散歩絵 : spazierbilder

記憶箱の中身

あるドイツの学校でのアートプロジェクト

2005-03-31 18:09:50 | 美術関係
去年9月から今年1月にかけて、Wattenscheid という地区の学校で、アートプロジェクトをおこなった。
対象学年は5年、9年、12年生だが、12年生との仕事が主だった。
12年生というと、体格もすっかり大人。。。街角で彼らに出会ったら、学生とは思わ無いかもしれない。。。。という顔がずらり並んでいる。 17,8歳だものね。
驚いたのは、60人(2クラス合同)の中で、3分の1くらいはドイツ名ではなかったこと。

(これは全員の名前をカタカナで書かされたので判明。。。60人の名前プラス私自身の名前を書くのはなかなか辛かった。でもここでついでに一言記しておくが60人分でことは済んだわけでは無い。5年生、9年生のクラスにも行ったのだが、結局話の成り行きで彼らの名前も書く羽目に陥り、計120人分書いた結果になった。。。。彼らにとっては日本語で書かれた自分の名前がクールなんだね)

それはともかく、私の小品、特に本のオブジェを沢山抱えて教室に入った。
”あなたにとって アート とは何ですか?”なんて聞かれたら、なんて答える?何だろう?私は何を考えて作品を作り続けているのだろう? かつて読んだ大家の言葉などが頭の片隅をよぎって行ったけれど。。。
”う~ん、それは哲学的な質問だよね。私にとって製作する事は、栄養を摂取するような事なんのだから、まあここでは必要不可欠なものといっておくけれど、しばら考えてみる事にします。”といえただけだった。
いつも前のほうに座って興味深そうに観ている男の子:”あの~ 今日は油絵なんか持ってきてないんですか?” 
私:”???油絵? いやもって来てないよ。何で?”
彼:”僕油絵って、実物見たこと無いんですよね。だから楽しみにしてたんだ”
私:”美術館とかいった事ない?”
彼:”ないです”
そうか、ないのか。。。。そんな子もいるのだなあ。まあ、どこかで触れていても意識してみていなかっただけだと思うのだけど。
ひとしきりそのような質疑応答が続いた後、今度は作品を見せ説明をしながらそれらについての質問に答えてゆく。

彼らに与えられた課題は、まず私の携えて行った物を観て、触れて、その感想を書くこと。(それって、でも怖いよね。ものすごく)
次に各自が本のオブジェを制作すること。
4~5人のグループに分かれて”ココン”を製作する事(これは、現在進めている私の作品プロジェクトから発生。)
各自が小さな同じ既製ノートを使ってオリジナル本を製作すること。

本のオブジェ、なんてジャンルを知らない生徒も多く、それだけに皆面白がっていたみたいだけど、いざ課題製作に入ると困っている生徒も多かった。
”アイディア無いんですけど。どうしたら良いんですか?助けてください。”とギブアップするものもいれば、こんなのつくりたいけれど、どう思う?と聞いてくるものもいる。
一枚一枚、本のページを繰るように、私自身も新しい”もの”を一緒に作る気持ちで、対応していった。
”本の持つ本来の意味って何かな?情報が蓄えられたもの。それを手に取ると簡単に引き出せる。
または、伝達できる物。。。通常の本の形を持たなくても良いし、マテリアルも紙にこだわらなくても良いよね。まずかんがえてみようよ”という風に。。。
これは私にとっても面白い作業でもあり、自分が日頃行ってる作業の確認にもつながった。

結果、皆面白いものが出来て、楽しかった様子。自分の成果を実に得意気に見せてくれる生徒もいて、私も満足。もちろん、中には考えなかったのね。。という作品も出来ている。

”ココン”の方はもう少し時間も欲しかったし、話あう時間も少なかったのが、そのまま結果に表れたのには残念だった。もっと本のオブジェに集中しても良かったんじゃないかと思うけれど、同じテーマを長期続ける事も難しいみたい。

最終日は私も一緒に展覧会を行った。
”今までの展覧会の中で今回のが一番楽しくて、クール!”と言う声があちこちから聞こえて、
私もうれしかった。

こういうきっかけから物作りの楽しさを少しでも伝えられたら、そして彼らが、将来自己のアイディンティティを表現する手段として製作する、という方向があることを知ってくれたら。。。。
このせちがらい現代、自己表現手段をそんなところに見つける人が増えたら、世の中少し平和になると思いませんか?



オランダのアーティストイニシャティヴのプロジェクト紹介!

2005-03-30 00:40:38 | 美術関係
今日も朝から曇が全面に覆い尽くしている。。。。とはいえ、桜やレンギョウそして一段華やかなマグノリアが咲きはじめたので、重たさはうすれて行く。

今日はやっと白紙画面をいじり始めたところ。頭の中にある形がファントムのように現れては、
つかもうとすると逃げてゆく。
夢を思い出そうとしては逃げてゆくあの感じににているな。試行錯誤。
Max Ernstいわく、”もしも作家が自己を発見してしまったら終わりだ。”
でも、とにかく毎日線を引く、色を塗ることは日課。

日本人のアーティストに本日のインフォメーション
オランダのArt イニシャティヴでL 5という団体が始めた "DINA4"と名づけられたプロジェクトが展開している。
参加要項を日本語に訳したのでそのうちサイトに乗せる予定。
オランダ語、英語、ドイツ語のインフォは既に掲載中。興味のある方はここを見てください

イースターの卵

2005-03-27 02:35:26 | 思考錯誤
Zons という中世の面影を残す街に散歩にいくと、イースターの卵市が郷土博物館にて行われていた。

沢山のイースター卵アートのプロたちがそれぞれの緻密な職人芸を披露しながら、販売もしている。

私は3つ卵を購入。

その中の美しい卵を一つ写真で紹介です。


ここドイツも桜が咲き始めました。

2005-03-25 02:35:30 | 思考錯誤
ドイツの春は急にやってくる。
寒くて暗くて、もうこれ以上体を折りたためない、と悲鳴を上げそうになるほど押しつぶされそうになっていると、ある日突然それはやって来る。

パッとチャンネルを切り替えたかのようにある日さんさんと降り注ぐ太陽光で目が覚め、思い切りまぶしい。

陽が照ると見る見るうちに温度計の赤き液体は上に向かって上り始める。

はっと気がつけば、昨日まで手放せなかったセーターの中で、汗ばんで息苦しくなってくる。

昨日と今日のこの急激な差は何だ!と毎回ののしりながらも、喜んでいるみたいね。

そんなことを思っているうちに、あれっあそこに黄色い花が、あそこに桜が、りんごが。。。。
といっせいに花の競演。

日本では、順々にいろいろな花が咲いてゆくのだと記憶しているけれど、一時に咲かれると
のんびり一つ一つ愛でている暇がない感がある。
豪華ではあるけれど、風情にかけるとでも言うのかな。

そろそろ春の日差しの中で、新しい作品に取り掛かろうと毎朝決心するんだけど、日溜まりにいると、なんとはなしに時間が過ぎて、日向のやわらかさをむさぼっているばかりで、真っ白い紙はいまだに白いままだ。
明日はどうかな?


イースター祭りがやってくる

2005-03-22 22:13:50 | 思考錯誤
完全に1週間、インフルエンザに久しぶりに打ちのめされて、くたびれた毛布と一体化していた。

だんだん春めいてくる。水仙もクロッカスも咲き始めた。

ドイツの春は日本のやさしげな春と違ってなんとなくなまめかしい。
なまめかしいという言葉がひったりかどうか、それは個人の受け取り方ではあるのだけれど。。。

もうすぐイースター祭りがくる。
絵の描かれた卵、色付けられた卵が窓辺で風にゆれている。
以前はなんとはなしにこの時期には卵の中身を抜いたり、それに絵を描いたりもしていたのに、ここ数年はそんな余裕が無くなった。やろうと思えば時間はいくらでも見つけられるのだけれど、他事に優先権を与えてしまう。
中世では赤く塗られた卵を飾ったという。磔刑にあったキリストの血をあらわしたという事。

イースターのウサギは卵を担う。多産のウサギと命の象徴である卵は、光と繁殖の春の女神Eastreを讃えているのか。

春先になると雪解け水のおかげで洪水がおきる。春の喜びの裏にも、影が潜んでいるんだね。

卵を担いだウサギを探しに野原に出てみよう。

散歩絵

2005-03-10 17:20:11 | 思考錯誤
雪ばかり降って。。。と嘆いていたら、風邪を引いてしまった。

先日オランダのフェンロという街に用があって出向いたのだけど

そこで拾った風邪なのか?かなり激しく取り付かれてしまった。

でも、確実に春は近づいてくる。一時はすっかり凍りついた雪割草の花は

何事も無かったかのようにひそかに咲く続けているし、少しずつ地表に春の準備が

描かれているのを見ていると、私も元気になってくるかな。



散歩絵

2005-03-06 03:11:17 | 思考錯誤
今日の散歩道で何か見つけた?



今年の2月は雪もたくさん降って。。。寒い寒いといっているのに1月が暖かかったせいで均せば2005年は暖冬なのだそうだ。


春の兆しが水仙の芽先に乗っていたのに、今朝は凍って雪の中にうずまっているのが実に寒そうだ。