スピノザの『エチカ』と趣味のブログ

スピノザの『エチカ』について僕が考えていることと,趣味である将棋・競馬・競輪などについて綴るブログです。

スプリンターズステークス&名目的な認識

2011-10-02 18:43:23 | 中央競馬
 香港から2頭,シンガポールから1頭が遠征してきた第45回スプリンターズステークス。発走直前にビービーガルダンが放馬して競走除外。この影響で発走時刻も遅延。枠入り後の出来事でしたので,影響があった馬もいたかもしれません。
 確たる逃げ馬が不在でしたが,パドトロワとヘッドライナーの2頭が先手を奪いに出て,枠順の差もありパドトロワの逃げに。2頭の後ろにシンガポールのロケットマンがつけ,香港のラッキーナインとエーシンヴァーゴウがこれを追いました。前半の600mは33秒0でハイペースといえるでしょう。
 直線の入口でロケットマンが上がっていこうとしているように見えましたが,その外に後続が被せるような形に。外を通ってきたのが先行勢の直後にいたカレンチャンで,坂で先頭に躍り出るとそのまま抜け出して快勝。逃げたパドトロワが2着に粘り,追い詰めたエーシンヴァーゴウが僅かの差で3着。
 優勝したカレンチャンは2月に準オープンを勝った後,阪神牝馬ステークス,函館スプリントステークス,キーンランドカップと重賞3連勝中の上昇馬。大レースはここが初挑戦でしたが,わりと差をつけて勝つことができましたので,今後はこの馬が日本のスプリント路線の中心を担っていくということになりそうです。父はクロフネ,兄に昨年の京阪杯を勝ったスプリングソング
 騎乗した池添謙一騎手はダービー以来の大レース制覇で,2003年のデュランダル以来のスプリンターズステークス2勝目。管理している安田隆行調教師はジャパンダートダービー以来の大レース制覇でスプリンターズステークスは初勝利。

 『知性改善論』の該当部分に戻ります。
                         
 ある事物をその特質によって認識することは,ここで示している円の場合のように図形のことや,理性の有に関してはさほどの問題を引き起こさないであろうといった後で続けてスピノザは,しかし自然的実在的有について認識する場合にはそうではないと主張しているのです。このことからも,スピノザが理性の有ないしは表象の有というのを,有ではないもの,少なくとも実在的有ではないものと理解しているということは明らかだといえるでしょう。
 一方,図形の観念についてこれを理性の有と並列的に考えているのはなぜなのかということについて僕の結論だけ述べておけば,図形というのが実在的なものとして認識されるのではなく,むしろ名目的に認識されるものであるとスピノザが考えているからなのではないかと思います。たとえば球の観念が発生するのは,半円がその直径を軸として一回転することによってですが,すでに何度も示しているように,それが直径を中心に一回転するということは半円の本性のうちに含まれているわけではありません。それどころか,自然のうちに現実的に実在する球がそのようにして発生するというわけでもないのです。したがって,このようにしてある精神のうちに発生する球の観念は,現実的に存在する個物としての,すなわち物体としての球の十全な観念でないばかりか,そもそもこの認識のうちには,自然のうちに現実的に物体としての球が実在するということを確証するものは何もないのだといっていいでしょう。
 しかし球というものを名目的に考える限り,これは球の十全な認識であり,またそれ以外に球の十全な認識が,少なくとも有限知性である人間の精神のうちに発生することはありません。そしておそらくこうしたことが,定義され得るようなすべての図形について妥当するとスピノザは考えているのではないかと思います。
 実はあるものを名目的に認識するということは,純粋な思惟作用によってあるものを認識するということに等しいのかもしれないと僕は考えています。したがってそれが純粋な思惟作用だから精神の能動であるという考え方は,事物を名目的に認識する場合には精神の能動であると主張することに等しいのかもしれません。
コメント
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