散歩絵 : spazierbilder

記憶箱の中身

冬時間

2012-10-28 10:28:52 | 思考錯誤







また冬時間に切り替えられた。
するとその途端に気温がぐんと下がってしまった。
冬時間に切り替えられる事と気温の急降下の間に相互関係は無いとおもうけど、兎に角冬になった。
今朝は枕もとの目覚まし時計の示す数字がいつもより大きくて慌てて起き上がった。
お茶を飲みながらIpodでメールのチェックをしようしてやっと冬時間に切り替えられた事に気が付いたのだ。
外を見ると下が降りて砂糖をまぶしたようになっている。寒暖計はマイナス2度をさしている。
先週の散歩では少し汗ばんだくらいだったのに、いきなり冬はやってきた。





金色の十月

2012-10-21 21:54:34 | 自然観察
 



金色の十月は期待通りにやってきた。
森に出かける。








白くて小さなアスターがふわふわと咲き乱れる一角を発見したり、風の合図でいっせいに舞い踊る秋の葉のさらさらに耳をすませる。








そしてオニナラタケ、ハナイグチ、アミタケやニセイロガワリを見つけて収穫すれば、もう言う事は無い。



そういえば今年の春、芽が出てしまったジャガイモを土の入った箱の中に生けておいたら小芋の収穫があった。





昨日テラスの片づけをしていた時、土の中に大きなジャガイモが見つかった。どうやら収穫しそびれた芋がおとなしく眠っていたらしい。
なかなか立派な芋だ。








また、立ち枯れていたキクイモを引き抜くと塊茎が育っていた。これはもともと隣のテラスから侵入してきたものでやたらに増える。困ったなと思いながらも放っておいたものだった。
塊茎は皮を剥いて湯がきソースを付けて食べたり、肉や魚料理の付けあわせにも美味しい。
実は時々店で見かけると買ってくるのだけれど、今までテラスのキクイモはうどん粉病が出たりが厄介ですぐにひく抜いてしまうので収穫した事は無かった。
思いがけず収穫できた菊芋は小さく切ってご飯に炊き込み、オニナラタケの茹でこぼし、にんじん、しょうがを少しの砂糖と醤油で煮付けたものをあわせたご飯を作ったが
結果は良好だ。

ゲンキンな私はそんなキクイモに礼を言って、来年は芽が出ても抜かないよと話しかけていくつかまた土に戻した。



























2012-10-14 21:55:54 | 自然観察






今日の森は良い香りに満ちていた。
初めてかぐ匂いだった。
なんとなく緑茶を炒るような、そんな香りだった。
足元の美しい緑のコケはふかふかで、その上を歩くのはまるで雲の上をあるくようで気持ちが良い。
茸たちがあちこちに顔を出して賑わっていて、彼等が伸び上がる音がしそうなほどだ。(多分夜更けには音が聞こえるに違いない)
ビニール袋や籠に収穫物を一杯に詰めて歩く人達が通り過ぎる。
横目にどんな茸を採ったのか見ると、見たことはあるが食べた事の無い茸が籠にぎっしり詰まっている。
膨らんだビニール袋を両手に抱えた人の後を辿って見るとどんな茸を収穫したのかがわかる。





(ふうむ、この茸も食べられるのか。。。?ひょっとして間違えてなどいないのだろうな?)
茸を目指して移動してゆく人達を私はキノコ亡者と呼んでいる。
キノコ亡者は森の中をゆっくりと右に左にゆらゆらと、ひょいとしゃがんでは立ち上がって遠目には亡霊か壊れたからくり人形のように動く。
私もたまにキノコ亡者の仲間に入って"ゆらゆらひょっこり"を繰り返す。
一足ごとに下生えの細い枝がぽきぽきぱきぱきと乾いた音を立てる。
良い音だ。
緑の布団に美しい茶色や白のキノコが眼に鮮やかだ。
枯れ始めた羊歯、ツリフネ草の赤く染まった茎が美しい。
うつむいてうろついていると自分のいる場所が不確かになってくる。
明るい時間だから不安は無いものの、夜の森ならきっとパニックになるに違いない。もっとも夜中に森に来る事は無いけれど。。。
カメラを握る手がそろそろ冷たくなって、帰り道を探す。






Tubifera ferruginosa クダホコリ 今日の一番はこの変形菌



























ちくちく

2012-10-12 18:51:56 | 製作記録
                                 



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                                 ちくちくちくちく
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                                 ちくちくちくちく
                                 ちくちくちくちく
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人待ち時に針を運ぶ






お上の出たら目に
怒らなければいけません
そんな事を
いいながら
針を運んでいます
怒り気に
思わず針目がひきつれて
線が首を振る
何度も針で
指先を刺して
涙が出る
涙が出る




















白魔女

2012-10-11 21:06:48 | 思考錯誤






彼女の庭にはほとんどラグビーのボールの様に育った
金色のズッキーニの実がぶる下がっていた。
秋の日の種交換会にの為に一つだけ育てていたらしい。
苦労して切った実からたくさんの種が現われて小分けに袋に収められ、
たくさんの庭に散っていった。
こんなに育ってしまった実はまさか美味しくは無いだろうといいながらも、
食い意地と興味から四分の一ほど持ち帰って鶏肉と一緒に煮込むと
思ったよりもなかなか美味しかった。
植物を食べてみる事については私の好奇心もかなりなものである
と思っているが、彼女の好奇心もそれに劣らない。
私たち2人共に「食べる事」「どうやったら面白く、美味しく食べる事ができるか」を妄想するのが大好きなので会えばつい食べる話をしている。


彼女と一緒にある女性の庭を訪ねた。








入り組んだ迷路のような小道を通って辿り着いた庭の中でその女性は蜂を飼っている。
昔は5箱ほど飼っていたが、寒さに弱いミツバチの世話がなかなか厄介で、
今では2箱になった。
白魔女のような彼女は皺だらけになった両手に緑の親指を持っているので、
庭の植物は生き生きと茂り、実を結んでいる。
庭の中心に半分うずもれるように作られた庭小屋を一人で作ってしまう強者でもあり、それは庭の中に生えてきたかの様な小屋だった。
まるで指輪物語に出てくるホビットがドアを開けてくれるのではないかと言う様子をしている。
中にはあちらこちらを旅行した時の土産や、彼女の蜂蜜の壜が並び、
薄暗い中に咲き残った金連花が小さなポットの中で艶っぽく光っていた。






















オレンジ色

2012-10-02 11:04:42 | 思考錯誤




美術館の中の"迷路"を右に左にさまよう。
絵に近づいたり遠ざかったり、ジグザク動線の軌跡を残しながら先に進む。

展示室の角には人が一人挟まるほどの細長く切り取られた窪みがあってガラス窓がはめ込まれている。
その窪みからいきなり真っ赤なジャケットと燃えるようなオレンジ色の髪の中年女性が現われた。

こちらに向かって激しく手を振っている。

「ちょっと此処にいらっしゃいよ、見て、見て」と指差す先をみると河岸に立ったビニール袋を抱えた人の周りに鴨や白鳥が群がっていて、彼らが袋からパンを取り出すのを首を伸ばして待っていた。
パンを持つ指を食いちぎりそうな勢いで奪い取る奴、それを奪い取ろうとする奴たちの戦い。ぎゃあぎゃあとやかましさが増してゆくのが聞こえてくるようだった。

「いつもああして餌をもってやってくる人たちがいるのよ。鳥たちは知っているの。あんなに奪い合って非社会的ね。。。動物だからね、でも非社会的っているのはいけないわ。分け合わなければいけないのよ。私たち人間だってそうよ、人間だからこそ分け合わなきゃいけないのよ。ああ、鳩も来てしまうわ。鳩は困るわよね。あなた知っている?鳩に餌をあげたら100ユーロの罰金なのよ。そうよ。鳩は。。。そうよ、鳩は空のドブネズミみたいなものよ」

「さ、私は向こうに行くわ。あなた絵を観に来たのだものね」

赤い女性は胸に美術館の監視員の札を付けていて、彼女のオレンジ色の髪が背景の絵の中に一瞬溶け込んだ。








Dortmund

2012-10-01 19:05:37 | 移動記録

先週"Dortmunder U"を見学。ルール工業地帯散策第二段だ。実はこの街の近くにある街へ作品を届けに行った帰りについでに立ち寄ったのだ。

もともとこの建物はドルトムンダー ユニオンと言うビール会社の建物で現在はリサイクルされカルチャーセンターになっている。
なかなか面白い改装がここでもおこなわれている。
(写真のUの字の下部には映像作家の作品が常に流れている)

そこではフルクサスの展覧会、ジョン・ケージの4分33秒をテーマの映像や資料の展示を見た。
フルクサスの展示の方は取り立てて新たな興味ひかれることなく見終えたのだが、ジョン・ケージの「Sounds like Silence」は思ったよりも面白かった。
"4分33秒=273秒”という時間は"易"によって決めたのだそうだが、後にケージは摂氏-273度は絶対零度であり分子運動が静止する温度であることと4分33秒=273秒との関連を語っているようだ。
"4分33秒"を聞いている人たちのなかには、頭の中で勝手に音楽を流しているのか体をゆすり、拍子を取っている者もいた。
それでは本来のケージの目論見に反するように思うがどうなのだろう?
「無音の」音楽というが実際のところ無音ではない。"曲"の後ろに存在するすべての音が聞こえてくる。
どんな音が聞こえるだろう? 人々の動き、息遣い、外に吹く風の音、雨粒がガラス窓を微かにたたく音。
そういったものを意識的に聞いてみようと言う試みなのだ。
273秒に切り取られた”雑音”は、私たち聴者の意識によって”音楽”になり得るのだろうか?





























Duisburg 散歩

2012-10-01 10:55:14 | 移動記録
1.
Duisburgにある古い鉄橋の橋げたを急に見に行きたくなった。
何度か近くを通りながらも近づいた事が無かった。
1800年代後半、ルール工業地帯の石炭運搬に活躍していた橋の遺跡で、まるで城砦の趣がある。
びゅうびゅうと強い風に背中を小突かれながらしばらく河岸を歩いた。そのおかげか、その晩から風邪を引いた。



2.
Duisburgの港の一部は新開発されている。
中に小さなレゴランドがあって、いつもキリンやくたびれて考え深げなおじさんが日がな一日ベンチに座っている。



3.
BeuysとKieferのドローイング展が9月30日まで開催されていたので、Kueppersmuehle美術館に駆け込んだ。
Beuysのドローイングは今までに幾度も数多く見る機会があったが、Kieferのドローイングはあまり見たことが無かった。ドイツの現代美術を代表するとも言うべき二人の作家が並んでいるのは興味深かった。
だが展覧会の話は脇においておいて、話はこの美術館そのものである。
もともとDuisburgの製粉会社の建物を改装していて、上手くデザインが収まっている。
感激したのは階段室。磨きコンクリート仕上げがテラコッタ色に塗装されたカーブが美しい。職人の腕の見せ所と言う感じだ。こういうところに私は弱い。階段の仕上げも色を統一している。













4.
美術館から外に出てあるいていると生垣の向こうに空き地のようなものが眼に入った。
半分取り壊された建物の壁に何か取り付けられているようだった。気になって近づいてみると枠に塵入りビニール袋がはめ込んであって、作者のサインらしきものも記されている。
合計3点が風吹きさらしの壁に”展示”されているのだ。
はっきり行ってただの"ごみ"なのだけれど、額はしっかり金具で壁に留めつけてあった。どういう人がどういう目論見で実行したのかは知らないが、この取り付け具合はかなり本気のようだ。




5.
おまけ:Duisburg市民1000人の1400枚のポートレート。



6.
おまけその2
街のあちらこちらに犬の糞回収用のビニール袋ホルダーが立っている。なぜかこのホルダーはコスチュームを着せられていた。レゴランドのレゴキリンが立っている近所だったから、多分誰かがひらめいたのだろう。多分これはキリンをイメージしている。





Duisburg散策おわり。