スピノザの『エチカ』と趣味のブログ

スピノザの『エチカ』について僕が考えていることと,趣味である将棋・競馬・競輪などについて綴るブログです。

王座戦&変状の解釈

2007-10-03 22:24:30 | 将棋
 王座戦五番勝負第三局。久保利明八段の先手で▲7六歩△3四歩▲6六歩に羽生善治王座は△8四歩。今シリーズ初の振飛車・居飛車の対抗形に。後手が居飛車穴熊を目指し先手が藤井システムかと思われましたが,先手の組み方をみて,後手は20手目に△7四歩から△6四銀と繰り出し,急戦になりました。先手は左の銀の動きでかなり手損をしましたので,少なくとも部分的にはうまくいった形と思います。
 29手目の▲6五歩以下の折衝で角交換に。後手は銀を4六まで繰り出し,41手目の▲7四歩を△同飛と取り,当然の▲8三角に△7七飛成と切りました。普通に考えれば,これは自信があるゆえの指し方と思われます。
 この後,46手目に△5五角と打ち,桂馬を取って夕食休憩後の52手目に△2四桂と据えました。ここから観戦を始めましたが,以下▲5二と△3六桂でいきなり先手玉に詰めろがかかっているのでびっくり。ここは入手したばかりの金を1八に打って受けました。感じとしては面白い手ではありませんが,後手も攻め続けるとなれば難しい。羽生王座は長考して△5七銀成を選択。▲同金は簡単な詰みなので▲3七歩。さらに△5七金と食いつきまた取れないので▲3六歩に△5八金が詰めろ飛車取り。いかにも快調のようですが▲4九歩ですぐの後続がありません。△6九金はそっぽに行くので△6八歩と打ちました。
 ここから▲4一と△6九歩成と取り合って,先手が▲3七銀打と受けに回れば後手も△2二銀。互いの角が受けによく効いていて,まだどちらが勝つのか分かりませんでした。
 ここで▲1六歩と突いて玉の懐を広げたのは好手だったと思います。後手は桂馬がほしい形ですが入手する術がなく,73手目の▲2八玉まで進んだ局面では先手が指せるように思えました。。
 しかしここで△2五金は攻防兼備の手。先手は▲5六角成から▲5五馬として決めに出ましたが,▲5六角成に対する△1四歩が好手ですっぽ抜けていて,ここでは逆転しているようです。79手目の▲2二金に△同玉は詰みですが,本譜の△1三玉で詰みません。▲1七桂は詰めろ逃れの詰めろですが△3九角から抜かれてやはり後手玉は詰みません(本当はここではまだ先手に勝ちがあったそうです。89手目の▲4八同銀が敗着で,▲4七銀と上がっておくべきだったとのこと。ただこれは秒読みで指せる手とは思えませんが)。91手目,▲5七角は必死の頑張りですがここで△4六桂が絶好の決め手。さらに先手も手順を尽くし,107手目の▲4六飛でまた王手金取りがかかりましたが今度は△4五桂がありました。もう駒を渡し過ぎていることもあり,110手目の△3七銀を見て先手が投了。それにしてもこの将棋の後手の終盤は,まったく作ったような局面でした。
 3局とも大接戦で,羽生王座にとって苦しい局面も多かったと思うのですが,終ってみれば3連勝で羽生王座の防衛。王座戦はこれで実に16連覇。この棋戦での羽生二冠の強さは想像を絶するところがあります。

 明日は大井で東京記念があります。一叩きしたレッドドラゴン◎に期待。距離は未知ですがメーンエベンター○を相手にホクトアサティス▲とアンコーラ△。

 最後の問題のもうひとつの解決法として僕がイメージしているのは,様態というのは属性の変状であって,よって無限様態も有限様態すなわち個物も属性の変状であることに変わりはないのですが,この各々の場合を分けて考えてみるという方法です。
 実際,たとえば第一部定理二三において,スピノザは無限様態については,直接無限様態であれ間接無限様態であれ,それを神のある属性の絶対的本性に関連付けていますが,個物の場合にはたとえば第一部定理二五系で,これをある一定の仕方というようにいっています。したがって,無限様態というのは,神のある属性の絶対的本性が変状した様態と考えられるのに対し,有限様態すなわち個物は,神のある属性が一定の仕方で変状した様態と考えられるわけです。この方法は,この相違に着目するというものです。
 『エチカ』では,様態は属性を属性を表現するといういわれ方をするのですが,これでみれば,無限様態が属性の絶対的本性を表現するのに対し,個物は属性をある一定の様式のみにおいて表現します。よってもしも様態の側から属性を考えることができると仮定するなら,無限様態とは,その絶対的本性が変状した限りでの属性ということになります。したがってそれが属性の絶対的本性を表し得る限りで,無限様態は実はその属性と何ら変わりがないものといえなくもないと思うのです。そしてもしもこう考えることが可能であれば,やはり無限様態に関しては,属性から限定を被ることがないということが可能であるように思えます。なぜなら,それが表現しているものが属性の絶対的本性であるならば,属性は確かに自己の類において無限であると考えられるのと同じ理由によって,無限様態も自己の類において無限であると考えられるのではないかと思うからです。

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