Sunday Song Book #1481

2021年02月28日 | Sunday Song Book

2021年02月28日プレイリスト「リクエスト特集」
1. パレード (LIVE) / 山下達郎 "2017/08/31 長野ホクト文化ホール"
2. LOUIE LOIUE / THE BEACH BOYS "SHUT DOWN VOL.2" '64
3. SHA-LA-LA (MAKE ME HAPPY) / AL GREEN '74
4. DON'T YOU KNOW (SHE SAID HELLO) / BUTTERSCOTCH '70
5. OUTCAST / THE ANIMALS '66
6. THAT'S WHERE I'M COMING FROM / THE TRUE REFLECTION '70
7. WITCHI TAI TO / EVERYTHING IS EVERYTHING '69
8. AIN'T NO LOVE IN THE HEART OF THE CITY / BOBBY BLAND "DREAMER" '74
9. 真夜中のナイチンゲール / 竹内まりや '01
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■内容の一部を抜粋
・近況
2月は日にちが少ないので締め切りを抱えていると真っ青なんだとか。

・リクエスト特集
2月に届いたリクエスト・カードに応えて、今週は「リクエスト特集」。

・パレード (LIVE)
「パレード」にリクエストが多いそうだ。もともとはシュガーベイブのレパトリーで、『NIAGARA TRIANGLE』でレコーディング。今日は2017年8月31日に長野ホクト文化ホールで行われた公演からのP.A.OUT。

・LOUIE LOIUE
ビーチボーイズの1964年のアルバム『SHUT DOWN VOL.2』から「LOUIE LOIUE」。キングズメンのヒット曲のカヴァー。

・SHA-LA-LA (MAKE ME HAPPY)
アル・グリーンの「SHA-LA-LA (MAKE ME HAPPY)」は1974年、全米7位、ソウル・チャート2位のミリオンセラーで代表作。
曲をかけ終えて。「28歳ですからね、これ、でも。この老成感と言いましょうか。アル・グリーンはすごい。すごさっていうかですね、こっちも年を食うほどアル・グリーンのすごさというものが、ズバッときておりますね(笑)、最近よく聴いております、アル・グリーン」と達郎さん。

・DON'T YOU KNOW (SHE SAID HELLO)
続いてブリティッシュ・ポップ。バタースコッチはアーノルド、マーティン、モローという3人組のソングライター・チームによる幽霊グループ。1970年、全英17位の「DON'T YOU KNOW (SHE SAID HELLO)」。オリジナル・シングル・モノラル・ヴァージョン。邦題は「そよ風の二人」。

・OUTCAST
アニマルズのオリジナルのギタリスト、ヒルトン・ヴァレンタインが亡くなった。リスナーからは「達郎さんの好きなアニマルズを」というリクエスト。達郎さんは、アニマルズはデッカ時代のアルバム『ANIMALISMS』がすごく好きなのだとか。1966年のシングル「INSIDE LOOKING OUT」、邦題「孤独の叫び」は素晴らしい一曲だが、今のご時世だとちょっと暗いので、B面の「OUTCAST」。オリジナルはシカゴで活動したエディ&アーニーという黒人デュオ。達郎さんはこのオリジナルを探すのに四半世紀を費やしたという。

・THAT'S WHERE I'M COMING FROM
トゥルー・リフレクションはワシントンD.C.出身の4人組のヴォーカル・グループ。メンバーのグレン・レオナルドはのちにテンプテーションズのメンバーになる。1970年のアルバムのタイトル・ソング「THAT'S WHERE I'M COMING FROM」。
曲をかけ終えて。ファルセットを歌ってるのがグレン・レオナルドで、1975年から1983年の間、テンプテーションズのメンバーとなった。

・WITCHI TAI TO
札幌市のリスナーから、ラジオ番組の制作の仕事をしていた父が、番組で不要になったレコードを持って帰ってきて、その中にレコード会社のダイジェスト盤があり、邦題「レッツ・ゴー・念仏」という曲がありました。こんなタイトルで売れたのでしょうか。是非、変な曲名の特集のときにかけてください、というリクエスト。
エブリシング・イズ・エブリシングの曲で、ジム・ペッパーというサックス奏者が作った「WITCHI TAI TO」。アルバムは全く鳴かず飛ばずだったが日本盤のシングルが出たという。アメリカではヒットして1969年、全米69位。同じ年にハーパース・ビザールがカヴァーして、アルバム『4』に収録して、達郎さんの世代の知るところになった。エブリシング・イズ・エブリシングはクリス・ヒルズというギタリストとジム・ペッパーが中心になって組まれたジャズ系のグループ。
曲をかけ終えて。
ジム・ペッパーはソロ・アルバムでも取り上げていて、アントニオ・カルロス・ジョビンの「ONE NOTE SAMBA」をサイケにしたような曲と達郎さん。1972、3年に友だちがハワイに行くことになり、まだ十代だった達郎さんは、ハワイに行けば何でもレコードがあると思っていたので、エブリシング・イズ・エブリシングのアルバムを買ってきてくれと頼んだとか。その友だちはハワイのレコード屋で「エブリシング・イズ・エブリシングのレコードはあるか」と聞いたところ、黒人の店員さんが持ってきたのはダニー・ハザウェイのファースト・アルバム『EVERYTHING IS EVERYTHING』。間違えて買って帰国したそうだが、達郎さんは「何だ違うじゃねぇか。誰だ、これ?」と思って聴いてぶっ飛んだ。おかげでダニー・ハザウェイを日本で誰よりも早く知ることができたとか。その後、ヤマハでエブリシング・イズ・エブリシングのアルバムを注文して、船便で3ヶ月かかって手に入れたという。

・AIN'T NO LOVE IN THE HEART OF THE CITY
ボビー・ブランドの1974年のアルバム『DREAMER』、名盤で、この時期のボビー・ブランドのアルバムはスティーヴ・バリーがプロデュースしていて、いい意味でクロスオーバーなアルバム。1曲目に入ってる「AIN'T NO LOVE IN THE HEART OF THE CITY」。

・真夜中のナイチンゲール
まりやさんの「真夜中のナイチンゲール」は2001年2月28日発売なのでちょうど20周年。狙ってリクエスト・カードが来たとか。

■リクエスト・お便りの宛て先:
ハガキ
〒102-8080 東京FM
「山下達郎サンデー・ソングブック」係
メール
https://www.tfm.co.jp/ssb/

2021年03月07日は「ひなまつりガール・シンガー、ガール・グループ、ウォール・オブ・サウンドしばりで棚からひとつかみ」
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Sunday Song Book #1480

2021年02月21日 | Sunday Song Book

2021年02月21日プレイリスト「ウォール・オブ・サウンドで棚からひとつかみ PART 2」
1. JODY / 山下達郎 "ビッグ・ウェイブ" '84
2. DON'T ANSWER ME / THE ALAN PARSONS PROJECT '84
3. OOH I DO / LINSEY DE PAUL '74
4. FOXY, FOXY / MOTT THE HOOPLE '74
5. GIRL COME RUNNNING / THE FOUR SEASONS '65
6. 芽ばえ / 麻丘めぐみ '72
7. DO YOU REMEMBER ME? / YUKI OKAZAKI '80
8. 二人は片想い / ポニー・テール '76
9. 青空のように ('81 REMIX) / 大瀧詠一 '77
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■内容の一部を抜粋
・近況
達郎さんは曲を書いていて、締め切りを抱えているという。月末までに一曲上げないといけないそうだ。
最近、iPadを買い換えたとか。最新のiPadは画像がよくて、本の解像度が上がり、本を読めるようになった。古い漫画は文庫しか出てなくて、今まで小さくて読みづらかったが、電子書籍の漫画はiPadの大きさがちょうどいいので、防水の袋を買って、浴室に持ち運び、下半身浴しながら漫画を読んでいるという。いろいろな昔の漫画をダウンロードして楽しんでるそうだ。

・ウォール・オブ・サウンドで棚からひとつかみ PART 2
先週に引き続いて、フィル・スペクターが亡くなったので、フィル・スペクターみたいなウォール・オブ・サウンドを作ってみたい人たちの作品を集めて「ウォール・オブ・サウンドで棚からひとつかみ」。そのパート2。今週はリスナーからのリクエストを中心に。今週は聴取率週間だが有名無実となってるので、気にせずやるとのこと。

・JODY
1983年のアルバム『MELODIES』の一曲目に入ってる「悲しみのJODY」はひとり多重録音だが、そうしたウォール・オブ・サウンド、エコーびしょびしょのそういう世界でやってるという。今日はそれの英語版で1984年のアルバム『BIG WAVE』に入ってるアラン・オディ作詞による「JODY」。

・DON'T ANSWER ME
イギリスのほうがフィル・スペクターの影響を受けた人たちが多い。エコーがびしょびしょの音作りというのは、大体それをやりたいという人がいて、それでそういうレコーディングになる。アラン・パーソンズはエンジニア上がりの人。エンジニアからミュージシャンになって大成功した人というのはなかなか珍しい。アラン・パーソンズ・プロジェクトの1984年、全米15位の「DON'T ANSWER ME」。

・OOH I DO
イギリスでは1970年代の前半にフィル・スペクターのリイシューが大々的に行われて、そのせいで1970年代の中頃から一気にフィル・スペクター・クローンが発生した。達郎さんもそのひとり。その中で昔からフィル・スペクター好きだったのがロイ・ウッド(ELO)。当時、ロイ・ウッドと付き合っていたリンジー・ディ・ポールにスペクター・サウンドをやらせた。1974年、全英25位の「OOH I DO」。邦題は「恋のウー・アイ・ドゥ」。
曲をかけ終えて。「リイジー・ディ・ポール。美貌で、しかもキュートな声なので、日本でも大変人気がありますが。然してその美貌と裏腹にですね、曲は自分で書いておりますし、絵の才能もあるという。多彩な人ですけれども。でも恋多き女性でありまして、いろいろな人と付き合っておりますが、この時代はロイ・ウッド。その関係でこのロイ・ウッド趣味いっぱいのシングルが出てしまいました(笑)」と達郎さん。

・FOXY, FOXY
同じく1974年の作品。モット・ザ・フープルはUKのロック・グループ。リード・シンガーはイアン・ハンター。全英33位の「FOXY, FOXY」。この曲のキーマンになったのはエンジニアのビル・プライス。

・GIRL COME RUNNNING
フォー・シーズンズの1965年、全米30位の「GIRL COME RUNNNING」。このあとのシングルが「LET'S HANG ON」でベスト10ヒット。ボブ・ゴーディオ、ボブ・クリュー以下スタッフ、対抗意識ムンムンのトラック。

・芽ばえ
後半は邦楽から。ウォール・オブ・サウンドといっても、エコーがかかっていたらいいのではなく、音の隙間を塞ぐ音の厚さとか、演奏の表現力とか、いろいろなファクターがある。でも、音の厚さとか、隙間を見せない隙のなさが、日本の70年代のフィル・スペクター風の作品にはない。原因は録音技術の遅れだと考えられる。ひとつの例を紹介すると、麻丘めぐみさんのデビュー曲、1972年の「芽ばえ」。筒美京平さんの作曲。イントロのベース、ドラムはフィル・スペクターを意識したものだが、今聴くと音圧が少ない。今日はイントロだけ。
曲をかけ終えて。
これまで聴いてきた洋楽と比べるとドラムが圧倒的に小さい。キーボードもほとんど聴こえない。ストリングスはエコーびしょびしょ。これで歌が前に出る。歌の歌う底の音域を少なくすることによって、歌が前に出る効果を狙っている。当時の歌謡曲のバランスはこれでなくてはいけなかった。エンジニアは達郎さんが尊敬する内沼映二さん。洋楽好きの耳から聴くと、ちょっと物足りないが、今聴くと麻丘めぐみさんの歌がとってもきれいに抜けている歌。オリコン3位、レコード大賞新人賞受賞曲。制作方針が違っていたと言える。

・DO YOU REMEMBER ME?
1980年、YUKIというクレジットで発表された「DO YOU REMEMBER ME?」は加藤和彦さん、安井かずみさんのペアの作品。然してその実態は岡崎友紀さんの作品でオリコン18位のヒット。加藤和彦さんが「BE MY BABY」みたいな曲を書きたいと思って書いた曲。エンジニアは島雄一さん。ワイルドワンズの島英二さんのお兄さん。ちなみに今知ったそうだが、岡崎友紀さんと達郎さんは同い年。

・二人は片想い
ポニー・テール。この当時は二人組。歌っている相馬淳子さんは、のちにRAJIEという名前でソロ・デビューすることになる。荒井由実さんの作詞作曲、編曲は鈴木慶一さん。ムーンライダーズのメンバーなのでドラムはかしぶち哲郎さん。1976年の「二人は片想い」。
曲をかけ終えて。「モノラルであります。これはたぶん鈴木慶一さんの意思ですね」と達郎さん。エンジニアは伊豫部富治(いよべとみじ)さん。達郎さんがCMをやってるときにお世話になった人で、ロック・サウンドの草分け。ダウン・タウン・ブギウギ・バンドほかたくさんやっている。

・青空のように ('81 REMIX)
日本におけるウォール・オブ・サウンドの志向は大瀧詠一さんにとどめを刺す。大瀧さんと達郎さんの二人で、吉田保さんというミキサーを挟み撃ちにして、こうしたエコー大会の千本ノック。吉田さんもリバーヴが嫌いじゃないんで、それのおかげでいわゆるナイアガラ・サウンドと呼ばれる分厚い音が作れた。大瀧さんのリクエストでいちばん多かったのは「青空のように」だったという。1977年のシングルで、アルバム『NIAGARA CALENDER '78』の収録曲。モノラル・ミックスにリクエストがあったけれど、モノラル・ミックスはプロモ盤しか出ておらず、達郎さんも探したが出てこなかったという。次の機会にとのこと。達郎さんの考えるベスト・ミックスは1981年に大瀧さんがリミックスした'81 REMIXだとか。これは全体的にミックスが真ん中に寄っていて、限りなくモノラルに近い。ストリングスは達郎さんが担当している。

■リクエスト・お便りの宛て先:
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〒102-8080 東京FM
「山下達郎サンデー・ソングブック」係
メール
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2021年02月28日は「棚からひとつかみ+リクエスト」
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Sunday Song Book #1479

2021年02月14日 | Sunday Song Book

2021年02月14日プレイリスト「ウォール・オブ・サウンドで棚からひとつかみ」
1. BLUE VALENTINE'S DAY / 大瀧詠一 "ナイアガラ・カレンダー '78" '77
2. WHY DO FOOLS FALL IN LOVE / THE BEACH BOYS "SHUT DOWN VOL.2" '64
3. NEW YORK'S A LONELY TOWN / THE TRADEWINDS '65
4. HANG ON / THE WALL OF SOUND '67
5. (BABY) YOU DON'T HAVE TO TELL ME / THE WALKER BROTHERS '66
6. THAT'S HOW IT GOES / THE BREAKAWAYS '64
7. CONGRATULATIONS / THE ROLLING STONES '64
8. ALL THIS (HE DOES TO ME) / THE ANITA KERR SINGERS '68
9. 色・ホワイトブレンド / 竹内まりや "リクエスト" "エクスプレッションズ" '87
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■内容の一部を抜粋

「山下達郎です。昨夜の地震で被災されたみなさまに、心よりお見舞い申し上げます。本日のサンデー・ソングブックは、それ以前に収録されたものでありますことを、あらかじめお断り申し上げておきます」

・近況
「2月14日。バレンタインズ・デイでございますね。でも、今年はこういうウイルス騒ぎでございますので、イマイチ盛り上がりに欠けると言いましょうか。うちのオフィスの女子はですね、全員、総代で、チョコレイト一個きました。うふふ。ワーナーの女子諸君もですね、いつもは8人くらいで、どっと来るんですが、今日は3人だけ。後が怖いですね、でもね。なんかこうみんなでまとまってるっていうか。くわばら、くわばらという感じで。でも、まぁ、気は心でありまして。毎年ありがたく(笑)、気持ちだけいただいておりますけれども」と達郎さん。

・ウォール・オブ・サウンドで棚からひとつかみ
「フィル・スペクターが先日、亡くなりました。フィル・スペクターは1960年代から70年代にかけて、大変に大きな影響力を持った人なんですが。いろいろと人間的な毀誉褒貶も多くて、いろいろなスキャンダルに溢れた人でもありまして、結局、刑務所でコロナにかかって亡くなってしまったという、アレですけれども。でも音楽は残っております。実際にひじょうに、彼の音楽制作手法というのは、後に大きな影響を残しておりますので。で、いろんなところでフィル・スペクターの特集をやっておりますけれど、もう出尽くしてるので、話が。ですので今日はひとつですね、フィル・スペクターのそうした制作とか音作りに影響されて、僕もやってみようという人がたくさんいますので、そういうフィル・スペクターの音、マネっこした音をですね、今日は(笑)、棚からひとつかみ。題して、ウォール・オブ・サウンドで棚からひとつかみ。ウォール・オブ・サウンドとはなんですかって。そういうのはネットで調べたらいくらでも出てますので。音聴くほうが大事なので。今日はそういうものから選びましてですね。でもまぁ、正直申し上げて始めて後悔しております(笑)。あの、かけてもかけてもキリないんです。ですのでもう、枚挙にいとまがないというアレなので。本当に棚からひとつかみです」と達郎さん。

・BLUE VALENTINE'S DAY
今日はバレンタインズ・デイなので、大瀧詠一さんの1977年の暮れに出た『NIAGARA CALENDAR '78』から「BLUE VALENTINE'S DAY」。「今聴くと本当に歌がうまい」と達郎さん。

・ウォール・オブ・サウンド
グショグショのリバーヴ、十数人で寄ってたかってやる多人数録音、モノラル録音。それによって音圧というかグルーヴを出す。全ては音の壁を作ることによってグルーヴを出す。ポケット・シンフォニーとフィル・スペクターは自分で言っていた。ティーンエイジ・ポップとのワーグナー的展開というような言い方もしていた。人によって受け止め方が違って、初期はそれほどリバーヴはなくて、だんだんエスカレートしていったという歴史もある。達郎さんの感想は音の壁というか、リバーヴによるグルーヴ、今日はそういうものを中心に選曲したそうだ。

・WHY DO FOOLS FALL IN LOVE
フィル・スペクターの音にものすごく影響を受けたのがビーチボーイズのブライアン・ウィルソン。何度もそういうトライアルをしていて、フィル・スペクターに曲を使ってもらいたくて、ボツられたとかいろいろある。1964年のアルバム『SHUT DOWN VOL.2』に入ってる「WHY DO FOOLS FALL IN LOVE」は、1956年のフランキー・ライモン&ザ・ティーンネイジャーズのヒット曲を、ウォール・オブ・サウンドで構築した、大変優れたトラック。日本で『SHUT DOWN VOL.2』が出たとき、「HAWAII」という曲と差し替えられて、「WHY DO FOOLS FALL IN LOVE」はシングルのB面でしか聴けなかったという。CDになったので今ではどこでも聴けるようになった。

・NEW YORK'S A LONELY TOWN
とにかく関係した人がフィル・スペクターの音の作り方に驚愕して、そういうものを目指した。具体的にフィル・スペクターのスタッフのソングライターとかそういう人たちがそういうものを志向している。その中のソングライター・コンビ、アンダース&ポンシア。ドゥー・ワップ・グループからスタートして、トレードウィンズという名義で1965年に出したシングルで全米32位。この曲もフィル・スペクターに使ってほしくて、使ってもらえなかった曲。この曲はデモがレコードになったような音像なので、デモだと言われている。達郎さん自身もカヴァーしている「NEW YORK'S A LONELY TOWN」。

・HANG ON
達郎さんはウォール・オブ・サウンドが好きで昔から聴いてきたという。フィル・スペクター・クローンのいちばん最たるものが1967年のザ・ウォール・オブ・サウンドというグループ。もちろんでっち上げ。バズ・クリフォードとジャン・デイヴィスのコンビによる作品で「HANG ON」。
曲をかけ終えて。この曲は達郎さんも本物のシングルを持ってないそうだ。今はCDになってるので簡単に聴ける。

・ウォール・オブ・サウンドを知るきっかけになった曲
中野区の超常連のリスナーから「達郎さんがウォール・オブ・サウンドを知るきっかけになった曲は誰のなんていう曲でしょうか?」という質問。
中学に入るぐらいにラジオで「BE MY BABY」とかかかっていたけれど、達郎さんにとって最初のウォール・オブ・サウンド体験はウォーカー・ブラザーズ。中学2年とのときに買ったウォーカー・ブラザーズのアルバムがエコーの世界で、「なんだこれは」と思ったそうだ。番組で今日これまでかけた曲はアメリカ録音だが、イギリスのほうが録音技術が上の部分があって、特にウォーカー・ブラザーズの作品は本家のフィル・スペクターの録音を超えてる迫力を持っている。ウォーカー・ブラザーズの作品はほとんどライチャス・ブラザーズのクローンみたいに作っているが、ある意味でライチャス・ブラザーズを超えてる部分がある。それは中学生の時分には感動的な世界があったとか。

・(BABY) YOU DON'T HAVE TO TELL ME
そんな中でも「(BABY) YOU DON'T HAVE TO TELL ME」はエコーの世界の迫力に圧倒されたという。1966年、全英13位だが、アメリカではシングル・ヒットしなかった。達郎さんはこれがウォーカー・ブラザーズのエコーの世界ではこれが最高傑作の一作だと思ってるという。もともとは同じ年にボビー・コールマンが発表した曲。邦題は「心に秘めた想い」。

ここまで一気呵成にやってきたがガール・グループが一曲もない。3月のひなまつりのときにガール・グループ、ガール・シンガー特集を予定していて、「ウォール・オブ・サウンドしばり」で選曲するつもりなんだとか。

・THAT'S HOW IT GOES
そんな訳で今日は一曲だけ。ザ・ブレイカウェイズはリバプール出身の3人組女性グループ。ひじょうに実力のある人たちでセッション・シンガーとしてたくさんのレコーディングに参加している。でも一曲もヒット曲がない。1964年の3枚目のシングル「THAT'S HOW IT GOES」。作曲、アレンジ、プロデュースはトニー・ハッチ。トニー・ハッチのウォール・オブ・サウンド志向の作品の中では最高の一作と思われる。日本盤シングルが出ていて邦題は「恋のなりゆき」。

・未来へ 17アクション
NHKが今年一月からスタートしている、持続可能な開発目標、SDGsキャンペーン「未来へ 17アクション」のテーマソングに、達郎さんの「フェニックス」が使用されることになった。2003年にNHKの地球環境番組『地球だい好き!環境新時代』のテーマソングとして書き下ろした「フェニックス」。アルバム『SONORITE』に収録している。今回は「フェニックス」のアカペラ・ヴァージョンを作ったそうだ。3月から徐々にオンエアされてゆく予定。詳しくは山下達郎オフィシャルサイトにて。
https://www.tatsuro.co.jp

・CONGRATULATIONS
イギリス人のプロデューサーやソングライターはフィル・スペクターへの憧れが強い。1960年代の中期にローリング・ストーンズのプロデュースをしていたアンドリュー・オールダムもウォール・オブ・サウンドやリバーヴの世界が本当に大好き。自分がやってるストーンズにもそういうものを導入しようとしたけれど、ストーンズはバンドなので十分な効果が出ない。でも気は心ということで何曲かある。例えば「TELL ME」なんかもそう。1964年のアルバム『12×5』に収録されている「CONGRATULATIONS」。シングル「TIME IS ON MY SIDE」のカップリング。

・ALL THIS (HE DOES TO ME)
ウォール・オブ・サウンドは1960年代中期から後期にかけて活躍したスタジオ・ミュージシャンのプロジェクト、レッキング・クルーを使っていたので、そのメンバーを集めて来れば、大体同じような音が出る。スタジオの選択もそのようなところにすれば同じような音が出る。ジ・アニタ・カー・シンガーズの1968年のシングル「ALL THIS (HE DOES TO ME)」。

・色・ホワイトブレンド
達郎さんが作ったウォール・オブ・サウンドで、自分でよくできたと思うのは「ヘロン」なんだとか。でも最近、番組でよくかけているので今回は外したという。デジタル時代のウォール・オブ・サウンドは音像が全く変わるが、でもリバーヴとグルーヴで一所懸命がんばったそうだ。
1987年の竹内まりやさんのアルバム『REQUEST』から中山美穂さんに提供した曲のセルフ・カヴァーで「色・ホワイトブレンド」。

■リクエスト・お便りの宛て先:
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〒102-8080 東京FM
「山下達郎サンデー・ソングブック」係
メール
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2021年02月21日は引き続き「ウォール・オブ・サウンドで棚からひとつかみ」
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Sunday Song Book #1478

2021年02月07日 | Sunday Song Book

2021年02月07日プレイリスト「誕生日記念:ベタで明るい山下達郎で棚からひとつかみ」
1. HAPPY HAPPY GREETING (LIVE) / 山下達郎 "2010/10/26 神奈川県民ホール"
2. SPARKLE (LIVE) / 山下達郎 "2016/04/09 沖縄市民会館"
3. DAYDREAM (LIVE) / 山下達郎 "2016/04/09 沖縄市民会館"
4. ミライのテーマ (LIVE) / 山下達郎 "2018/10/26 中野サンプラザ"
5. 湾岸スキーヤー / 山下達郎 '93
6. 蒼氓 (LIVE) / 山下達郎 "2019/10/27 沖縄市民会館"
7. YOUR EYES (おうちカラオケ) / 山下達郎
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■内容の一部を抜粋
・近況
先週の2月4日が達郎さんの68歳の誕生日だった。67のときは「まぁ、そんなものか」と思ったそうだけれど、68はなかなか重いものがあるという。来年69になると、70歳の手前で諦めの境地、達観する境地になるが、68は半端なというか足が地につかない気がするとか。

・誕生日記念:ベタで明るい山下達郎で棚からひとつかみ
ちょうど曲書きの最中でテンパってやってるので、今週は山下達郎の音源で特集をする。こういうご時世なので明るい曲を中心に「誕生日記念:ベタで明るい山下達郎で棚からひとつかみ」。全部ライヴ・ヴァージョン。基本的にP.A.OUT。

・HAPPY HAPPY GREETING (LIVE)
今回いちばんリクエストが多かったのは「HAPPY HAPPY GREETING」。Kinki kidsに提供した曲のセルフ・カヴァーで、ときどきライヴでもやっている。今日は達郎さんのデビュー35周年のときのツアーから、2010年10月26日に行われた神奈川県民ホールでのライヴ音源。

・SPARKLE (LIVE)
CM前の「HAPPY HAPPY GREETING」は「SPARKLE」に繋がっていて、音を絞ってCMに入ったので、CM明けは「SPARKLE」ではじめてみたそうだ。



・DAYDREAM (LIVE)
達郎さんのライヴのいちばん基本的なオープニングの定番は「SPARKLE」から「DAYDREAM」。ずいぶん長いことこの流れでやっていた。それに年ごとに色を付ける感じなのだという。今週は2016年4月9日、沖縄市民会館でのP.A.OUT。「SPARKLE」のショート・サイズから「DAYDREAM」。



・ミライのテーマ (LIVE)
2018年のアニメ『未来のミライ』のテーマ・ソング「ミライのテーマ 」。2018年10月26日、中野サンプラザのP.A.OUT。
曲をかけ終えて。「なんかサンプラザ、なんか建て替えの構想が、なんか新聞出ておりましたが、なんだかよくわかりませんがですね」と達郎さん。



・湾岸スキーヤー
USBに入ってた「湾岸スキーヤー」。1993年のザウスのCM。

・ウォール・オブ・サウンドで棚からひとつかみ
来週はウォール・オブ・サウンド。フィル・スペクターが亡くなったので、フィル・スペクターの特集よりも、フィル・スペクターに影響を受けて真似っこしてる人の特集の方がおもしろそうなので、ウォール・オブ・サウンドの特集。

・蒼氓 (LIVE)
「蒼氓」のリクエストも多かったそうだ。『僕の中の少年』のリマスター盤を出したときにYouTubeで「蒼氓」の映像を出したのでその関係かもしれないとのこと。今日は最新ライヴから。昨年はツアーがなかったので2019年10月27日、沖縄市民会館のP.A.OUT。「沖縄はお客さんと相性がいいですね」と達郎さん。



・音源のバックアップ
リスナーから「達郎さんは音源のバックアップはどのくらい取っていますか?」という質問。
「RAIDでやってます、わたし。バックアップ大事ですよ、ホントに。あの、パソコンは100%信用できませんので」と達郎さん。

・YOUR EYES (おうちカラオケ)
石川県の女性リスナーからのリクエストは「達郎さんが今、いちばん歌いたい曲をスタジオ・ライヴでお願いします」というもの。スタジオでというのはなかなかできないものの、昨年、散々やったおうちカラオケには今もリクエストが来るそうだ。今回「YOUR EYES」に江東区のリスナーと名古屋市の超常連のリスナーからリクエストがあったので、昨日、家でカラオケで録ってきたとか。「YOUR EYES」はひとりで結婚式でなんか歌うときによくやっていたという。ライヴではいつもラストにアカペラ・ヴァージョンを歌うけれど、今日はオケ・ヴァージョンの「YOUR EYES」。

■リクエスト・お便りの宛て先:
ハガキ
〒102-8080 東京FM
「山下達郎サンデー・ソングブック」係
メール
https://www.tfm.co.jp/ssb/

2021年02月14日は「ウォール・オブ・サウンドで棚からひとつかみ」
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