スピノザの『エチカ』と趣味のブログ

スピノザの『エチカ』について僕が考えていることと,趣味である将棋・競馬・競輪などについて綴るブログです。

王位戦&マシュレの結論

2011-06-13 19:22:21 | 将棋
 若き振穴王位への挑戦者を決める第52期王位戦挑戦者決定戦。対戦成績は羽生善治名人が32勝,藤井猛九段が14勝。
 振駒で羽生名人の先手。藤井九段の角交換四間飛車から向飛車穴熊に対して先手は銀冠。先に先手から角を打って4筋を狙いにいくことに。後手から銀交換し,先手がその銀を打つ変化から,先手が金と桂馬,後手が飛車を入手するという戦い模様に。今日は下図からの観戦。
                         
 どちらがよいかは分かりませんでしたが,先手の角が働いてくるのかどうかが焦点となるように思えました。▲7ニ成桂もあるかと思いますが▲6三成銀も自然な手。△8五歩も最も自然に思え,▲7ニ成銀と成銀の方を入りました。△8六歩▲同銀は予想通り。△7四桂(第2図)は攻め合うならこれしかないでしょう。
                         
 先手からいろいろな手段がありそうなところで,▲6九金打と受ける手は考えていませんでした。△2九飛成は仕方ないところ。そこで▲8四歩は予想通りですが,第2図ですぐに打ってしまうよりも先手玉は安全になっています。また,当たりになったところで角も働き,これは先手の方がよさそうだと思いました。どちらかに桂を跳ねると思っていたら△8六桂と銀の方を取りました。▲8三歩成△同馬は必然に思います。ここで▲8七金(第3図)と逃げたのも,おそらくこう指すと思っていました。
                         
 後手は指し手に窮した感を受け,△4七馬とでもやるかと思っていたら△5七銀不成が指されて驚きました。▲同角はさすがにこの一手。△5六歩か△5六銀かと思っていましたが△6五桂でした。先手は▲8四歩と攻め合いに。今さら馬を逃げてもいられないでしょうが△7七銀と打ち込んでいったのも驚きました。▲同金寄△同桂成▲同玉でどうするのかと考えていたら▲同金寄で投了。実際には第1図のところですでに先手がよかったのでしょう。
 羽生名人が挑戦権を獲得。第一局は来月の12日と13日です。
                         

 僕が立てた仮説から得られるような結論,すなわち,どんな有限知性も自身が認識することが可能であるようなすべての神の属性に関してはそれを混乱して認識するということはないということ,したがって,第一部定義四に書かれているように,もしも属性というものが知性によって実体の,実在的にいうならば神の,本性を構成していると認識されるようなものであるならば,実際にそうした属性は神の本性を構成していると実在論的に解釈して構わないという結論は,マシュレが『ヘーゲルかスピノザか』の属性の問題という箇所で,やはりスピノザの哲学における属性という概念について分析した上で帰結させているものと一致しているといえます。これはこの著書の第3章に該当しますが,第2部の最後のところで,第一部定義四というのは,属性は実体の本性を構成するものであり,知性はそれを十全に認識するという意味のことをマシュレは述べています。
                         
 ただし,結論に関しては完全に一致しているとみなしてよいだろうと僕は思いますが,この結論に至るまでのマシュレの訴訟過程に関しては,僕はいくらかの疑問を抱いています。もっとも,マシュレがこの著書において全体的に主眼としていることは,もちろん第一部定義四に関してそれを詳細に分析してみせるといったことなどではなくて,むしろヘーゲルの哲学とスピノザの哲学との間にあるような乖離の検討です。スピノザの哲学における属性というものをどのようなものとみなすべきなのかという観点から第一部定義四が取り上げられているだけですから,マシュレ自身がこの部分に関するような自らの考え方というものを,そこで十分に表明しているとはいえないのかもしれず,僕の疑問というのは,そうした理由によって発生しているといえなくもありません。
 実際のところ,僕はこの部分におけるマシュレの考え方というものについて,それに反対するというよりも,それを明確な形で把握することができないという印象の方が強いのです。ただ,もしも僕の理解とマシュレの理解との間に,僕がそこで理解することができるような差異というものがあるのであれば,それは第一部定義四に関連するような差異であるというよりは,スピノザの哲学における別の部分に関する理解にその原因を求めることができるのではないかと考えています。
コメント
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