散歩絵 : spazierbilder

記憶箱の中身

切り取られた空景色

2006-11-30 12:17:25 | 写真
ゆっくりと形を変える雲。

小さく切り取られた空にも飛行機や鳥が飛ぶ。



白い雲が水分をたっぷり吸い込んで厚みを増してしまうと、

光をさえぎって暗く重く垂れ込め、空気は冷たくなった。

やがて水滴が落ちてくる。
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メモ:

展覧会の準備完了。
明日が搬入予定だったが、訳があって明後日に変更。2日間の余裕があるほうがよかったが、何とか間に合うだろう。。。。。。。。。。。。。。。。か?

今回のテーマは”ミクロの世界”とした。



ロシアの話

2006-11-28 18:58:52 | 思考錯誤
リトヴィネンコ氏の訃報を聞いた時、ああやっぱりね。。。と多くの人が感じたに違いない。プーチン大統領を非難するには命をかけなければならない。はっきりロシア政府の刺客が出たとは発表しないが(当たり前だよね)、そうでなくて何なんだ? 
リトヴィネンコが交友のあった富豪のベレゾフスキー氏の事務所からポロニウム210検出されたらしいし、他三人ほどポロニウム210に触れた疑いがあり検査されているとか。この話の続きはどうなるのか? 
まるでフレデリック・フォーサイスを読んでいるみたいだね。
ロシアは富める者と貧しき者の落差が激しい。ダイヤモンドや金でギラギラ飾り立てた成金達がベルーガキャビアを極上のシャンペンで喉に流し込んでいる、その裏では道路に転がって半死の人たちもいる。
ロシアの現在の金持ちの金の使い方が尋常でない。
ドイツテレコムにもロシアが手を出そうとしている。
他にも大手企業に介入しようとしている話があるけれど、テレコムへの介入は危ないのではないか? 何しろ政府関連の通信だって簡単に流れてしまうだろうことは想像できる。
グイグイとおしてくるロシア。
知り合いのロシア人作家のVは、どういうものか色々な場所にツテがあるのだけれど、先日あるロシアの金持ち主催パーティーで聞いた話は、かなりやばいものだったとか。『殺った、やられた』の話がどんどん出てきてしまう世界らしい。
マフィアがらみの人たちなのかもしれない。
危ないなあ。
ロシアの命の水(ウオッカ)問題も深刻だそうだ。ロシア人の平均寿命は68歳で、貧困,麻薬もだがアルコール中毒による死亡率が高いらしい。
あの国に住んだら「ウォッカの力」を借りたくなるのかも知れないけれどね。

ロシア
ロシア続き

空模様 11月27日

2006-11-28 09:17:19 | 思考錯誤


仕事場からの帰り道。相変わらず美しい空を眺めながら歩いた。
久しぶりに知り合いの本屋に立ち寄ってみた。
クリスマス前に贈り物の本を探す客で賑わっている。
私はアントニオ・タブッキの”Verkehrtspiel - さかさまゲーム”を見つけて思わず買ってしまった。でもこの本は日本語で読んだ事がある。
本当は別の本を目当てに探していたのに、今日は見つからずにタブッキに摑まってしまった。
クリスマス頃になるとこの店では、日頃の顧客へのプレゼントとして特別版の小さな本の進呈がある。
今年はW.Somerset Maughamの『Books&You』と言う本だ。モームはかなりの読書家だったようで(小説家なんだから当然か? しかしモームの場合はただ仕事上、必要な読書ではなく、彼は文学愛好家だったらしい。)ディケンズ、ブロンテ、ホフマン、メルヴィル、ポー、プルーストなどの作品を巡ってのおしゃべりと言う感じの三時のおやつみたいな本だ。
こういう本は楽しい。こんなプレゼントは気が利いている。
その上、これを読んだ顧客はもっと本が読みたくなったりして、また本が売れるという仕掛けなのかもしれない。
私はこの本を読んでいて何冊か買う気になっているから見事罠にはまっているということだ。



本屋を出て再び空を眺めながら歩くと、薄紅色に染まった雲がふわふわと浮いており、やはり薄紅色に染まった飛行機が雲の中に消えていくのがみえた。
電車の停留場につくと空が騒がしい。
目をこらしてみると大編隊を組んだ渡り鳥が飛んでゆく。 矢印の頭のような陣形がゆるりと形を変えてまるで細い紐がほどけて踊るかの様に動く。
空飛ぶ魔法の紐だ。
渡り鳥が仲間を集めながら目的に向って移動するさまは何時見ても感動する場面である。
(残念ながら写真は暗くて"紐”が殆ど見えない。良く見れば映っているけれどね。見えますか?)

今年の薔薇

2006-11-17 11:05:39 | 植物、平行植物
マッサージ・プラクシスの待合室で庭関係の雑誌をパラパラめくっていたら、今年のWorld Federation of Rose Societiesの投票で2006年の" The World´s Favourite Roses "に『Elina』と『Pierre de Ronsard、別名Eden Rose 88』 が選ばれたと言う記事を見つけた。
我が家のEden Roseはまだ咲いている。寒くなったせいか花が痛んではきたけれどなかなか散らない。もう随分長い事咲いている。



薔薇は難しいから手を出さないようにしていたのだけれど、もう少し増えそうな気配だ。
私の場合、香集めの観点から薔薇に手をのばした。
薔薇は花の香もだけれど、野バラの茂みのわきを通ると、花が咲いていなくとも木全体から香ってくるのが良い。
野バラの茂みの脇に立ち止まり、鼻をうごめかして深呼吸している怪しげな奴と見られても仕方ない。甘酸っぱいような香だ。
今年我が家に咲いた薔薇は淡いピンクと白、そして琥珀がかった黄色だった。

『。。。。それでもまだ棘は鳥の心臓には届かなくて、薔薇の花の芯は白いままでした。芯を紅く染め上げられるのは、ただナイチンゲールの心臓の血だけなのでした。。。。。』-オスカー・ワイルド / ナイチンゲールと薔薇 より-

物語は紅い薔薇によく似合う。

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メモ:

本日雨模様、現在12度。

これから仕事場へ。
12月3日からの個展に向けて準備中。

昼飯はIKEAでかったスウェーデン製の粉を使って焼いたコケモモ(Lingon)の実の入ったパン。これが中々美味しい。
最近日本にもIKEAができたそうだが、こんな粉も売っているとしたら是非お勧め。
(お供は今年のエルダーの実とプラムのジャム。)

夢遊

2006-11-16 10:17:27 | 夢遊


ある教会に出かける事になった。

私は教会に向かう行列に参加していた。

行列の参加者は殆ど褐色の肌を持った人々で、黄色やピンクのフリルをふんだんにつけた服を身につけて、これまたカラフルなパラソルを頭上にくるくるとかかげている。どうやら歌いながら踊りながら行列は進んでいるのだが、歌も音楽も私の耳には届かない。私の心の中のパズルに欠片が足りないらしい。

ようやく教会の前に到着して階段を上がってゆき、ピンクや黄色の塊はドアの向こうへと吸い込まれるように消えてゆく。
最後に私がドアを開けると"水”がゼリーのように塊となって部屋を満たしているのを見た。手のひらで押すと弾力を感じる。
私はその中にある何かを取りに行かねばならず息を大きく吸っていきおい良く水の(ゼリーの)中に飛び込んだ。
その瞬間ゼリーは普通の水となってバシャっといって流れ去った。

。。。。と言うような夢を見た。

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(写真:オレンジ色のガーベラと緑の羊歯)

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本日晴天。

天気予報によれば今日は深秋に似合わぬ暖かさになるという。今調べたらモーゼル、ライン河沿いは20度までにあがる予想。
どうなっているんだろう? 最も今日だけらしいけれど。
地球上のいたるところから様々な気象異常が伝えられてくる今、暖かいといっても喜んでばかりいられない事なのだろうが、暖かいのは個人的に嬉しい。
我が家のテラスでは季節を間違えた雪ヤナギや蒲公英がちらほら咲いている。

温暖化防止ナイロビ会議で京都議定書の見直しが議論されたようだけれど、アナン国連事務総長は政治家たちの積極的協力の無さに対して嘆いていたようだ。
ドイツのガブリエル環境大臣はドイツが先導的立場にたって環境改善に対処してゆきたいと発言し、EUが温室効果ガスを30%抑える目標を立てるなら,ドイツは40%を目標としたいと付け加えたそうだ。
どうなるんでしょうね?

雨曇の。。。

2006-11-14 17:27:50 | 写真
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まとわりつくきりのようにこまかい雨のふるひはあかいものを探してアルク。
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すばやく動くもの続く

2006-11-13 13:04:34 | 写真



すばやく動けるようになってみたいものだ、例えば上の写真の如く。
昔々その昔、子供の頃エイトマンというアニメで彼が走る姿に感心し、そして密かに憧れた。(実際の所内容は良く覚えてないのだけれど。)
上半身は固定で下半身が見えない様な感じに描かれていたように覚えている。
未来派のジャコモ・バルラの犬みたいに。。。

白状すると、ほんとに子供じみているけれど超人に対する憧れは今でも持っているのかもしれない。
子供の頃、スーパーマンである私は悪玉と戦う。そしてみんなを救うなんて、退屈なときにはいつもそういう空想をめぐらせていたんだけれど、つまり私はがちがちコンプレックスの塊だったんだろうか?

話変わって、先週末、Essenと言う街にでかけた。
Essenはルール工業地帯の重要地点だった街だ。
街中にある大聖堂は、ごちゃごちゃと立ち並ぶ建物の間であまり目を引く事がないが基礎はふるく845年に建造された。997年に一部焼けたが971年頃オットーⅠ世の孫娘マティルデⅡ世によって再建がはじまり、テオファヌ尼僧院長によって完成をとげた。カロリンガー様式の八角屋根はアーヘンの大聖堂の屋根を参考にしている。(空襲を受け修復されている。)
この大聖堂宝庫の中で一番有名なのはオットー時代の”金のマドンナ”なのだそうだ。マドンナの全身像としては最古のものともいわれている。

実はエッセンにはワークショップの講師をするために出かけたのだ。
女性ばかりの10人が参加し、紙を使った作品を作るのがテーマのワークショップだった。
私の作るものの真似しかしない人もいれば、どんどんわが道を進む人あり、面白い。
皆、午前中から夕方までさほど休憩も取らず集中して作業をしていた。
単発の期間の短いワークショップは授業時間に対して用意がたいへんだし、それぞれの参加者のやりたいことがはっきりつかめなかったりするのが残念だけど、短期だからこそ出来た、いきおいで完成する事が出来たという場合もあるのかもしれない。

11月9日

2006-11-09 19:07:34 | 思考錯誤










1989年11月9日、16年前の今日。

ベルリンの壁が崩れ落ちた。このニュースを聞いた時、一体何が起こったのか?すぐに訳がわからなかった。
壁が崩れるなんて思っても見なかったことだから。。。
その後ベルリンに行った人から壁の欠片をもらったっけ。あの壁何処に消えたんだろう?物置のどこかに隠れているのかもしれない。
壁のある頃のベルリンは独特の雰囲気を持っていた。
何度かベルリンには行っているけれど、どういうわけかあの街に行くと夜映画に行きたくなる。
ある時"薔薇の名前”を見に行った。
出だし音が小さくてよく聞こえなかったので、数人がまるで申し合わせたかの様に「音を上げろ!」と叫んだ。
これがちょうど子豚が堵殺されるシーンで「ギャー」という豚の叫びが館内に鳴り響いた。もちろんその直後観客の殆どが「音小さく!」と叫んだのは言うまでもない。
私は豚の堵殺シーンと豚の喚き声がしばらく頭の中に渦巻いてしばらくの間うまく集中できなかった。



1938年11月9日
クリスタルナハト。

2006-11-08 09:56:45 | 自然観察
昨夕の空。
仕事場からの帰り道。
オレンジ色の光が道の向こうに沈みかけていて、空の雲の影はオパールのように複雑な色に染まっているのがみえた。
空気が冷たくて上空は風が強かったようで、飛行機雲が横に流れて広がってゆく。
地平線から巻き上がるように、扇状に広がってゆく雲とくっきり描かれた風紋が交差し、銀灰色の葉巻のような雲が何本も平行に層を成している。
間に見えるのは金色の巻き毛で体を覆われた羊と真珠色の巻き毛に虹色の影をを持つ羊。
新しい飛行機雲が沈む太陽の光を受けて遠く地平線からさほど離れていないあたりでどういうわけだか点線を描いていた。
東西南北、どちらに首を回しても美しい絵のようだったなあ。
しかし飛行機があんなに縦横無尽に飛んでいると思うと複雑な気分でもあるね。



家に帰って早速写真を見てがっかりした。何枚写真を撮ってもあの美しさを再現できないのが悔しい。

今朝の空は一面に灰白色。まったく退屈な一色塗りだ。
それにシンと寒くなってきた。

コーンフレークの生まれたわけ

2006-11-07 00:15:57 | 映画の話
先日肩の痛みがひどいので医者に行ったら、要するに筋肉や筋の炎症だといわれ、マッサージと泥パックの処方箋をもらったので予約をしておいた。
今日がその予約日だった。
Fango(泥)パックは初めてだったので何をされるかとおもえば、熱い黒いプラスティック粘土のようなものがシートに貼ってあり、痛いところを包み込んで暖めるものだ。
熱いけれど我慢できるならタオルをはさまずこのままやりましょうといわれて、そのほうがいいのならそうしてくれと言ったものの、かなり熱かった。
しばらくは背中が熱くてカチカチ山の狸みたいな気分で、20分くらいそのままじっとしているんだけれど、その間どういうわけだか映画-The Road to Wellville-を思い出してしまった。
別にあの映画の中のように大変妙な事を強いられているわけではないのだけれど、そんな連想が起こってしまった。
The Road to Wellville はアラン・パーカー監督の作品で、ケロッグ博士というのは実在の人物である。
例のケロッグ・コーンフレークのね。
健康産業の先駆者とも言うべきケロッグ博士の療養施設はかなり怪しい。下ネタも多くてかなり困った映画だ。
だけれど、アンソニー・ホプキンスが困ったケロッグ博士を演じているので、ホプキンス ファンとしては思わず見てしまったのだ。
この人はこういう役も引き受けてしまうのだなあ、と妙に感心してしまったのだった。

アラン・パーカー監督といえばミシシッピィー・バーニングが印象的だったんだけれど、もうひとつミッドナイト・エクスプレスという映画もあった。
もうずいぶん昔のこと、高田の馬場の駅近くの映画館で夜2本立てでこれを観た。
「真夜中のカウボーイ」と「ミッドナイト・エクスプレス」という組あわせでかなりきつかった。この2本を見たことのある人ならうなずいてくれる事と思う。
映画が終わって外に出るともう夜中も近い時刻で、ミッドナイトの重石を背中に乗っけて帰った。
ところで「小さな恋のメロディ」もアラン・パーカーだったね。

あっ、映画の話が真実なら"コーンフレーク"は失敗は成功の元、ひょうたんから独楽という感じに焼きそこないから生まれのだった。

イーガンとクノップフ

2006-11-06 13:03:29 | 美術関係
クノップフの愛撫-スフィンクス-。
不思議な気分にさせられる絵だ。
目を閉じて恍惚顔のスフィンクスに頬を摺り寄せられている若者(ヘルメス?)の表情は凍り付いている。心が二分されて迷っているようだ。彼らの背景は荒涼として門は異界へと導いている。
心騒がす"何か”が透けて見えて来るようではないか?

なぜ急にクノップフかといえば、グレッグ・イーガンの小説を読んでいたからだ。なぜイーガンとクノップフがつながるのかといえば『幸せの理由』短編集を読んでいたからで、その短編集の中に『愛撫』という作品がある。

古典的絵画を完璧に現実化することに執念を燃やしている大富豪のマッド・アーティストが、彼の望む”絵画”を見るために誘拐も、殺人も厭わない。主人公は彼に目をつけられて、事に巻きこまれる話なのだけれど、その主人公が巻き込まれたのは題名が示すとおり、クノップフの"『愛撫』の中へ”なのである。

クノップフの作品のモデルは大半が彼の妹マルグリットであることは有名な話なわけだけれど、この絵のスフィンクスも恋人もよく見れば妹の面影がある。
実際のところ、それは彼自身でもあったのかもしれない。妹のなかに自分自身の面影を見ていたのかもしれない。

”アイディンティティー”"人間性”とは何か?という哲学的な主題がグレッグ・イーガンの作品のポイントだ。そういうわけでなのだろうか話の結末は開かれたままである事が多いように思う。主人公たちは求めている。
この絵『愛撫』に登場する若者のように。

古典的絵画の中にこのようなキメラを見つけようと思えば有名どころだけでも色々あるが、その中でクノップフの『愛撫』を選んだというところが面白い、そして私の好みである。