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結局は爪はいらないと実感する

2021年06月10日 | Weblog
 クラシックギターを弾くうえで(クラシックに限らないけど)ほとんどの教則本でも、爪の手入れや爪の長さなどの解説が載っている。 
ソロギターの教則本でも同じように爪のメンテや長さなどが解説されているのは常識になっている。
逆に爪を伸ばすことなく弾くことはほとんど解説している本はないと言っても過言ではない。
爪が必要と言う理由はやはり音色でしょうか。 さらに言えば、私の経験から話をすると、爪で弾く(爪だけで弾く訳ではありません、指の肉に沿って、最後に爪で爪弾くと言うこと)メリットはその音量でしょう。 最後に爪でしっかりと弦を弾くことが出来るので、当然ですが、音を大きく響かせる事が可能になる。
もう一つは、特に高音に関しては、明瞭でメリハリがある音が出せる事。
当然ですが、最後に爪先で引っ掛けて弦を弾くので、弦が弾かれる速度が速い(速度が速いと言う言い方ではちょっと説明できないけど、要するに、掛かっている物(爪)から弦が離れる時のスピードと言う感覚)ので、その分、音は明瞭に響くことになる。
それとは違って、指先の肉で弾く場合(指頭奏法と言う)は音量を出すためにはある程度の指の力が必要になる。 爪が無い分だけ、弾く勢いを要するので、どうしても指先の力を頼ることになる。
さらに、爪に比べると考えるまでもなく、弦は指の肉(柔らかい皮膚)を滑って緩やかに離れるので、音としては柔らかくて明瞭差には欠ける。 
この違いはかなり歴然としている。
ただ、ギターを弾くことに関しては、爪が無い方が演奏性としては勝っている。 弦にタッチする時の感覚や弦を爪弾く時の感覚は爪が無い方がより繊細な感覚を得ることが出来る。 
さらに言えば、弦へのアタック角度も容易に変化させることも可能になる。 このアタック角度によって音をコントロールするテクニックはクラシックギタリストのプロでも意外と難しいだろうと思う。 もちろん、著名なプロギタリスト達は当然だけど、そうした技術は卓越しているので、問題はないだろう。

私も爪を伸ばして弾くことが必要だとクラシックギターを弾いている時期もあった。 しかし、年齢的な問題もあり、爪が弱くなってきたこともあり、さらには日常生活で爪を気にする事に嫌になったこともあり、さらには常にギターを弾く時に爪のメンテをする必要性もあり、そうした煩わしさからサヨナラすることにした。
今は左右の爪はしっかりと完璧に切り落としている。 割れないように、さらにはフラメンコのセコ、ラスゲアードなどの演奏で爪の表面が削れる事を緩和するために、マニュキュアを重ねて塗っている。 
爪が絶対的に必要だと思っていたけど、爪無しで弾き続けているうちに、少しずつ爪無しでも十分な音量や明瞭な音を出すことが出来るようになってきた気がする。 これは指先の角度やアタック角度、弦を弾く時の動き(これは弦を指先で捉えてから離れるまでの時間を短くする事だろうと予想出来る)によって、爪同等とは行かないまでも、それほど遜色ない気もする。 
なので、今後も爪を伸ばすことはないだろうし、逆に指頭奏法の方が弦をコントロールするには都合が良いし、音色に関しても奥深さを出すことが出来る気がする。 ギターの音を引き出すには爪が無い方が良いような気もする。 
コンサートホールなどで音量を必要とするプロギタリストは爪が必要になるだろうけど、趣味で家で楽しんだり、小さなホールで演奏する程度なら、逆に爪が無い方がギターを弾くには効果的だろうと思う。 
指の動きも爪が無い方が遥かに敏速になる。 さらにはこれはとても重要だけど、普段の生活に何も支障がない。 なにしろ、爪を気にする事がないので、筋トレ時でもダンベルやウエイトを扱い時でも何も気にすることもないし、家事でも何も気にすることもない。 
さらに、ギターを弾く時に爪の状態をチェックして、手入れする時間が必要なくなるので、その時間をギターの練習そのものに使える。
私も爪を切り落としてから明らかにギターの音色が変わったことや、音量が無くなった事、高音弦の明瞭な音が出なくなった事、和音が緩慢になった事などを実感している。 
しかし、それでも爪無しで練習をしている間には徐々にだけど、音は明瞭になるし、和音も綺麗に出るようになった気もする。 
綺麗な音を出す事を常に意識して弾いていると、自ずとそれ相応の技術は着くのである。 こんな物だと思って諦めてしまっている人は、そうではなくて、爪で弾かなくても綺麗な音を出す事を意識する事を忘れないで弾き続けていると、そのなりに綺麗な音を出すためのテクニックを見つける事が出来ると思う。 
実際に指頭奏法へシフトしているギタリストも少なくない。 特に歳を重ねるとどうしても爪の強度も落ちる。