ハンガリーのブダペストでフォアグラ(格安)を食べてみた その3

2019年03月21日 | 海外旅行
 前回(→こちら)に続いて、ハンガリー格安フォアグラ戦記。
 
 首尾よく仕入れもすませ、いよいよ宿に帰って調理である。
 
 すでに言っているが、アパートにはキッチンから調理用具食器調味料まで用意されている。
 
 スーパーでクックドゥーのステーキソースと、日本の心お醤油も用意した。
 
 あとはチャチャっと料理して、ハグハグ食べるだけだ。
 
 余談であるが、ヨーロッパではキッコーマンが、かなりメジャーな存在であるらしい。
 
 プラハの宿では朝食のバイキングで、バターやジャム、蜂蜜といったものとならんでキッコーマンの醤油のビンがおいてあった。
 
 パンやシリアル、チーズに紅茶といった、純欧風のメニューのどこに醤油を使うのか疑問だったが、スープにでも足すのだろうか。いまだに謎である。
 
 まあ、ともかく醤油があるのはありがたい。これをかければ、たいていの食材はうまくなる。
 
 私は一人暮らし歴は長く、それなりに自炊もしないことはないが、基本的には料理に興味がなく、またそれゆえか下手でもある。
 
 なもんで、せっかくのフォアグラも無手勝流に手を入れると、とんだ惨状が待っていると思われるが、昨今は便利なもので、スマホで検索すればふだんはなじみのない「フォアグラレシピ」なるものも手にはいるのだから、文明の利器とはすばらしい。
 
 ここは変に考えず、ネットに載っているとおり、マシンのごとき調理するのが吉であろう。
 
 ソースを作って肉を焼いて、フォアグラにも火を入れる。
 
 焼きすぎないように火力を調節して(私のような料理が下手な人は、こういう一手間を惜しみがち)、最後に熱したフライパンごと醤油をざっとかけて、はいフォアグラステーキの出来上がり。
 
 完成したステーキは、分厚いのが2枚という豪華版の上に、あふれくるマグマのごときフォアグラがのっかっている。もうボリューム満点
 
 そこにパプリカと、ジャガイモとナスの炒めものもつけて、ではいっただっきまーす。
 
 備え付けのナイフとフォークで、モリモリいただいた人生初フォアグラは、まあなかなかの味であった。
 
 フォアグラというと身構えるが、要はののったレバーということであり、私は内蔵系はOKなので問題ない。
 
 セレブなミーは、独特のねっちりした食感を味わいながら、
 
 「うーん、これでレバニラ炒めを作ったら、どんな感じになるんやろ」
 
 なんてことを考えてしまうのが、どこまでいっても根が庶民のミーである。
 
 ハンガリーは残念ながら牛肉をあまり食べない土地柄か、ステーキの方はそれほどでもなかったが、フォアグラの方は堪能できた。
 
 味もさることながら、その量である。なんといっても、安いのをいいことに、400グラムも買ったのだ。
 
 同行者と2人で食べたから、半分に分けて200グラムだけど、それでも相当の量である。
 
 これだけ食べて、ひとり500円
 
 やっすー。
 
 さらには、同行者が「こんなに食べられへん」と残し(なんてブルジョアな!)、置いておくと味が落ちるから、まだ温かいうちに私がいただいて、これでまあ300グラム以上はたいらげたことになる。
 
 フォアグラを300グラム以上!
 
 これだけ聞くと、ものすごい贅沢である。でも、値段は750円やよい軒の定食程度。
 
 あまり値段のことばかり言うと育ちがばれるが、それにしても感動的な安さである。
 
 こうして、おそらく人生における全フォアグラ含有量を、ここで突破してしまった私は、満腹のお腹を抱えて倒れこむことになった。
 
 フォアグラ自体は食感も軽く食べやすいのだが、フワッとして見えてあれは実はモーパッサンも裸足で逃げ出す脂肪の塊
 
 ちょっと食べただけで、存外と腹にくるのだ。
 
 それを300グラムを食べた日にはあんた、そりゃ胃もたれも起こそうというもの。
 
 焼き肉屋で、牛脂をそれだけ口に入れたと想像すれば、私の苦しみもわかろうというものだ。
 
 そうして、「もうフォアグラは充分。しばらく見たくもないよ」とうなったプチブルの私がここで心底感じたのは、
 
 「あー、お茶漬け食べたい」
 
 私は外国に行っても、あまり日本食が恋しくならないタイプである。
 
 元から食に興味がないタイプだからだろうか、パンばっかりでも平気だし、衛生状況に問題ありそうな屋台などでも、腹をこわしたりしない。
 
 なもんで、友人と旅行したときなど、彼らが旅行3日目くらいから、
 
 「米の飯が食べたい」
 
 「タクワンがほしいなあ」
 
 などというのを、なんと軟弱な奴らなのかとあきれ、
 
 「フ、ど素人が」
 
 などと、南倍南のごとくひそかに見下していたのだが、ここへ来て私ははじめて彼らの気持ちがわかった。
 
 フォアグラを食べると、ものすごくお茶漬けが食べたくなります。いや、マジで。
 
 こうして「青いガーネット作戦」は成功に終わった。
 
 安くフォアグラを大量にいたいただいた私は、ハンガリーの豊かな食事情とフォアグラで満腹するという貴重な体験をし、そしてなにより
 
 「野沢菜で食べる、お茶づけは偉大だなあ」
 
 という、日本人としての真理を学んだのである。
 
 
 
 
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