解散MAT 脱出TAC お遊びZAT 全滅MAC 昭和のドラマにコンプライアンスの文字は無し

2023年06月19日 | オタク・サブカル

 前回に続いて、「長塚京子世代」が中心のオタク談義。
 
 特撮にくわしくない友人ワカバヤシ君が、昭和の狂ったエピソードを聞いて、そのあまりのハイセンスな内容に、

 
 「ボクをだまして、からかってるんだろ?」
 
 
 すっかり疑心暗鬼に。

 そりゃまあ、

 

 「ヒーロー番組の主題歌の歌詞に《魔人ドルゲをルーロルロロ》というのがある」

 

 なんて言われても「え? それネタやろ?」としか思いませんわな。

 

 
 
 
 では、まずは登場人物。
 
 
 1.ベットウ
 
 後輩。戦隊ヒーロー、アニメ、マンガ、プロレスが得意ジャンル。

 好きな理不尽特訓は「片眉を剃って山籠もり
  


   
 2.ワカバヤシ

 元関東人。オタクではなく、映画、文学、哲学などにくわしいインテリ。

 好きな理不尽特訓は「ピアノのためにの間を切る手術」。


  
  
 3.カネダ先輩

 SF、ミステリ、映画、ゲームなどが専門。

 好きな理不尽特訓は「股間のシンボルをビール壜でたたいて鍛える」

 
 4.

 特撮、SF、ミステリ、映画あたりが専門。

 好きな理不尽特訓は「日本刀で素振り」
 
 

前回の「全滅MAC」編の続きです。

 

ベットウ「あとまあ、MACというよりダン隊長とゲンの特訓シーンは忘れられませんね」

「あー、これはレオを語る上ではずせない」

ワカバヤシ「特訓って、ウルトラマンがなにかを練習するの?」

「当たり前やん、ヒーローと言えば特訓

ベットウ「必殺技をマスターするために滝行とか、山籠もりとか、基本でしょ」

ワカバヤシ「基本なんだ」

ベットウ「『帰ってきたウルトラマン』の流星キックも、そうやって生まれたんですから」

「なんか、山奥に行って、丸太を運んだり」

カネダをジャンプで飛びこそうとしたり」

ベットウ「なぜか、MATの制服着てやってるんですよね」

「ジャージかなんかに、着替えたほうがええよな」

 

 

 

怪獣を倒すため特訓にはげむ郷秀樹隊員。意味があるのかどうかは不明。

 

 

カネダキングザウルス3世のバリアが、上部に利いてないからジャンプで飛び越える練習するねんけど」

ワカバヤシ「でもさあ、人間のときに練習した技とか、変身した後に使えるとか、関係あるの?」

「特訓は理屈やないから」

ベットウ「特訓はすべてを解決する。人類が特訓さえすれば、地球温暖化は緩和され、砂漠に雨が降り、ウクライナの戦争も終結するんです」

ワカバヤシ「それは、そうなってほしいよ、マジでさ」

ベットウ「でも、その特訓シーンが問題で」

カネダ「なあ。あれはスゴイよな」

「今風に言えば、【3分でダン隊長が嫌いになる動画】とかタイトルがつくという」

ワカバヤシ「観たいような、観たくないような」

ベットウ「なんたって、まずでバシバシなぐってますからね」

ワカバヤシ「なぐるのは、今はムリだね」

ベットウ「昔は全然アリですよ」

冬に滝をチョップで切る練習して死にかけるし

ワカバヤシ「正義のヒーローが死にかけるって、ヤバいじゃん」

ベットウ「いや、レオがじゃなくて、役者さんがです」

ワカバヤシ「え? 物語上の死じゃなくて、本当に演じてた人がガチで死にかけたってこと?」

カネダ「そうそう。レオの人間体を演じた真夏竜さんが、その無茶なロケで肺炎になって、あわやという」

 

 

 

この撮影のあと、肺炎で死にかけたそうです。この時代、みんなイカれてました。
ちなみに真夏さんは『タロウ』の和気あいあいとした現場を見て、そのイメージで撮影に行ったらこの有様で「話がちがう!」と叫んだとか。

 

 

ワカバヤシ「やってんなあ」

ブーメランを本気で投げつけたり

ベットウヘンな機械と戦わされたり」

カネダ丸太をブンブン投げてこられたり」

ジープで追いかけまわされ、ひき殺されかけたり

ワカバヤシ「よしもとの若手芸人より過酷なロケじゃん」

「【意味不明な特訓】【理不尽な暴力】【非論理的な説教】は昭和ドラマツルギー三種の神器」

ワカバヤシ「『スクールウォーズ』とかのおもしろさは、まさにそういうところにあったよね」 

ベットウ「今やったら、ムリですよねー」

「乃木坂の女の子らも、あの演出家にこんな感じで稽古をつけられてたんやろな」

ワカバヤシ「やってないと思うけど、マインドは近いかもね」

カネダ「まあでも、そのムチャな感じも、そういうもんやと思ってたよな」

「時代って変わるもんですねえ。ダン隊長も、そんなゲンをメチャクチャに罵倒するとか、今ならアウトでしょ」

カネダ「結構、人格否定的なことも言うしなあ」

ベットウ「マジで、ダン隊長の人間性を疑うんですよ」

「なんか、ネチネチ言うねん」

カネダ「《おまえは宇宙人だから、地球人の気持ちが分からない》とか、相手が反論できんヤなこと言いよるんよ」

ワカバヤシ「ちょっとヒドイね、その言い草は」

人種(?)差別入ってるし」

カネダ「なんか、このときのダン隊長はずーっと不機嫌でピリピリしてて、見ててしんどいのよ」

「まあ、斎藤美奈子さんも『紅一点論』って本の中で、日本のマンガやアニメの正義の組織は、とんでもないブラックぞろいって書いるし」

ワカバヤシ「まあ、任務が任務だから、多少は仕方ない気もするけどね」

「ようマックガンで撃たれへんなと思うわ」

カネダ「今がベストでもないんやろうけど、昔が荒かったのは事実よな」

ベットウ「実際、人を言うこと聞かすのは、暴力とか罵倒が一番手っ取り早いですからね」

「だから、ブラック部活とかブラック企業とか宗教団体は使うよな」

カネダ「一種の洗脳やから。効果あるしな」

ベットウ「そう。【効果がある】のが問題なんですよねー」

「『冠』って本の中で、オリンピック選手をずーっと怒鳴りつけてる日本人コーチを見て沢木耕太郎が《えーかげんにせーよ》って怒ってたけど、なーんかレオとダン隊長を思い出してさあ」

ワカバヤシ「パワハラ受けてる側が、【私たちのことを想って、やってくれてるんです】とか擁護するケースも多いしね」

ベットウ「でも、今でも、こういうノリの大人いますよ」

カネダ「炎天下で、子供走らせたりするコーチとかなあ」

「全滅は笑えるけど、そういうのは笑えへんですよね」

ワカバヤシ「いや全滅も、全然笑えないと思うけどね」

 

 (『ウルトラマン80』編に続く)

 

 

コメント
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