「変な人」が変に見えるのは「論理的」であるから ドイツ軍 V2ロケット編

2018年05月31日 | コラム
 「変な人は論理的である」。
 
 というと、たいていの人は
 
 「えー、そんなことないよ。変な人は考え方が論理的じゃないから変なんでしょ」
 
 そう返してくるものだが、これがそうではない。
 
 前回は岩明均『寄生獣』に出てくるミギーの
 
 「論理的すぎていろいろ間違いだらけ」
 
 そんな思考経路を紹介したが(→こちら)「論理的で変」といえば、第二次大戦中のドイツ軍兵器もなかなかだ。
 
 使用するのに、警備もふくめ5000人以上(!)を必要とし、組み立てからレール敷設に移動までに数週間もかかった、でも破壊力は史上最強クラスの超巨大列車砲「ドーラ」。
 
 「マッド独裁者」と「マッドサイエンティスト」の夢のタッグで登場したものの、総重量188トンと重すぎて全然実用的でなかった「マウス」戦車。
 
 などなど、まさに「ドリームチーム」と呼びたくなる逸材ぞろいだが、中でもインパクトがあるのが、「V2ロケット」であろう。
 
 バトル・オブ・ブリテンでの敗北このかた、ドイツ軍は常に空戦でイギリス軍のレーダーに苦しめられていた。
 
 だが、ドイツにはとっておきの隠し玉があった。
 
 そう、大陸からドーバー海峡を越えてイギリス本土を攻撃できる、スーパーロケット兵器が開発されていたからだ。
 
 かつてフランス女王マリー・アントワネットは、「パンがなければケーキを食べればいいのよ」と言い放ったが、ドイツ人は、
 
 「制空権がないなら、超長距離ミサイルで直接攻撃すればいいのよ」
 
 いわば『キャプテン翼』の翼くんが、得意にしていたドライブシュートで何度も使った、
 
 「相手選手を越えた上空から、ボールが急激に落下することで、敵のディフェンスやキーパーの動きを無効化する」
 
 という戦術と同じ思想ということで、理にはかなっているのだけど、それにしたって思いついても、ようやるもんであるなあ。
 
 実際、超音速で飛ぶミサイルは迎撃手段が存在せず、当時のロンドン市民を恐怖のどん底にたたき落としたそう。
 
 まあ北朝鮮がとなりにいる日本人としては、少しばかりリアルに感じられるところではある。命中率は、いまひとつだったそうだけど。
 
 ちなみに、このV2の正式名称は「Vergeltungswaffe 2」。日本語に訳すと
 
 「報復兵器2号」
 
 むやみにイカついところもステキだ。
 
 どうであろうか。よく学校の先生などが、「論理的思考力を身につけることが大事」なんて語ったりすると、「めんどくせー」なんて反応をする子もいるかもしれないが、
 
 「論理も行き過ぎると、いっそ愉快」
 
 ということもあることも知っていれば、それはそれでけっこう楽しく向き合えるのではないかと思うので、次回からそういったケースをいくつか紹介してみたい。
 
 
  (共産主義のサンタクロース編に続く→こちら
 
 
 
 おまけ
 
 ★気ちがい兵器「ドーラ」の雄姿は→こちら
 
 ☆マウス戦車のデタラメさは→こちら
 
  
 
コメント
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