お笑いタレントもSNSで懸念を発信
 作家の柳広司氏は朝日新聞の「声」欄に反対意見を投稿、4月
30日の紙面に掲載された。
    〈昨今の政治状況を見るかぎり、今の日本の政治家や官僚
    が戦前より優秀であるとは、残念ながらとても思えません。
    「共謀罪」は、治安維持法同様、必ずや現場に運用を丸投げ
    され、早晩国民に牙をむく「悪法」になるのは火を見るより明
    らかです。同時に、結果に対して誰も責任を取らないであろ
    うことも――〉
 共謀罪が施行されれば、こうした言論も自由にできなくなるかもし
れない。だから今、止めなければならない。
立正大名誉教授の金子勝氏(憲法)が言う。
    「共謀罪の恐ろしいところは、心の中で思ったことまで取り締
    まることであり、犯罪者かどうかを決めるのは権力側です。
    自分は犯罪を犯す気がないから関係ない、安倍政権に近い
    から心配ないと思っている人も、いつ摘発される側になるか
    分かりません。治安維持法も、どんどん拡大解釈されて政権
    に都合の悪いものは片っ端から摘発対象になっていった。
    すべての言論機関が対象になり得るし、表現活動をしてい
    る人にとっては切実な問題です。およそ文化人、学者の類い
    が共謀罪に反対しているのは当然と言えます。国民の反対
    運動が広がり、支持率がガクンと下がれば、安倍政権もそう
    強引なことはできなくなる。暴走を止められるかどうかは、世
    論の蜂起にかかっています」

◆共謀罪への懸念はSNSでも広がっている。
 放送タレントの松尾貴史は 〈秘密保護法その他とセットで、国民
を黙らせる仕組みは完了という状態になってしまう〉とツイート。
 お笑いタレントのカンニング竹山も衆院で共謀罪が強行採決され
たことに対し 〈何故そんなに急いでやる必要性があるのか! な
んかやっぱ怖いっす〉とツイートしていた。
 ウーマンラッシュアワーの村本大輔は 〈共謀罪、国民が悪いこと
しないかプライバシーを侵害して監視するなら、国会や政治家のプ
ライバシーこそ侵害させてもらって覗かせてもらいたい〉とつづって
いた。

   民主主義の根幹が壊され、人権が制限されることを望む国民
   がどこにいるだろうか。森友、加計問題で、戦慄の実態が次々
   と露呈し、国民もこの政権の危険性に気づき始めた。
   もはや「安倍を潰せ!」の大合唱は、止まりそうにない。