今朝のブログでも紹介しましたが21日日本テレビ(地元ではテレビ信州)で『たけしのIQ200~世界の天才が日本を救う~』という番組が放送されました。
その際ハーバード白熱教室で有名なマイケル・サンデル教授が、
ビートたけし、北野大 、西尾由佳理、はるな愛、テリー伊藤、丸岡いずみ、
山本モナ、カンニング竹山、内藤大助、三倉茉奈・佳奈、さくらまや、片山さつき、
石破茂、久保純子、勝谷誠彦等
を前に哲学の講義をされました。
大相撲の八百長事件、北朝鮮の拉致問題を題材にこれが正しいという結論は出されませんが、問題提起に対しどのように考えるかという姿勢を教えられるサンデル教授らしい授業になっていました。
最初に大相撲の八百長事件が講題になりました。この問題については
で、大相撲八百長問題を扱いましたのでその関係から今朝はこの講義について紹介したいと思います。
【サンデル教授】
まずはこの問題から始めましょう。大相撲のスキャンダルについてです。確か日本語ではこう言うんですよね”ヤオチョー ”。この大相撲の八百長問題をどうすれば解決することができるのか一緒に考えてみましょう。
まず皆さんにお聞きしましょう。八百長は許されないと思う人?
絶対にいけないと思う人?
<挙手結果 許せない13 許せる4 (17名中)>
ほとんどの人がそう思うのですね。なるほど、まず八百長は許せないと思った人その理由を教えてください。
【はるな愛】
やっぱり、嘘はいけないと思います。勝負なのでやっぱりそこに嘘があると、一生懸命応援しているのにガックリします。
<たけしのからかいは略>
では愛さんと反対の意見、八百長は悪くないと思う人?
【北野大】
たけしの兄です。
【サンデル教授】
ではお聞きしましょう。なぜ悪くないのですか?
【北野大】
相撲は完全なスポーツではないんですね。一種の伝統的な文化であり芸能であるわけです。そして日本には昔から「武士の情け」という言葉があります。相手が窮地にあるときにはこちらがひいてあげる、自分が十分勝ち越しをしている、相手が7勝7敗の時には多少やはり「武士の情け」を示すべきである。
【サンデル教授】
では今の意見に反対の人は?
【丸岡いずみ】
北野さんは先ほど、相撲はスポーツと少し違うとおっしゃったんですけど、私はスポーツだと思っているんです、前提として。じゃあ同じスポーツである野球やサッカーも八百長をしていたとしたらどうなるのかと考えると、スポーツで一番大事なのは、人々に感動を与えることだと思うんですが、その感動が一切なくなってしまうと思うんですね。
なので、八百長はどんな場合もお金が介する介さないは別にして、私は八百長はいけないことだと思います。
【サンデル教授】
なるほど、お金の為であろうと、思いやりであろうと、八百長は悪い。
【丸岡いずみ】
はい。
【サンデル教授】
理由に関係なく人をだますことは悪い?
そういう考えですね?
【丸岡いずみ】
はい。
【サンデル教授】
では反論のある方?
【テリー伊藤】
八百長というものは、昔からあったもんだと思うんですよ。で、それを今頃になって「え!相撲って八百長があったの?」というふうに、そんなことも気がつかないで生きてきていること自体が、間抜けだと思うんですよね。
人生そのくらい読み取れよ!と思いますがね。
【サンデル教授】
面白い意見ですね。そちらの方はどうですか?
【荻原博子】
相撲は国技です。だから象徴みたいなものです。そこでインチキがあるということは、やはり日本国民として非常に恥ずかしい気がします。
【サンデル教授】
国技だからよくないと?
【荻原博子】
よくないですね。
【サンデル教授】
わかりました。では、たけしさん?
【たけし】
相撲というのは「奉納の儀式」であって、豊作を感謝する神への儀式というのが基本的な精神絵あるから、それをスポーツとしてとるのはおかしい。あれは宗教行事だと思えば、なんでもアリだと思う。
【サンデル教授】
宗教行事だから許される? そういうことですね?
【たけし】
儀式ですから。
【サンデル教授】
なるほど、ではそうは思わない人?
【片山さつき】
もちろん国技に近い相撲で、ぶつかり合いを国民がずっと見てきたということがあるのに、それはシナリオがあって本当に強い方じゃない方が勝っているとなると”フェアという概念 ”が揺らいじゃうから・・・・。
【サンデル教授】
人をだますのはフェアではない! だから許されない、そういうことですね。
【片山さつき】
そうです。
<親子の腕相撲・許される八百長はあるのか?>
【サンデル教授】
それでは皆さんに別の質問をします。
さきほど大相撲の八百長について聞いてみると、多くの方が人を騙すことは絶対によくないとおっしゃっていましたが、では次の場合はどうでしょう。
では面白い実験をしてみましょう。まさやさんはおいくつですか?
【さくらまや】
私は今12歳です。
【サンデル教授】
12歳! 12歳で哲学の授業を受けるなってスゴいじゃないですか。素晴らしいことですよ。
あと腕相撲の強い方に手伝って欲しいんですが? あなた(内藤大助)世界チャンピオンですよね?
では、チャンピオンまやちゃん前に出てください。
今から二人は親子です。二人で腕相撲をしてください。
〔ここで二人で親子関係を想定して腕相撲が行なわれます〕
お父さんは強いですよね。世界チャンピオンですから負けるはずはありませんよね?
力の強いお父さんと力の弱い子供が勝負をしたらどうなるのか?
〔父親役である内藤大助さんが敗けます〕(全員の拍手)
【サンデル教授】
OK。凄いですね、まやちゃん。世界チャンピオンに勝ったんですよ。
では皆さん考えてみてください。今の勝負八百長だと思いますか?
【内藤大助】
思わない。
【サンデル教授】
だってあなたはわざと負けましたよね? 本当は強いのに。子どものためを思って敗けてあげたんですよね。
さっきの大相撲の八百長は良くないと言っていましたよね? なぜでしょう?
どこが違うんですか?
【内藤大助】
僕とまやちゃんが親子だったら、成長して欲しい、自信を持たせたい、そういう意味で伸びて欲しいから負けてあげるってという感じに思ったなあ僕は。
【サンデル教授】
OK。なるほど、たけしさんはどうですか?
【たけし】
今のチャンピオンとまやちゃんの場合はハンデをつけるべきだと思います。腕相撲は親父が小指で・・・。そうしたらフェア。
【サンデル教授】
では、まやちゃん。お父さんにわざと負けてもらって嬉しかったですか?
【まや】
私は5歳くらいの時に知らずに頃にお父さんに勝たせてもらっていたことを初めて知った時にはショックでしたが・・・・。
【サンデル教授】
嬉しかった? 自信がついた?
【まや】
自信…持てましたね。嬉しかったです。
【サンデル教授】
では、まやちゃんに改めて質問しましょう。八百長や人を騙すのは・・・絶対にいけない事ですか?
【まや】
必ずしも悪くはないとは思います。
【サンデル教授】
なるほど、とても面白いですね。
<目的によっては許される嘘もある>
<八百長の起源について>
【サンデル教授】
そもそも「八百長」ということはどういうことでしょう。
皆さん「八百長の由来」を知っていますか?
明治時代にある八百屋さんがいました。これは実話ですよ。
その八百屋さんには、ある特技がありました。それは囲碁です。とても強かったそうです。そしてなじみのお客さんと勝負をしていました。もちろん実力では負けるはずがありません。
でも商売のためにわざと負けてあげていたのです。お得意様ですからね。
その八百屋さんの名前が長兵衛(ちょうべい)だったので、勝負にわざと負けることを「ヤオチョー」そう呼ぶようになったそうです。
では皆さんにお聞きします。八百屋の長兵衛さんがついた嘘は許されないものでしょうか? 間違っていると思う方? 手を挙げてください。
<挙手者なし>
誰もそう思わないいんですね。では許されると思う人は?
<全員挙手>
全員ですね。おもしろい結果です。
<公約破りは許されるのか>
【サンデル教授】
次にこの問題について考えてみましょう。
政治の「公約」についてです。
多くの人がこう言います。「政治家は平気で嘘をつく」と。これはあくまでも一般論ですよ。決して私がそう言っているわけではありません。ただ話題になっているのは間違いないですよね。
政治家が選挙で掲げた公約を破っていいのかと!
<ここで民主党仙谷代表代行のビデオが流れます>
【仙谷代表代行】
この政権も鳩山政権にしましても、少々約束が言い過ぎの部分があったのかもしれませんが、・・・・・。
※2月13日の「公約の言い過ぎを認めた」仙谷氏の発言
高速道路の無料化----------事実上の撤回
子ども手当2万6000円--半額のみ
という現況、公約が守られていない、これは嘘か? 政治家が嘘をついたと非難されるべきことか?
【サンデル教授】
では伺いましょう。公約は絶対に守られるべきと思う方は手を挙げてください?
公約破りNG5名
公約は必ずしも守らなくてもいいと思う人?
おもしろい分かれ形をしましたね。それでは現役の政治家であるお二人(片山さつき・原口一博)に伺いましょう。
お二人とも公約は守るべきと答えましたよね?
どんな状況にあっても公約は破ってはいけないと。その理由は何なんですか?
【原口一博】
公約というものは、単なるウィッシュリスト(願い事)ではなくて、国民(主権者)との間の契約となっています。契約は選挙の時に結んだもの、それを破るということは選挙において約束したこと、”契約を破棄すること ”で絶対にあってはならないことだと考えます。
【サンデル教授】
片山さんはどうですか?
【片山さつき】
選挙の時の公約が、根本的に守られない、中心的な公約が守られない、守らないということをその政権が宣言しなければならない時は、衆議院を解散して国民に信を問うべきですよ。
【サンデル教授】
その公約は、どんな公約でも破ったら解散だということですか?
例えば、高速道路の無料化とか、たとえ一つでも公約が守れなかったら解散すべきだと、そこに例外はなく、原則だと?
【片山さつき】
それが国民に受けて、正拳をとったことは事実だから、それはできないと理由を示して・・・・・・。
【サンデル教授】
今は、大原則の話をしているんですよ。どんな公約でも破った場合にはやはり解散ですか?
それとも基本的に重要な公約だけということですか?
【片山さつき】
私は、基本的に重要なものだけと思います。100の公約があったら必ず全部できるものではない、と思います。
【サンデル教授】
わかりました。それではほかの方に聞いてみます。必ずしも公約を守らなくてもよいと答えた方? その理由を教えてください。
【久保純子】
マニフェストは、公に宣言したものは、ある前提に立って宣言されたものであるので、その前提がなにかによって崩れたならば、たとえ公言したと言っても、悪い結果に導かれるので、守られないという状況もあると思います。
【サンデル教授】
わかりました。あなたのお名前は?(西尾由佳理)
【西尾由佳理】
ゆかり、です。
その公約を破るときには、約束をした相手である国民が納得できることを、説得できるならば公約を破っても、状況が変わった中では良いのではないかと思います。
【サンデル教授】
ツン吏有権者の合意があれば公約を破っても良いと言うんですね?
【西尾由佳理】
思います。
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番組はこのように続きます。公約破りについては、政治家のお二人は「必ず守るべき」と答え、有権者であるその他の人は「守らなくてもよい場合がある」という意見が多いようです。
番組はこの後
「家族を守る嘘は許されるか?」
カントの哲学も取り入れた説明がなされていきます。が時間の都合上今朝はここまでとします。
この番組が放送され、多くの批評がなされています。良いという人もいれば、サンデル教授の茶番劇とみる人もいます。
私は個人的にサンデル教授が好きですので、番組自体はとてもよく作成され、娯楽番組の中で放送されたことを高く評価したいと思います。
※サラリーマン時間の都合により今朝はここまでとします。
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