桜庭統さん 2

　＜桜庭統さん＞についてちょっと調べてみました。桜庭さんは幼稚園のころに自ら「ピアノ教室に行きたい」と志願されたとか。そして良い先生にめぐまれて小学校3-4年まで通ったそうですが、その後その先生が辞めてしまい、新しい先生はスパルタ式の厳しい方だったので嫌になってやめたそうです。その後しばらくはスポーツにあけくれていたそうですが、音楽が好きなのはそのままだったようで、元々歌入りの曲は好きではなく、よくクラシック等を聴いていたそうですが、ある日、クラシック曲をシンセサイザーで奏でる＜富田勲さん＞の曲を聴いてシンセサウンドに興味を持ち、高校のときにおこずかいをはたいて初めてのシンセを買ったそうです。そして大学在学中の85年、ベース＆ヴォーカルの＜長妻徹哉さん＞と、ドラムスの＜工藤元太さん＞の3人でプログレバンド＜DEJA-VU＞を結成しました。当初はオリジナル曲の他にＵＫやＥＬ＆Ｐのカヴァーも演奏していたそうです。そして88年に初のアルバム「Baroque in the Future」を発表します。ところがこの年に長妻さんが就職のため脱退してしまって、バンドは休止状態に。が、翌89年にベーシストの＜井上憲さん＞、そして元Outer Limitsのヴォーカル＜上野知己さん＞が加入して活動を再開しますが、残念ながらこの年の10月には解散してしまいます。
　まずアルバム「Baroque in the Future」を。ちなみにこのＣＤは98年にフランスのレーベルから再発されたものです。　1曲目は「Prelude」。ピアノとコーラスから荘厳な雰囲気ではじまります。中盤はドラムが入ってロック調に。　2曲目は「Next World」。仰々しいオープニングからはじまるアップテンポのハードな曲でナチュラルなヴォイスのヴォーカルが入ります。中盤は変拍子のパワフルなドラムをバックにスリリングなキーボードソロが。最後は静かに、そして柱時計の鐘の音でＦｉｎ。　3曲目はタイトルの「Baroque in the Future」。リズムも調も目めぐるしく展開していくスリリングな曲です。テクニカル・プログレですね。　4曲目は「Daydream」。ストレートなリズムのややポップ調のヴォーカル曲かな。しかし中盤はおもいっきりプログレしてますね。　5曲目は「Flash」。アップテンポのテクニカルな曲ですが、中盤はゆったりとメロディアスに。ピアノの音色が綺麗ですね。最後はガラスの割れるクラッシュ音が。　6曲目は「Byzantium」。抒情的なピアノからスタートして徐々に盛り上がっていき、様々な展開をみせるドラマチックな曲です。　7曲目は「Deja-vu」。ファンファーレのようなオーケストラサウンドからはじまり、歌が入ります。ちょっと違和感があるかなぁ？でも魅力的な曲ですね。ラストは壮大なオーケストラサウンドの劇的なエンディングです。
　オリジナルアルバムは全7曲で終わりなのですが、この再発アルバムには2曲ボーナストラックが収録されています。89年の上野さんと井上さんが加入したメンツでのライブバージョン2曲です。まずは「Concentration」。変拍子のヴォーカル曲で、ちょっぴり中近東系の音階がはいっているかな。上野さんのテノール調のヴォーカルが曲のミステリーさをより高めてるかも。もう1曲はアルバムにも収録されている「Deja-vu」です。上野さんの歌のほうが自分的には合ってるかな？ま、それぞれ好みがあると思いますが。しかしライブのほうが俄然迫力があっていいですね。　このアルバムではまだまだ荒削りというか若さというか、物足りない部分はありますが、構成や演奏力は凄いと思います。
　このあと、「スタジオミュージシャンでは生活できない。」と、ゲームやアニメの音楽の世界に入っていかれるわけですが、90年の12月にソロアルバム「戯曲音創」を発表します。メンバーはベースに＜イシタ　ケンさん＞、ドラムスは＜シモダ　タケオさん＞です。オールインストで今回はヴォーカルなしです。超有名画家のタッチにも似たデザインのジャケットには不思議な魅力を感じますね。さて、1曲目は「Humpty Dumpty」です。アップテンポの変拍子のテクニカルな曲で、緊張感のあるスリリングな展開をみせます。　2曲目は「Tone Access」。スピーディなベースとドラムからスタートするキャッチーなメロディの軽快なジャズロックですね。　3曲目は「Byzantium」。最初のアルバムにも収録されていたドラマチックな曲です。　4曲目は「Motion」。ピアノが印象的なテクニカルなアップテンポの曲です。軽快なリズムにのって跳ねるピアノが素敵！中盤では美しくダイナミックなピアノのソロが堪能できます。　5曲目は「Paradigm」。ドラムソロからはじまるシャッフルっぽいのノリのいいリズムの曲です。　6曲目は「Narratage」。幻想的な雰囲気からはじまる、ゆったりとしたピアノ主体のロマンティックなバラード曲です。後半の劇的な展開にはうっとりと聴きほれてしまいます。　7曲目は「Scrap And Build」。変拍子のハイテンポでスリリングな曲でテクニカルなんですが、スローで綺麗なメロディの部分もあり、展開の妙が楽しめますね。　ラスト8曲目は「Drama Composition」。ノリのいいリズムにのったピアノが綺麗なメロディを紡ぎ、中盤では変拍子にのったムーグサウンドが心地よく響きます。そして最後はなぜか唐突にブツッと終わってしまいます。　「Baroque in the Future」よりもはるかに音質が向上していて、演奏も素晴らしい。シンフォニックな印象はやや薄らいで、テクニカルなジャズロック寄りの感もありますが、とても心地よいサウンドです。
このあと＜桜庭統さん＞は、スターオーシャンや、テイルズオブ～のソリーズ、そしてバテンカイトス等、様々なゲームやアニメ等の作曲やアレンジ等で活躍されていきます。