今日は外に出ない。出たくない。出なければいけない、と言う気持ちもちょっとある。なぜならそうする事で今朝から自分の体に注入した水分や脂肪や炭水化物が体の中で重く停滞しているのを解除してくれるかもしれないから。
今日はでも外に出たくない。出ない。でも出なければいけない、と言う気持ちも少しある。なぜならそうする事で裏の公園に立っている“Lebensbaum-命の樹”のかさついた幹に手を当て音を立てて走る樹液のエネルギーを感じる事が出来るから。
それなら今日は部屋の中に森を育てよう。土くれの様な壺の中に種が貯まっていてその中に手を入れて一掴みすると全く色々な種がある。それぞれが予想不可能に多様なポテンシャルを持っているので、どんな森になるのかわからない。部屋の中央に立ち四方に種を蒔く。
すると透明な葉をつけた植物がガラス窓に生えてくる。光を透過してしまう体を持っているのに沢山の光が必要なのだろうか?窓ガラスの珪素を吸収して成長するのかもしれない。窓ガラスの珪素含有量は大体70%だ。
窓をほんの少しすかしておくとそこから忍び込む空気の流れが葉にぶつかりその表面で乱気流を起しながら移動してゆく。つやつやとした葉と葉が大きく揺れて交差し、ぶつかりそうでいてぶつかる事をせず、ぶつかればカラリカラリと透明で美しい音を立てるだろうに触れ合わない葉は無音の調べをふりまく。窓越しに注ぐ冬の日差しが葉を通り抜け、部屋の壁に極彩色の影を落とし、聞こえない音色にあわせて飛び跳ねている。
左奥の机が置かれた辺りにはそれを飲み込むほどの大きなラフレシアに似た花が育ち始めている。不透明で真紅の表面は新鮮な肝臓のように艶やかでその巨体を恥じているような呼吸をして、めしべを囲む杯のような白いくぼみにはやはり赤い赤い液体がたたえられ、ラフレシアのように腐臭を放ちそうだ。それは腐臭に惹かれて浮かれながら引き寄せられる虫たちに赤い液体をご馳走しては彼等をペロリと平らげてしまうのかもしれない。
ぶちまけた茹でスパゲッティのように這い回るコンピューター用ケーブルには、小さいけれど眩しいほどに光った蘚苔類が蔓延り始める。肉眼で確認できるほどの速さで増殖し、ケーブルに根を食い込ませ次第にその周りに厚く積み重なり、スパゲッティはやがて癒着して光る溶岩のようになる。彼等はケーブル内を走るエネルギーを吸い上げているのに違いなく放つまぶしい光は時々紫色に染まっている。良く見ると光る溶岩から小さな噴火口現れてそこから無数の真珠粒のようなものが吹き上がり、床に触れるととスルスルと解けてそれは 言葉 の短冊だ。 短冊は寄木細工のように複雑に組み合い、解けては堆積する。
黄色い毬栗のように丸くトゲトゲしたものが床の上をコロコロと走り回り始めたのでいきおい良く足元にぶつかるとそれはとても痛い。彼等はぶつかった相手にその針をすばやく食い込ませて寄生生活に入る。私の足の親指や踵にも取り付こうとするのをピンセットでつまんで引き抜くと見る見るうちに黄色味が抜けてギュッと収縮して枯れた。
沢山の植物が部屋の中に徐々に蔓延り既に私の意思に反して増え続け私の居場所が無くなりやがて私はそこから押し出されるよりも共存する事を選び徐々に透明になりはじめ窓辺に生え枝を伸ばしはじめ透明になった左右の手の平を平気で通り抜けた陽光が白い壁に金色の影を落とす。
ある日の夢のイメージから
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動物も植物も鉱物も、そればかりか空気や水や火まで、あらゆる現象が一斉に呼吸をしていると考えるのは、不思議な高揚感があります。
原初の命のスープみたいな・・・?
あー、この記事を読んでよかったです。これから、外に出てちょっと星でも見てから寝ようかな。外の空気は冷たいだろうなあ。
北海道はここより寒いのでしょうね。
でも星が綺麗だろうなと想像します。
ワカサギ釣りして。。。美味しいし。。。
(笑)
木のエネルギー貰いに行きましょう!