香櫨園

2007年08月10日 | 神戸、兵庫
「50メートルの海岸線」の続き。

村上春樹は戸籍上は京都の生まれだけど、すぐに兵庫県西宮市の夙川に移り、まもなくとなりの芦屋市に引っ越し、十代の大半をそこで送った。

病院の東側に橋があって、橋の山の手側に夙川オアシスロードがあった。海の手側は御前浜公園(香櫨園浜)に続いていて、僕たちはまず御前浜公園のほうに歩いて行った。ここは村上春樹が子どもだった頃は海水浴場だったらしい。



村上春樹が東京に出てから、しばらく後、高度経済成長時代、列島改造ブームの最中に埋め立てられて、今ではこじんまりとした入り江のようになっている。すぐ西側に見える芦屋の浜には高層住宅が建っている。



それを村上春樹は「高層アパートがモノリスの群れのようにのっぺりと建ち並んでいる」と『辺境・近境』に書いている。『羊をめぐる冒険(上)』では登場人物のジェイに「歌は終わった。しかしメロディーはまだ鳴り響いている」とせつない思いを代弁させいる。

しばらく海を眺めた後で、僕たちは夙川オアシスロードを散策した。山側から海側に風が吹きぬけ、清涼感を味わいながら阪神香櫨園駅のほうに歩いていった。村上春樹・文、安西水丸・絵の『ランゲルハンス島の午後』に収録された「ランゲルハンス島の午後」の舞台となった古い橋は見つけられなかった。橋は下の写真にあるような小さなものだったらしい。オアシスロードが整備された時に取り壊されたのかもしれない。



ところで僕はランゲルハンス島が実在しない島だということは、実は何年か前に知った。ランゲルハンス島とはすい臓の中の細胞の塊のことをいうらしい。

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