2008年に本ブログに訳文を一部掲載したことのある(2009年に版元の依頼で削除済み)王力雄の『私の西域、君の東トルキスタン』が、全文完訳で集広舎から出版された。ウイグル問題だけでなく中国の少数民族問題、ひいては中国問題を理解する上で必読の一冊だと思う。ぜひとも購入するか、近くの図書館にリクエストして読んでみてほしい。
本書の中で東トルキスタンで2003年ごろから始まったと報告されている漢語化政策が昨年からチベットでも本格的に推進され始めた。また、本書の中で触れられているカシュガル旧市街の破壊は、今では全面破壊目前であり、「西の深圳」の掛け声の下大量の漢人が流入しかつての「麗しき都」の面影を全く失いつつあると言われている。
そのような今につながる動きを2000年代にその根底からとらえたのが本書である。
以下、集広舎のホームページよりコピー。
私の西域、君の東トルキスタン
発行日/2011年01月24日
著/王力雄
訳/馬場裕之
監修+解説/劉燕子
発行/集広舎
A5判/並製/472頁
定価/3,486円(税込)
台湾での出版に続き、世界に先駆けて邦訳刊行
『殺劫-チベットの文化大革命(集広舍刊)』のツエリン・オーセルの夫、2010年ノーベル平和賞・劉暁波の畏友、中国民主化の鍵を握る著者が、「国家機密窃取」の容疑で入獄などの艱難を乗り越え、9年の歳月をかけて新疆ウイグル人の内心と社会に迫った必見の書。
台湾での出版に次ぎ、世界に先がけて日本語版刊行。 (日本の読者へ 日本語版序文より) 私から見れば、2009年のウルムチ事件は端緒にすぎない。現在のところ、新疆の情勢は落ち着きを見せているが、これはただ弾圧によるもので矛盾は解決されず、怨恨はむしろ強まりそのエネルギーは、蓄積しつづけ、将来爆発するときはさらに激烈になるだろう。
〈本書 解説より〉中国で混乱が拡大すれば、隣国の日本も無関係でいられなくなる。王力雄が、新疆ウイグルの民族対立がイスラエルとパレスチナのような出口の見えない民族紛争になると再三再四警鐘を鳴らしていることを傍観すべきではない。王力雄に限らず、新疆ウイグルは中国の火薬庫と呼ばれている。それが「パレスチナ化」にさえなり得ると警告した本書は、日本人にとっても見過ごすことはできない。
【著者】 王力雄(おう・りきゆう) 1953年、吉林省長春市生まれ。中国の著名な作家、民族問題研究者。1978年「民主の壁」に参加。1984年、単独で黄河の源流から筏で1200キロメートルを下る。1994年、中国最初の環境NGO「自然の友」を創設し、中心メンバーとして活動していたが、チベット仏教僧の死刑に疑義を呈したことから、自然の友は当局から圧力をかけられ、2003年に組織存続のため自然の友から除名された。著書に『漂流』(1988年)、『黄禍』(1991年)、『溶解権力』(1998年)、『天葬』(1998年)、『ダライ・ラマとの対話』(2002年)、『逓進民主』(2006年)、『我的西域、く的東土』(2007年)、『聴説西蔵』(2009年、オーセルとの共著)などがある。その言論活動は内外で高く評価され、2002年、北京当代漢語研究所から「当代漢語貢献賞」、独立中文ベンクラブにより「自由創作賞」、2003年、ヒューマンライツウォッチから「ヘルマン・ハミット賞」、2009年、チベットのための国際委員会より「真理の光賞」などを受賞。
【訳者】
馬場裕之(ばば・ひろゆき) 1957年、新潟県生まれ。東京都立大学中退。世田谷区役所勤務を経て1987~89年、上海同済大学に語学留学。1990年から2001年にかけて天津、上海、撫順、北京で計8年間ODAの技術協力プロジェクトで業務調整員として勤務。現在は通訳・翻訳業。
【監修+解説】
劉燕子(りゅう・いぇんず) 作家。現代中国文学者、桜美林大学北東アジア総合研究所客員研究員。中国北京生まれ。湖南省長沙で育つ。1991年、留学生として来日し、大阪市立大学大学院(教育学専攻)、関西大学大学院(文学専攻)を経て、現在関西の複数の大学で非常勤講師。訳書に『黄翔の詩と詩想』(思潮社)、『温故一九四二』(中国書店)、『中国低層訪談録─インタビューどん底の世界』(集広舎)、『殺劫─チベットの文化大革命』(集広舎/共訳)、『ケータイ』(桜美林大学北東アジア総合研究所)、編著訳に『天安門事件から「〇八憲章」へ』(藤原書店)があり、中国語著書に『這条河、流過誰的前生与后世?』など多数。
出典:http://www.shukousha.com/item_373.html
本書の中で東トルキスタンで2003年ごろから始まったと報告されている漢語化政策が昨年からチベットでも本格的に推進され始めた。また、本書の中で触れられているカシュガル旧市街の破壊は、今では全面破壊目前であり、「西の深圳」の掛け声の下大量の漢人が流入しかつての「麗しき都」の面影を全く失いつつあると言われている。
そのような今につながる動きを2000年代にその根底からとらえたのが本書である。
以下、集広舎のホームページよりコピー。
私の西域、君の東トルキスタン
発行日/2011年01月24日
著/王力雄
訳/馬場裕之
監修+解説/劉燕子
発行/集広舎
A5判/並製/472頁
定価/3,486円(税込)
台湾での出版に続き、世界に先駆けて邦訳刊行
『殺劫-チベットの文化大革命(集広舍刊)』のツエリン・オーセルの夫、2010年ノーベル平和賞・劉暁波の畏友、中国民主化の鍵を握る著者が、「国家機密窃取」の容疑で入獄などの艱難を乗り越え、9年の歳月をかけて新疆ウイグル人の内心と社会に迫った必見の書。
台湾での出版に次ぎ、世界に先がけて日本語版刊行。 (日本の読者へ 日本語版序文より) 私から見れば、2009年のウルムチ事件は端緒にすぎない。現在のところ、新疆の情勢は落ち着きを見せているが、これはただ弾圧によるもので矛盾は解決されず、怨恨はむしろ強まりそのエネルギーは、蓄積しつづけ、将来爆発するときはさらに激烈になるだろう。
〈本書 解説より〉中国で混乱が拡大すれば、隣国の日本も無関係でいられなくなる。王力雄が、新疆ウイグルの民族対立がイスラエルとパレスチナのような出口の見えない民族紛争になると再三再四警鐘を鳴らしていることを傍観すべきではない。王力雄に限らず、新疆ウイグルは中国の火薬庫と呼ばれている。それが「パレスチナ化」にさえなり得ると警告した本書は、日本人にとっても見過ごすことはできない。
【著者】 王力雄(おう・りきゆう) 1953年、吉林省長春市生まれ。中国の著名な作家、民族問題研究者。1978年「民主の壁」に参加。1984年、単独で黄河の源流から筏で1200キロメートルを下る。1994年、中国最初の環境NGO「自然の友」を創設し、中心メンバーとして活動していたが、チベット仏教僧の死刑に疑義を呈したことから、自然の友は当局から圧力をかけられ、2003年に組織存続のため自然の友から除名された。著書に『漂流』(1988年)、『黄禍』(1991年)、『溶解権力』(1998年)、『天葬』(1998年)、『ダライ・ラマとの対話』(2002年)、『逓進民主』(2006年)、『我的西域、く的東土』(2007年)、『聴説西蔵』(2009年、オーセルとの共著)などがある。その言論活動は内外で高く評価され、2002年、北京当代漢語研究所から「当代漢語貢献賞」、独立中文ベンクラブにより「自由創作賞」、2003年、ヒューマンライツウォッチから「ヘルマン・ハミット賞」、2009年、チベットのための国際委員会より「真理の光賞」などを受賞。
【訳者】
馬場裕之(ばば・ひろゆき) 1957年、新潟県生まれ。東京都立大学中退。世田谷区役所勤務を経て1987~89年、上海同済大学に語学留学。1990年から2001年にかけて天津、上海、撫順、北京で計8年間ODAの技術協力プロジェクトで業務調整員として勤務。現在は通訳・翻訳業。
【監修+解説】
劉燕子(りゅう・いぇんず) 作家。現代中国文学者、桜美林大学北東アジア総合研究所客員研究員。中国北京生まれ。湖南省長沙で育つ。1991年、留学生として来日し、大阪市立大学大学院(教育学専攻)、関西大学大学院(文学専攻)を経て、現在関西の複数の大学で非常勤講師。訳書に『黄翔の詩と詩想』(思潮社)、『温故一九四二』(中国書店)、『中国低層訪談録─インタビューどん底の世界』(集広舎)、『殺劫─チベットの文化大革命』(集広舎/共訳)、『ケータイ』(桜美林大学北東アジア総合研究所)、編著訳に『天安門事件から「〇八憲章」へ』(藤原書店)があり、中国語著書に『這条河、流過誰的前生与后世?』など多数。
出典:http://www.shukousha.com/item_373.html