スケルトンハウス‐きまぐれCafe

生活とビジネス

そのときの思いや状況で、いろいろなことを話し合ってきた喫茶店。きまぐれに、思いつくままに・・・

日本経済の為にはドッチが望ましい?

2014-07-04 07:45:17 | 社会・経済

 奇しくも、2014年6月6日(金)と7日(土)の二日に亘り、今後の会社の在り方、生産拠点の在り方について、全く逆の方針を出した会社が二社、朝日新聞の経済欄に取り上げられていました。
 一社はマツダ、もう一社はシスメックスです。

 マツダ株式会社は、皆さんよく御存じの、広島県安芸郡に本社をおく、乗用車・トラックなどの製造、販売を行う会社です。

「現在の“円安”が会社の業績を好調にしているが、将来“円高”になったときに備え、国内工場の能力増強は積極的に考えず、海外の生産を増やす」と言っている。
 マツダは生産の8割が国内産で、その8割を輸出する旧来型のビジネスモデルを維持している会社です。
 しかしここにきて、他社と自社を比べる傾向が強くなり、他社の海外生産割合に対して、自社の海外生産が少な過ぎると考えているようです。
 会社が生き残るためには、コスト低減に繋がる海外生産を増やすべきだとの考えのようです。
 ここで言うコスト低減とは、低賃金に支えられた低単価の部品輸入や製品販売であろうかと思います。

matsuda000

 一概にそうだとは言いきれませんが、敢て言うなら、低コストの輸入部品を全面的に使用し、車体価格の低減により販売拡大を図ってきたトヨタでは、低い技術・責任感の下で製造された部品の劣悪さから、多くのリコールを余儀なくされています。2009年以降、毎年のようにリコールが発生し、これによる費用面の負担は年1000億円を超える事態となっています。果たしてコストの低減は図れたのでしょうか。


 シスメックス株式会社は、神戸市中央区に本社をおく、臨床検査機器、検査用試薬ならびに関連ソフトウェアなどの開発・製造・販売・輸出入を行う会社です。

 加古川市の新工場『アイスクエア』が公開されたとのニュースですが、同社では、「製造業では工場の海外移転が続いているが、逆に国産にこだわって品質の高さをアピールし、需要拡大を狙う」との考え方です。

sysmex000

 わが国の労働者の技術習得力は、他のどの国よりも優れていると言われています。高い技術を末永く継承していくには、国内の生産拠点の維持拡大が必要不可欠と思います。そこで働く人々の賃金をどうするかは、また別の観点から決めることになると思います。


 現在のわが国経済を危機的状況にしている要因は何か。それは以前から力説しているように、歳入、即ち税収が減少しているからに他ならないと思います。
 それでは、なぜ税収が減少しているのでしょうか。
 一つには労働人口の減少→少子化を挙げることができます。
 また、一つには未就労者、低賃金・臨時雇用社員(非正規社員)の増加、そして未就業高齢者の増加ではないでしょうか。
 これらは、社会全体の所得減少を招いています。

 この二点を一言でいえば、就業場所・機会及び賃金が減少した結果と言わざるを得ません。

 少子化の原因の一つもここにあると思いますが、少子化については他で語るとして、経済面の大きな原因は、

①生産拠点の海外移転→産業の空洞化であり、

また、国際化の象徴的な一つとして、

②外国人労働者の受け入れ

を挙げることができます。

 会社を存続させることは優先事項ではありますが、その手段がやおら“海外生産”であるとは思えません。
 次に重要なのは、会社存続・発展策をとりつつ社会の維持に貢献することだと思います。
 社会貢献と言えば、最近流行っているメセナ活動と短絡しがちですが、そのようなものでなく、社会的にもっとベーシックな社会構成・システムを維持することへの貢献ではないかと思います。

 かつて会社の経営者はこう言いました。

「会社の役目は、先ず利益をあげること。そして、たっぷり税金を納めることだ。」

と。

 安倍自民党政権は、現在38.01%の法定実効税率(H24.3以降事業年度から復興特別法人税10%を加算)を平成27年3月以降事業年度から三年間で20%台に減税しようとしています。(復興特別法人税は平成27年で終了し、法定実効税率は現状ベースで35.64%になる。)


 全ての法人をこの対象とするのではなく、
①空洞化した生産拠点の国内回帰を実施した企業と海外生産拠点をもたない企業、
②正社員雇用比率が○○%以上の企業、
③65歳以上の高齢者を全正社員の○○%以上、70歳・80歳まで雇用している、あるいは雇用しようとしている企業、
など、社会所得の増加や社会保険給付金の減少に寄与している企業に限って減税対象とするくらいの思い切りが必要ではないかと思います。

 “国を憂う気持ち”が普通にあるならば、社会所得の増加および歳入歳出バランスに寄与することが、経済界、産業界の責務ではないでしょうか。

 政治・経済とよく言われます。政治と経済は数学で云うところの“必要十分条件”の関係にあると思います。どちらかを良くするためにもう一方を犠牲にするということは成り立ちません。一方が良くなれば片方も良くなり、一方が悪くなれば、もう一方も悪くなる関係にあります。
 社会に果たす企業の役割が如何に重要かを物語っている表れだと思います。



【関係サイト】

  ○ マツダ株式会社(会社概況)

  ○ シスメックス株式会社(企業概要)


【関連記事】

  ○ 不況からの脱出

  ○ 人(社員)を大切に!

  ○ プチプラの台頭・わが国経済は大丈夫?

  ○ 国家の基本理念

  ○ 土地政策を考える

  ○ 産業の空洞化は国家経済を崩壊させる

  ○ 景気回復の決め手は?

 







 

この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« 弘法大師の清水/神戸市西区... | トップ | 人口問題・少子化問題 »
最新の画像もっと見る

社会・経済」カテゴリの最新記事