スピノザの『エチカ』と趣味のブログ

スピノザの『エチカ』について僕が考えていることと,趣味である将棋・競馬・競輪などについて綴るブログです。

農林水産大臣賞典平和賞&処分

2015-11-12 19:20:55 | 地方競馬
 北海道から2頭が遠征してきた昨晩の第61回平和賞
 前走とは違ってまともな発馬になったアンサンブルライフがすぐにハナへ。最初はジョーフリッカー,キャッシュフロー,モリデンルンバの3頭が併走で追い,その後ろにグランユニヴェールとガーニーフラップ。コーナーを回り向正面に入るとアンサンブルライフのリードが2馬身ほど。単独の2番手にジョーフリッカーで半馬身ほどの外にキャッシュフロー。この後ろをグランユニヴェールとモリデンルンバが併走という隊列に。最初の800mは49秒9でハイペースですが,ラップの推移は変則的でした。
 3コーナー手前からモリデンルンバが動いていき単独の2番手に。外を捲ってきたのがサブノクロヒョウで,一杯になったジョーフリッカーを交わして一時的に3番手。ただ,これを捌いてグランユニヴェールもサブノクロヒョウの内から食らいついていきました。直線ではアンサンブルライフのラップは落ちているのですが,追ったモリデンルンバにそれを差すまでの余力はなく,逃げ切ったアンサンブルライフの優勝。モリデンルンバが4分の3馬身差で2着。8馬身差の3着争いは直線で叩き合った2頭。僅かに内のグランユニヴェールが確保しサブノクロヒョウはアタマ差の4着。
 優勝したアンサンブルライフはこれまでの4戦は1着と2着を繰り返し3勝目で南関東重賞制覇。前走はスムーズさを欠いての2着で,現状はこの形の方が力が出るのでしょう。少し難しいところを抱えているようにも感じますが,控える競馬も可能でしょう。成長力はありそうで,距離延長も苦にはしないと思うので,来年のクラシック戦線でも活躍が可能ではないかとみています。祖母に1995年と1996年の札幌スプリントステークスを連覇したノーブルグラス
 騎乗した船橋の左海誠二騎手は京浜盃以来の南関東重賞制覇。第47回,53回,58回と制していて3年ぶりの平和賞4勝目。管理している浦和の小久保智調教師は平和賞初勝利。

 アドリアン・クールバッハAdriaan Koerbaghは禁錮10年,さらにその後10年の国外追放の処分を下され,合わせて罰金も科せられています。ただ,委員会のひとりは,右手の親指を切断し,舌をくり抜いた上での禁固30年と全財産の没収および著書すべての焼却処分を推奨したとのことで,実際に下された処分は重刑には違いないけれど,ましなものであったと『ある哲学者の人生』では書かれています。ナドラーはこの部分は資料に基づいて断定的に記述していますから,確かにそうであったのでしょう。刑がましなものになったことについて,ナドラーはフッデJohann Huddeらのとりなしがあったとしています。この部分は根拠が不明ですが,断定されているのでおそらく事実なのでしょう。フッデは議会派でしたから,推奨された残虐な刑罰に同意するとは思えず,説得力はあると思います。処分が決定したのは1668年7月29日。監獄の環境が劣悪だったせいもあり、翌年の10月15日にアドリアンは獄死しました。
                         
 この一件について次のような疑問があります。ヤンJohannes Koerbaghが罰せられずアドリアンが罰せられたのは,出版された『百花繚乱の時代』と印刷が企てられた『暗闇を照らす光』が,共にアドリアンによって書かれたもので,ヤンが手伝ったとしても,主張の重大な部分には関与してなかったからでした。したがって,主張に問題がある著書が出版されたら,著者は処分を受けなければならなかったと考えておかなければなりません。ところがこの2年後,1970年に『神学・政治論Tractatus Theologico-Politicus』が出版されたとき,その著者であるスピノザは罰せられることがありませんでした。『神学・政治論』で展開されている汎神論は,明らかに無神論とみなされたのですから,アドリアンの著書が問題であったとすれば,『神学・政治論』に何の問題もないと理解されたというのは,どうにも考えにくいように思われるのです。
 もっとも,『神学・政治論』は,匿名で出版されたのですから,アドリアンの場合とは違うといえないことはありません。ですが執筆者がスピノザであることは公然の秘密でしたし,いくつかの書簡では,スピノザ自身が著者であることを明言しているのです。
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